ソムリエと樋口真一郎氏(髭男爵)と学ぶ品種の勉強会。ワイン用ブドウ品種について、基礎知識から味わい方まで、とことん学ぶ連載です。本誌『ワイン王国 129号』にも詳しく掲載されているので、併せてご覧ください。(デジタル版はこちらから→https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/bookshop-wk/wk129)

第2回目の「サンジョヴェーゼ」に続く今回のテーマは「ソーヴィニヨン・ブラン」。「トゥールダルジャン 東京」ソムリエの工藤順平氏と樋口真一郎氏と一緒に、世界中で栽培されている品種であるソーヴィニヨン・ブランの魅力に迫る。

ソーヴィニヨン・ブランのいろは

シャルドネと並ぶ白ブドウの代表品種。芽吹きは遅めで、樹勢は強く成熟が早い。ベト病にも強く、世界中で広く栽培されている。ワインのタイプを大別すると、控えめなアロマでミネラリーな印象か、パワフルで果実味が際立つ味わいかになるが、いずれも生き生きとした高い酸が特徴。

主な香り
グレープフルーツやレモンなどの柑橘類、フレッシュハーブ。
産地により、パッションフルーツやパイナップルなどのトロピカルフルーツ。

味わい
生き生きとした酸とすっきりとした果実味で、さわやかな飲み口。
産地によっては凝縮感とボリュームのある味わいに。

シノニム
ブラン・フュメ、フュメ・ブラン、ムスカット・シルヴァーナなど

個性的な香りのアロマティック品種

フランス原産で、世界中で栽培されているソーヴィニヨン・ブラン。樋口氏は、過去に30軒以上の日本ワイナリーからソーヴィニヨン・ブランを集め、飲み比べをしたことがあるそうだ。

「北の産地は柑橘類のすっきりとした香り、南西に向かうとトロピカルフルーツの濃厚なアロマに変わっていきます。どこもその土地で生まれる個性を大切にしている印象を受けました」

画像1: 個性的な香りのアロマティック品種

工藤氏も、世界の産地でも同じ傾向がみられるという。
「冷涼な産地のロワールではエレガントでミネラリーな印象が強くなります。ニュージーランドの場合、気候は冷涼でも強い日差しを長時間浴びてブドウが育つため、パワフルな果実味が表に出てきます」

画像2: 個性的な香りのアロマティック品種

フレッシュな酸とアロマティック品種ならではの豊かな香りが、産地ごとに多彩な表情を見せてくれるソーヴィニヨン・ブラン。今回は8アイテムを飲み比べ、その特徴をつかんでみた。

これぞ! ソーヴィニヨン・ブラン8選

品種の個性が表現された8アイテムを紹介。
造り手や産地による味わいの違いを知り、お気に入りの1本を見付けよう。

『マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン 2019年』

画像1: 品種のいろは Vol.3「ソーヴィニヨン・ブラン」

グレープフルーツやパッションフルーツなど幅のある豊かな果実のアロマに、ハーブのグリーンのニュアンスが重なる。味わいはさわやかで、充実した果実味ときれいでシャープな酸が際立つ。ニュージーランドらしく親しみやすいピュアな味わい。

産地:ニュージーランド/マルボロ地区
生産者:ヴァヴァサワー
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:2200円(税込)
問い合わせ先:㈱ラック・コーポレーション

『オイスター・ベイ マールボロ ソーヴィニヨン・ブラン 2021年』

レモンやグレープフルーツなどの柑橘類の香りに、ディルやカシスの芽のグリーンを感じる清楚なアロマ。口に含むとキレのある酸、ボリュームのあるアルコール感と果実の凝縮感があり、さわやかな味わい。ほのかな塩味が食事との相性の幅を広げる。

産地:ニュージーランド/マルボロ地区
生産者:デリゲッツ・エステート
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:2981円(税込)
問い合わせ先:日本酒類販売㈱

『ソーヴィニヨン・ブラン マールボロ 2020年』

グレープフルーツの香りに、青リンゴやほのかに洋ナシ、フェンネルやパクチーなどハーブの印象も。アタックは軽やかで、中盤から芳醇な果実味が広がり、もぎたて果実のようなみずみずしさとフレッシュな酸が心地いい。ほろ苦いアクセントも魅力。

産地:ニュージーランド/マルボロ地区
生産者:フォリウム・ヴィンヤード
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:4620円(税込)
問い合わせ先:WINE TO STYLE㈱

『アンツフィールド サウス・オークス シングル・ブロック バレル・ファーメンテッド ソーヴィニヨン・ブラン 2016年』

パイナップルやパッションフルーツ、アプリコットなどの熟した果実のアロマに、樽由来のヘーゼルナッツやスパイスの香ばしさが加わる。アップルミントに似た香りも。口当たりは滑らかで、豊かな果実味をミネラルと酸が支える、厚みのあるワイン。

産地:ニュージーランド/マルボロ地区
生産者:アンツフィールド・エステート
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:6050円(税込)
問い合わせ先:㈱リブ・コマース

『ソーヴィニヨン・ブラン 2021年』

白桃や洋ナシのタルトを思わせる甘やかなアロマに、ジャスミンの花やレモングラスなどの複雑ですがすがしい香り。軽快なアタックからきめ細やかな酸が口中に伸びる。豊富なミネラルと凝縮した果実味のバランスが良く、はつらつとした印象の1本。

産地:オーストラリア/南オーストラリア州
生産者:ショウ・アンド・スミス
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:3080円(税込)
問い合わせ先:㈱モトックス

『アンジェリーニ 2020年』

リンゴや洋ナシのタルト、白桃など果実の甘やかな香り。ほのかにメロンや、アップルミントなどのハーブのニュアンスも。生き生きとした穏やかな酸が心地よく、クリーンな味わいで、果実味もしっかり感じられる。フルーティーで丸みのあるワイン。

産地:アメリカ/カリフォルニア州
生産者:マーティン・レイ ヴィンヤーズ アンド ワイナリー
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:4345円(税込)
問い合わせ先:㈱かりふぉるにあ商事

『フォン・ウィニング ソーヴィニヨン・ブラン I 2018年』

リンゴやアプリコットの熟した果実の香りに、カルダモンやパクチーのエキゾチックなアロマが加わる。樽由来のヴァニラ香も。アタックは穏やかで、シャープな酸が全体を引き締める。砂質や砂利土壌由来のミネラル感がクリアな印象で、余韻は長い。

産地:ドイツ/ファルツ地方
生産者:ヴァイングート・フォン・ウィニング
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:4675円(税込)
問い合わせ先:㈱モトックス

『グランポレール 安曇野池田 ソーヴィニヨン・ブラン 2018年』

グレープフルーツの皮のようなほろ苦いニュアンスに、ユズやカボスなどの和柑橘の親しみやすい香り。白い花やハーブのアロマがやさしい印象。口に含むとしっかりとしたミネラルが清涼感を伴って口中に広がる。和食と相性抜群のワイン。

産地:日本/長野県
生産者:グランポレール
品種:ソーヴィニヨン・ブラン 100%
希望小売価格:4409円(税込)
問い合わせ先:サッポロビール㈱

ワインからキーワードを引き出し、日常の食事に合わせて

8本のワインを試飲し、樋口氏は「一括りに“香り豊かでフレッシュでさわやか”とは言い切れない個性があることがわかりました。各産地の気候や土壌を反映したブドウのキャラクターに加えて、醸造方法によっても味わいは驚くほど多彩に変わりますね」と振り返った。

最後に、ソーヴィニヨン・ブランを家庭で楽しむコツを工藤氏が伝授!
「ワインの持つ要素をピックアップし、それに合う香味野菜や調味料を添えてみてください。ホウレンソウのお浸しには“ユズ皮とポン酢”、刺し身には“塩コショウとオリーヴオイル”など……。いつもの家庭料理を少しアレンジして楽しんでくださいね」

プロフィール

樋口真一郎氏 Shinichiro HIGUCHI

お笑いコンビ「髭男爵」のメンバー。2015年ワインエキスパート取得、(一社)日本ソムリエ協会名誉ソムリエ

工藤順平氏 Jumpei KUDO

「トゥールダルジャン東京」ソムリエ。青森「ホテル ニューキャッスル」を経て2012年より現職。第2回「JSAソムリエ・スカラシップ」受賞、第7回「全日本最優秀ソムリエコンクール」セミファイナリスト。ワインスクールの講師も務める

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