2021年に大型の観光施設がエペルネに相次いでオープンした。その一つが、モンターニュ・ド・ランスの中心地、アイ村に作られた『プレソリア(PRESSORIA)』だ。シャンパーニュ「ポメリー」が19 世紀末から使っていた圧搾所を改装したもので、青みがかった灰色でコーティングされたファサッドと、それとは対照的な赤レンガの組み合わせが美しい。また、チューダー朝のアーチ、高くて狭い窓など、当時のアングロサクソンの建築様式が興味深い。

2001 年以来休眠状態になっていたが、中核となる観光施設の創設を長年検討してきたヴァレ・ド・ラ・マルヌ自治体連合(CCGVM)が購入し、県、地方の財政援助、地元企業の寄付などを基にワインツーリスムの拠点とし復活させた。風景、建築、景観を融合させ、没入型の感覚体験を通して、シャンパンの素晴らしさ、歴史的遺産の集合体としてのシャンパーニュを理解してもらおうという野心的なプロジェクトだ。部屋ごとにユニークで革新的なコンセプトとインタラクティブな楽しい技術デバイスのおかげで、ブドウとワインの仕事のあらゆる側面を探索でき、新しい発見、驚き、感動を味わうことができる。また、建物の前に広がる広大なテラスで眼前に広がるブドウ園を見ながら味わうシャンパーニュは格別だ。ガストロノミーに興味のある人は1階のレストランで食事を楽しむこともできる。

画像: 「ポメリー」の旧圧搾所を改装して作られた、ワインツーリズムのための複合施設

「ポメリー」の旧圧搾所を改装して作られた、ワインツーリズムのための複合施設

画像: 館内受付(左)、ホールの天井は凝った木組みの立体的な構造で大変美しい

館内受付(左)、ホールの天井は凝った木組みの立体的な構造で大変美しい

画像: インタラクティブな技術デバイスを使って、ユニークな没入型の感覚体験を楽しむことができる

インタラクティブな技術デバイスを使って、ユニークな没入型の感覚体験を楽しむことができる

画像: さまざまなメゾン、ドメーヌのシャンパーニュを試飲し、広大なテラスからブドウ園を眺めながらゆっくりと時間を過ごすことができる

さまざまなメゾン、ドメーヌのシャンパーニュを試飲し、広大なテラスからブドウ園を眺めながらゆっくりと時間を過ごすことができる

エペルネの観光スポット「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」

エペルネのシャンパーニュ大通りに2021年5月にオープした「シャンパーニュワインと地域考古学博物館(Le musée du vin de Champagne et d'Archéologie régionale)」も充実しており、半日かけてじっくり回りたいワイン観光スポットだ。

19世紀の末にメゾン「ペリエ ジュエ」のオーナーだったシャルル・ペリエ氏が邸宅兼セラーとして建てたもので歴史建造物に指定されている。建築家のピエール・ウジェーヌ・コルディエ氏が設計した4200㎡のこの建物は当時流行していたレンガ、⽯、スレート、ガラスなどの素材を使ったもので、19世紀の建築様式が色濃く残っている。1898年にシャルル・ペリエ氏が亡くなった後、シャンパーニュ事業と共にシャトーを甥のアンリ・ガリス氏が相続。第二次大戦中の1943年にエペルネ市が買い取り、1947年に図書館と博物館、二つの⽂化施設に改編した。

画像1: エペルネの観光スポット「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」

2年間の改装工事を経てエペルネのワインツーリズムの拠点として生まれ変わった考古学博物館は、10部屋に分かれ各展示室を巡り、数百万年前のシャンパーニュの土壌の形成から現在に至るまでのシャンパーニュ地方の歴史、物語を知ることができる。関連する工具、機械、ガラス製品、絵画、彫刻、装飾美術品、リトグラフなどテーマ別に集められた2000点のコレクションは世界レベルで、大変見ごたえがある。また、タッチテーブル、仮想現実ヘッドセットなどさまざまなデジタルデバイスを使い、モダンでインタラクティブな舞台美術を楽しむことができる。常設展示のほか、年間通して、コンサート、ショー、野外映画、特別テイスティング、多くのイベントをはじめとするプログラムが用意されており、大人はもちろん、子供も楽しめる。また、建物の周りに広がる庭園を散歩するのも心地よい。

画像: メゾン「ペリエ ジュエ」のオーナーだったシャルル・ペリエ氏が建てた邸宅兼セラーを改装して作られた「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」

メゾン「ペリエ ジュエ」のオーナーだったシャルル・ペリエ氏が建てた邸宅兼セラーを改装して作られた「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」

画像: 「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」に展示された世界レベルの2000点の展示品

「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」に展示された世界レベルの2000点の展示品

画像2: エペルネの観光スポット「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」

2人の星付きシェフの料理に5本のシャンパーニュを合わせた記念夕食会

前回紹介したフェスティバル・ヴィニャールは、祝の酒、シャンパーニュに支えられた催しで、会期中にさまざまな形で夕食会、昼食会が開かれる。7月7日に「シャンパーニュワインと地域考古学博物館」で開かれた、フェスティバル「ヴィニャール」のオープニング記念夕食会もその一つで、地元生産者、メゾンの取引先、メディア関係者ら約120人が招かれた。

料理を担当したのはホテル「ダングルテール」の1ツ星シェフ、ジェローム・フェック氏と「ドメーヌ・レ・クレイエール」の2ツ星シェフ、フィリップ・ミル氏で、シャンパーニュの催しに相応しい素晴らしいガストロノミー料理に6本の高級キュヴェを合わせて楽しんだ。

画像: 「ブドウの小枝で燻製したオマールエビ」と『Blancde blancs Grand Cru 2013 en magnums(ド・サンガール)』

「ブドウの小枝で燻製したオマールエビ」と『Blancde blancs Grand Cru 2013 en magnums(ド・サンガール)』

画像: 「ヴァン・ジョーヌを使ったジロル茸のフリカッセ」と『P181, Champagne Biologique Extra Brut(カナール・デュシェーヌ)』

「ヴァン・ジョーヌを使ったジロル茸のフリカッセ」と『P181, Champagne Biologique Extra Brut(カナール・デュシェーヌ)』

画像: 「オレンジジュースとヴァドゥヴァンのスパイスを使ったアンコウ」と『Brut Nature Mono Cru Le Mesnil-sur- Oger(ロンバール)』

「オレンジジュースとヴァドゥヴァンのスパイスを使ったアンコウ」と『Brut Nature Mono Cru Le Mesnil-sur- Oger(ロンバール)』

画像: 「ジャガイモと豚足のガレット、青菜野菜、トリュフ添え」と『Brut Sous-bois en magnums(ビルカール・サルモン)』

「ジャガイモと豚足のガレット、青菜野菜、トリュフ添え」と『Brut Sous-bois en magnums(ビルカール・サルモン)』

画像: 「グアバ、フランボワーズを使ったシャンパーニュ・ロゼのためのアイスクリーム」と『Brut Rosé Marquise de Mun, Rosé de Saignée base 2006(ドゥ・ヴノージュ)』

「グアバ、フランボワーズを使ったシャンパーニュ・ロゼのためのアイスクリーム」と『Brut Rosé Marquise de Mun, Rosé de Saignée base 2006(ドゥ・ヴノージュ)』

画像: 左から『Royale Brut enmagnums(ジョゼフ・ペリエ)』『Blanc de blancs Grand Cru2013 en magnums(ド・サンガール)』『P181, champagne BiologiqueExtra Brut(カナール・デュシェーヌ)』『BrutNature Mono Cru Le Mesnil-sur- Oger(ロンバール)』『Brut sous-bois en magnums(ビルカール・サルモン)』『Brut Rosé Marquise de Mun, Rosé de Saignée base 2006(ドゥ・ヴノージュ)』

左から『Royale Brut enmagnums(ジョゼフ・ペリエ)』『Blanc de blancs Grand Cru2013 en magnums(ド・サンガール)』『P181, champagne BiologiqueExtra Brut(カナール・デュシェーヌ)』『BrutNature Mono Cru Le Mesnil-sur- Oger(ロンバール)』『Brut sous-bois en magnums(ビルカール・サルモン)』『Brut Rosé Marquise de Mun, Rosé de Saignée base 2006(ドゥ・ヴノージュ)』

ユニークなツアー用2階建てバス「ランペリアル・ド・マリー・アントワネット」

グループ向きのシャンパーニュ・バスツアーを提供しているのが「ランペリアル・ド・マリー・アントワネット」だ。高さ 3.5 メートルのパノラマラウンジを備えたユニークな2階建てバスを使ってさまざまな観光プランを用意しており、オープンエアーのバス2階でシャンパーニュを味わいながらシャンパーニュ観光を満喫できる。

画像: 高さ 3.5 メートルのパノラマラウンジを備えたユニークな2階建てバスを使ったバス・ツアー

高さ 3.5 メートルのパノラマラウンジを備えたユニークな2階建てバスを使ったバス・ツアー

上空150mからエペルネ周辺のブドウ園のパノラマを楽しめる係留型気球

エペルネ市の中心、シャルル・ド・ゴール大広場に係留型気球「Le Ballon d'Epernay」の発着場がある。ヘリウムを満たした気球はケーブルで地面に接続されている。大気の状態で中止になることもあるが、天候が良ければ、するするとワイヤーが伸びて上空150mまで上昇しエペルネの市街、そしてその周りに広がるブドウ園を眺めるユニークな体験を楽しむことができる。大人料金14€、上空でのシャンパーニュのグラスサービスはプラス10€。

画像: エペルネのシャルル・ド・ゴール大広場に設置された係留型気球で150M上空からパノラマを楽しめる

エペルネのシャルル・ド・ゴール大広場に設置された係留型気球で150M上空からパノラマを楽しめる

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