今やイタリアで最も国際的知名度が高いワイナリーの一つとなった「オルネッライア」。その成功はたゆまざる革新によりもたらされた。

 1980年代初めにロドヴィコ・アンティノリ氏により創設され、近代的スタイルと華麗な味わいであっという間に国際的スターとなった。今はトスカーナの名門フレスコバルディ家が所有し、ジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤCEOが大胆な経営戦略でさらに飛躍させている。

画像: 「オルネッライア」新ヴィンテージ『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア 2018年』リリース

 ボルゲリの地中海性気候を反映した、豊潤でみずみずしいオルネッライアは常に完璧な造りだ。現在はオルネッライアから独立したワイナリーの「マッセート」は、メルロ100%のカルトワインであり、赤ワインで名声を築いた。しかし、オルネッライアで1980年代後半から造られている『ポッジョ・アッレ・ガッツェ』(当時はソーヴィニヨン・ブラン100%)も高い人気を誇る。複雑で、品格のあるワインで、豊かな果実味とハーブの涼やかなアロマを両立させているところが、いかにもボルゲリらしい。

 ポッジョ・アッレ・ガッツェは一度生産が中止され、ファンを大いに悲しませていたが、幸い新しいブレンドで復活した。現在もソーヴィニヨン・ブランが主体だが、ヴェルメンティーノとヴィオニエが少しブレンドされる。2005年から醸造責任者を務めるアクセル・ハインツ氏はボルドー大学出身で、醸造コンサルタントはミッシェル・ロラン氏といったことから想像できるように、完璧な仕上がりのスタイリッシュな白ワインで、果実、ミネラル、酸が見事に調和し、地中海灌木のアロマが限りなく魅力的だ。

 発酵、熟成は25%が新樽のバリック(小樽)、25%が新樽でないバリック、50%がステンレスタンクと卵型セメントタンクだ。マロラクティック発酵(*1)は行わない。シュール・リー(*2)の状態でバトナージュ(*3)をしながら6カ月熟成させて瓶詰め、さらに1年の瓶熟成を経てリリースされる。

(*1)乳酸菌により、ワインの中のリンゴ酸が乳酸と二酸化炭素に分解される現象。酸味が柔らかく、香味が豊かなワインとなる

(*2)フランス語で「オリの上」という意味。醸造終了後、オリ引きをせずワインと接触をさせておく醸造法。オリの主成分の酵母菌体がアミノ酸などに分解されてワインに溶け込み、風味に深みを与える

(*3)熟成中にタンク内を撹拌し、オリの成分を抽出する作業

『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア 2018年』
品種:ソーヴィニヨン・ブラン83%、ヴェルメンティーノ11%、ヴィオニエ6%
希望小売価格:8800円(税込)

 このたびリリースされた2018年は、比較的フレッシュなヴィンテージ。豊かな果実とみずみずしい酸を持ち、柔らかい味わいだが、適度のミネラルが生き生きとした印象を与える。清涼感に溢れ、上品だが、堅固で、魅惑的な白ワインである。 

問い合わせ先日本リカー㈱ URL:https://www.nlwine.com/
ピーロート・ジャパン㈱ URL:https://www.pieroth.jp
㈱ファインズ URL:https://fwines.co.jp

text by Isao MIYAJIMA

宮嶋 勲(みやじま いさお)
ジャーナリスト。日本とイタリアでワインと食について執筆活動を行っている。『イタリア ワイン ランキング』監修と翻訳、『イタリアワイン』監修(ともに「ワイン王国」)、「グランディ・クリュ・ディタリア最優秀外国人ジャーナリスト賞」受賞

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