「ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー」に加盟する約100シャトーが来日し、2016年ヴィンテージを披露した。
 2016年は、多くのシャトーが「エクセレント」と絶賛する優良ヴィンテージ。6月前半までは雨が多かったが、6月下旬から8月は晴天が続き、乾燥した。一方夜の気温は下がり、ブドウにとっては好条件に。サン・ジュリアンの「シャトー・ラグランジュ」では「ブドウの粒が1粒1グラムほどととても小さく、過去最小でした」と椎名敬一副会長は話す。特にカベルネ・ソーヴィニヨンの出来が良かったという。「収穫期もずっと好天に恵まれ、カベルネ・ソーヴィニヨンの収穫は10月17~24日と、例年より遅い時期まで待つことができました」。やさしくチャーミングな果実味とソフトで細かいタンニンが備わる、若くても楽しめるワインとなった。 
 オー・メドックの「シャトー・ラ・ラギューヌ」も、「2016年は突出して良い年。パーフェクト!」とプレステージ・アカウント・マネジャーのジャン・リュック・シャペル氏の声は明るい。フレッシュさとバラの香り、酸とエレガントなタンニンがバランスを保つ華やかなワイン。「今も美味しいが、20~30年以上は熟成させられる」と自信を見せた。 
 天候に恵まれた影響で、白ワインは厚みがあるスタイルとなった。「シャトー・ラウール」のセミヨンは、夏の乾燥で果実が凝縮。酸も高く、熟成の可能性は十分だという。

 ボルドー地域全体で良好だった2016年ヴィンテージ、多くのシャトーに共通しているのが、ジューシーな果実味と柔らかなタンニン、スムーズな飲み口だ。将来の熟成が楽しみな、完成された印象。あるシャトー関係者は「2016年のように暑く恵まれた年は、温暖化の影響もあってこれからも続くと思う。歓迎すべきことだが、一方ではシャトーごとの個性やヴィンテージの個性が出にくくなることも考えられる」と話す。
 アルコール度数にもこれまで以上に気を使う必要があるなど、温暖化への対応、持続可能なワイン造りへの対応は急務であると考えるシャトーも多い。ボルドーのシャトー、グランヴァンはどう変わるのか。2016年のワインは、ボルドー・ワインの未来を考えるきっかけになりそうだ。

画像: ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー
2016年 テイスティング開催

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