5年前、オペラ通りにほど近いパリ1区、モンパンシエ通りにオーブンしたレストラン『EnYaa』はフランス風のサービスで高級和食料理を味わえるレストランとして人気がある。また幅広い日本酒と個性的なシャンパーニュの品ぞろえでも知られている。店を経営する中村快氏はフランス育ち、ソムリエの松本天志氏も語学が堪能だ。料理を担当する遠藤大輔氏は茨城県出身で、25年間、京都の旅館、料亭を回り日本料理、懐石料理の腕を磨いてきたトッブシェフの一人。

画像1: 旨味の相乗効果を奏でる、日本料理と「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のマリアージュ

遠藤大輔シェフの作る日本料理に惚れ込み、ここでプレス対象の試飲会を聞いたのが、「シャンパーニュ・シャルパンティエ(Champagne CHARPENTIER)」のジャン・マルク・シャルパンティエ氏だ。用意されたボトルはシャンパーニュ・シャルパンティエ『ミレジメACT’ 2015』、「テール・デモーション」シリーズの『ブリュット・ヴェリテ』『ブラン・ド・ブラン』『ブラン・ド・ノワール』『ロゼ』、さらに希少なスペシャル・ボトル『ピノ・ムニエ・ゼロ・ドザージュ』の計6本。

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テロワール・デモーション『ブリュット・ヴェリテ』はシャンパーニュ・シャルパンティエの代表的ボトルでシャルドネ70パーセント、ピノ・ノワール15パーセント、ムニエ15パーセント。シャルドネの繊細さとピノ・ノワールの果実味のバランスが素晴らしく、新鮮な後口が大変心地いい。

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テール・デモーションシリーズの『ブラン・ド・ブラン』と『ブラン・ド・ノワール』の飲み比べも、それぞれの品種の個性が巧みに表現されていて大変興味深かった。特に印象に残ったのはキュヴェ・スペシャル「ピノムニエ・ゼロ・ドザージュ」だ。ムニエだけで作るブリュット・ナチュールは珍しく、ややもするとムニエの粗野な味わいだけが後口に残るが、これは透明感がありピュアな内容の味わいが長く続き面白かった。

画像4: 旨味の相乗効果を奏でる、日本料理と「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のマリアージュ

合わせた料理はフランスのテーストを僅かに取り入れつつも日本の本物の旨味を表現したもの。その中の一つ炙ったドラッド・ロワイヤル(鯛)の刺し身を生菱、みそ、ポン酢、醤油のタレで味わう料理に「ピノムニエ・ゼロ・ドザージュ」を合せると臭みが全くなく、日本食の純粋さが良く引き立ち心地よかった。グリルした子牛肉、キノコ、イチジクをすき焼き風のタレで味わう料理も日仏のフュージョンながら味わいがあり大変面白かった。これにはカのある『ブラン・ド・ノワール』が大変よく調和した。

画像5: 旨味の相乗効果を奏でる、日本料理と「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のマリアージュ

「EnYaa」の人気料理の一つが「鯖寿司」で、遠藤大輔シェフの25年のノウハウが凝縮している。旨味が濃縮した鯖寿司には『ブラン・ド・ノワール』だけでなく繊細な『ブラン・ド・ブラン』もよく合う。

画像6: 旨味の相乗効果を奏でる、日本料理と「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のマリアージュ
画像7: 旨味の相乗効果を奏でる、日本料理と「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のマリアージュ

シャルパンティエ家は8代続く栽培家だが、自家ブドウ圏の葡萄を醸造し、自家ブランドのシャンパーニュの販売を始めたのは2006年から。それまで長い間協同組合に収穫したブドウを収めていた。現在ドメーヌを管理するジャン・マルク・シャルパンティエ氏の父親は農業エンジニアで、醗造・栽培高校の校長として多くの栽培家を育てた。ジャン・マルク・シャルパンティエ氏もその下で学び、学業をおえて1988年に、栽培家として働く祖父母の下で実際のブドウ栽培の実際の仕事のノウハウを身に着けた。

画像8: 旨味の相乗効果を奏でる、日本料理と「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のマリアージュ

ジャン・マルク・シヤノレパンティエ氏が独立してまず始めたことは、畑の区画ごとに細かく分けて醸造すること。こうすることで正確にそれぞれのテロワールの個性を表現できるようになった。そして、自分の哲学に基づくシャンパーニュ作りをさらに進めるために、2009年にピオディナミの栽培方法を取り入れ第一段階としてビオの認証を目指した。

ドメーヌのあるシャルリ・シュル・マルヌ村はエベノレネから西に向かつて流れ、パリ近郊でセーヌ河に合流するマルヌ川に沿ってブドウ園が広がるヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区にある。この辺りはシャンパーニュのブドウ栽培地域の最も西に位置し、話題になることが比較的少ない。これは、石灰質だがやや粘土質が多い土壌と、マルヌ川の湿度で春に多い霜害を避けるために発芽が遅くやや粗野で病気にも強いムニエが主にこの地域に植えられていることとも関係しているかもしれない。

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幸い、「シャンパーニュ・シャルパンティエ」には祖父の時代に植えた素晴らしいシャルドネが多く残っていて、作付け全体の45パーセントを占めている、これが「シャンパーニュ・シャルパンティエ」のキュヴェの質を支えるのに多きな役割を果たしている。さらに、「ピノムニエ・ゼロ・ドザージュ」にみられるように巧みにムニエを使いこなしていることも「シャンパーニュ・シャルパンティエ」の特徴だろう。全体にかなり辛口で心地よいピュアな味わいで、新しいレコルタン・マミュピュランの情熱が感じられる。

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