和食にブルネッロ・ディ・モンタルチーノはいかが?

イタリアワインの中でもブルネッロ・ディ・モンタルチーノは人気が高い。「和食との相性はどうだろう?」と、今宵「銀座しもじ」に日本を代表するワインのプロフェッショナルが集結。さぁ、アッビナメントのスタート... 2017.12.12

——ワイン王国(以下WK)和食にブルネッロ・ディ・モンタルチーノというのは意外な組み合わせのように思いますが……
森上 サンジョヴェーゼほど和食に合うワインはありません! 醤油、味噌、だしといった和の調味料の穏やかな香りと風味は、樽熟成をゆるやかに重ねたブルネッロ・ディ・モンタルチーノにぴったりなんですよ。「日本料理店でブルネッロ・ディ・モンタルチーノご馳走するよ」と言われて悪い気は、しませんよね?
山田 今日はとっても楽しみに伺いました。私が日本料理店でイタリアの赤ワインを合わせる時は、コースからお椀ものを抜いてもらうこともあるの。
お椀は料理人の魂が込められたものだから、そんなことをしたら料理人の方に対して申し訳ないことなんです。ただ水分とイタリアの赤ワインって難しいのよね。でもこの「カボチャのすり流し」は素晴らしい!濃度もあるし、かすかに香るベーコンの下味が効いていて。
情野 スパイシーな味わいの『レ・ポタッツィーネ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』は、滑からな舌触りのすり流しにアクセントをつけてくれて、好ましいように思いました。
森上 ちなみにこのすり流しですが、フードプロフェッサーさえあれば、ポタージュを作る要領でご家庭でも簡単に楽しめますよ。
山田 それと、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはワインにもともとオレンジの皮の香りがありますから、オレンジピールを少し削って、すり流しにのせてみるのも◎。マリアージュを助ける便利グッズです。
——WK 続いて、「炊き合わせ」をいただいてみます。
森上 この京料理の王道である高野豆腐。日本料理は旨味と酸味と料理の表情が豊かな料理体系ですが、キアンティ・クラッシコより南の地域で、完熟ブドウを使って造られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノのジューシーさと合わせてみてください。
情野 一見難しそうなアン肝が、まるでフォワグラみたいにクリーミーで、野菜同士の味わいを結びつけてくれますね。まさに野菜のテリーヌ的!『バンフィ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』や『フレスコバルディ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ カステル・ジョコンド2012年』のように、料理の甘味を引き立ててくれるようなワインは意外といけますね。“ほどよい酸味”がキーワードでしょうか。
森上 なるほど。『リジーニ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』のような、日本料理ならではの奥ゆかしいだしや調味料を使った料理を引き上げてくれるワインをお勧めしたいです。厳格なタンニンはありますが、それをジューシーにフランクに感じていただけるような。
山田 私は『コル・ドルチャ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』が一番いいと思いました。何よりこの安定感。濃すぎず、薄すぎず、酸度も高すぎず。いたってモデラートな、いい意味で中庸な味わい。日本料理は五味調和といいますが、とくに伝統的な日本料理の場合は何かの要素が突出せず、全体の味わいに調和がとれていることが大切。だからワイン単体で飲んで一番美味しいと思うものが、料理と合わせてもいいとはかぎらないのよね。
——WK 続いて「ブリの照り焼き」が運ばれてきました。
情野 あまり甘さが強くない照り焼きですので、醤油のドライさにキレのいいタンニンを持つ『バンフィ』がいいですね!
森上 添えられたキンカンがまたさらにブリとワインとをつないでくれるようです。木樽で熟成を重ねた濃縮度のあるブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、力強い味わいを持つブリという素材にも充分太刀打ちできますね。

——WK 次は「ガリシア豚とアサリの西京焼き」です。炭火で炙ったウナギの西京焼きも添えられているところがユニークな一皿ですね。
山田 ウナギの皮を炭火焼きにした強い香りと、脂の濃厚な味わいには、『リジーニ』の非常に強い厳格なタンニンが合うと思いました。ウナギという素材は、ワインのほうに素材を圧倒するような濃厚さがないと難しい食材だと思うんです。ちなみにトスカーナのメディチ家には、古くから伝わるウナギ料理のレシピが残っているそうですよ。肉でもウナギでも、脂肪分やタンパク質のある素材を直接火にかざして焼いた料理と、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは鉄板の組み合わせなんですよ。
情野 私もウナギに合うってことは豚にも合うと言えると思うんです。『カサノヴァ・ディ・ネリ ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』は、タンニンが充分にこなれていて、スパイシーで力強く、甘味も強い古典的な味わい。アサリの旨味や甘味とも調和するように感じました。
山田 『ネリ』はセンスがある造り手よ。ワインの味わいは一にセンス。二に伝統!(笑)
——WK さあ、本日の最後の皿は宮崎県尾崎牛を使った「すき焼き」です。ポン酢、ゴマだれ、クレソンと白醤油のソース、ポリネシアンソースの4種類のタレをご用意いただきました。
情野 何をつけて食べたらいいのかわかりません(笑)。
森上 クレソンのソースは今回、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに合わせて料理長に特別に作ってもらったものです。尾崎牛のすき焼きの芳醇な味わいと是非合わせて試してみてください。
山田 これ大賛成!私ね、家ですき焼きをやる時は素材は極力少なく、牛肉以外にはタマネギの輪切りとクレソンしか入れないんです。シーズンによっては松茸をどっさり入れることもありますが。
情野 やっぱり山田家は違うね!
山田 だから森上さん、クレソンの発想は素晴らしい!トスカーナでも現地ではビステッカ・アッラ・フィオレンティーナとルーコラ・セルヴァティカを合わせるでしょ。それってまさに牛肉とクレソンの組み合わせのイメージと同じなんです。たれの水分を少なく、焼くように調理したすき焼きとブルネッロ・ディ・モンタルチーノを合わせたらドンぴしゃ!すき焼きはシンプルなほうが絶対美味しいんだから。
森上 お褒めいただきありがとうございます。特にこの白醤油を使ったやさしい風味のクレソンのソースは、力で押し切るようなパワフルなタイプよりも、しっかりと酸度を保ち、程良いタンニンとのバランスがいい赤ワインが合いますよね。
山田 私はすき焼きとナンバー1は『バンフィ』。今日のすき焼きは料理長さんがタレをいろいろと工夫してくださっていますが、一般家庭がどれだけタレを用意できるかというとそれは難しい。だから、ごく一般的なタレに卵の甘味のあるすき焼きと、『バンフィ』というのはポイントが高い。もう一つ素敵なアッビナメントだなと思ったのは『ソラリア ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2009年』。甘さと酸度のバランスをとると甘さが強く感じられるのですが、味わいが柔らかくて糖度が高く、一般の人が飲んで美味しいと感じられるワイン。そのわかりやすさこそ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノに和食を組み合わせるための大事なキーワードだと思うのです。
情野 今回こうして飲んでみてブルネッロ・ディ・モンタルチーノのスタイルも時代の流れとともに、力強くてパワフルで、というところから、ナチュラル志向に変わってきていますね。中にはピノ・ノワールと共通したものを感じました。
森上 ワインを飲む温度帯も、細かく気にせず味わっていただきたい。なぜなら、醤油は室温でその風味が生かせるように造られた調味料ですから。
——WK 肩肘張って難しく考えず、まずは手に入れやすいブルネッロ・ディ・モンタルチーノをいつものご家庭の食卓に合わせて、ということですね。本日はありがとうございました。




【テイスタープロフィール】(五十音順)

情野博之氏(Hiroyuki SEINO)
フランス料理「アピシウス」シェフソムリエ
国際ソムリエ協会認定・インターナショナル・ソムリエ、女子栄養大学非常勤講師、シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ、第6回「ポメリースカラシップ」優勝、第3回「全日本最優秀ソムリエコンクール」第3位、シャンパーニュ・アンリオアンバサダー

森上久生氏(Hisao MORIGAMI)
ソムリエ
国際ソムリエ協会認定・インターナショナル・ソムリエ。レストラン「サンパウ」「ベージュ アラン・デュカス東京」などでシェフソムリエを歴任。数々のコンクールで受賞歴を持つ。2013年に独立後は、ドラマ「ディナー」「大使閣下の料理人」などで出演者所作を担当。その他イベントの企画など多岐に渡って活躍


山田久扇子さん(Kumiko YAMADA)
イタリアワインを主とするトータル・ワイン・コーディネーター。老舗日本料理店にイタリアワインを取り入れた先駆者で、イタリアのホテル、ワイナリーのPRを手掛ける




【ワイン紹介】
『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』(コル・ドルチャ)
Brunello di Montalcino/Col d’Oricia

安心できる味わい。濃度が高すぎず、日常的なワインとして日本料理に合わせやすい。(山田)
(生産者情報)
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産者の中でも最大手の一つ。モンタルチーノ地区の南斜面に540ヘクタールの土地と、最新の設備を備えた醸造所を所有する。
[輸入元:㈱フードライナー]


『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』(レ・ポタッツィーネ)
Brunello di Montalcino/Le Potazzine

プラムのようなピュアな香りに、滑からでふくよかな酸。ジューシーで快活。(森上)
(生産者情報)
「ポタッツィーネ」とは四十雀を意味し、ジュゼッペ・ゴレッリ氏が1993年に創業。わずか5ヘクタールの小さなワイナリー。現在はジュゼッペ氏の娘ヴィオラさんが経営のトップを担う。
[輸入元:㈲エトリヴァン]


『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2009年』(ソラリア)
Brunello di Montalcino/Solaria

生肉などの野性的な香りやリキュールの香り。ドライな味わいで、スパイシーさもある。(情野)
(生産者情報)
モンタルチーノの北東側に1968年に創立。約50ヘクタールの土地を所有する。オーナーであり醸造家のパトリシア・チェンチオーニさんがワイン造りのすべての仕事を取り仕切る。
[輸入元:㈱nakato]


『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』(カサノヴァ・ディ・ネリ)
Brunello di Montalcino/Casanova di Neri

タンニンがシルキーで、酸度と果実味、熟成感のバランスに優れる。コクのある味わい。(山田)
(生産者情報)
ジョヴァンニ・ネリ氏により1971年に設立された家族経営のワイナリー。当主ジャコモ・ネリ氏が、思い切った剪定によりブドウの収穫量を抑え、凝縮感のあるワインを生む。
[輸入元:㈱アルカン]


『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』(リジーニ)
Brunello di Montalcino/Lisini

ダークチェリーのコンポートやタバコの葉の香り。非常に濃縮感があり、タンニンと酸が豊か。(森上)
(生産者情報)
リジーニ家がモンタルチーノの地で代々受け継いできた、今や同地のトップワイナリーの一つに君臨。醸造責任者のフィリッポ・パオレッティ氏が自信のスタイルを貫く。
[輸入元:㈱モトックス]


『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2012年』(バンフィ)
Brunello di Montalcino/Banfi

果実的な香りが支配的で、ドライでキレの良い、乾いたタンニンが特徴的で、飲みやすい。(情野)
(生産者情報)
1978年の創立以来、ブドウ品種の研究やオリジナル発酵槽の開発など、革新的研究を重ねてきた。品質のために手間と労力を惜しまなく、同社独自の管理を徹底しワイン生産を行う。
[輸入元:モンテ物産㈱]


『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ カステル・ジョコンド2012年』(フレスコバルディ)
Brunello di Montalcino Castelgiocondo/Frescobaldi

マラスキーノチェリー、ローズ、ナッツの香り。ストラクチャーがしっかり、インパクトのある味わい。(森上)
(生産者情報)
芸術家たちのパトロンとして1300年代から今日に至るまで活動を続けてきたフレスコバルディ家。2010年には非常にモダンで最新技術を備えたセラーを発表するなど、革新を続けている。
[輸入元:日欧商事㈱]

ホームページ
http://kafuka-tokyo.co.jp/ginzashimoji/

text by Ryo TAMURA
photographs by Koumei KADOWAKI




ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ協会のアプリ、配信中! ブドウ畑やワイナリー、宿泊施設などがポイントされたモンタルチーノ地区の地図はサテライトビューと地図ビューの切り替えが可能。検索機能も充実しています。
Consorzio del Vino Brunello di Montalcino

ワイン王国編集部
この記事を書いたのは
ワイン王国編集部
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