熱気と喜びに包まれ、日本ワインの真価が輝いた一日
6月9日、東京。窓から皇居の景色の広がる会場に足を踏み入れると、ステージ前はすでに業界関係者で満席。ホールには、期待と緊張が入り混じる独特の空気が漂い、「日本ワイナリーアワード®︎2025」のロゴが壇上に輝くなか、授賞式が幕を開ける。農林水産省、観光庁、JFOODOの来賓あいさつに続き、遠藤審議委員長による審査結果の発表に移った。
374ワイナリーから281社が受賞:星の煌めきと実力の証
審査基準を満たす全国374ワイナリーのうち、281社が「コニサーズ」から「3つ星」「4つ星」「5つ星」のいずれかに選出。なかでも、最高評価の「5つ星」には、北海道のドメーヌ・タカヒコ、山﨑ワイナリー、そして山梨の老舗・勝沼醸造、丸藤葡萄酒工業など17社が名を連ね、その実力が高く評価された。副賞は、リーデル・ジャパンよりデキャンタ、グローバル㈱よりワインオープナーを贈呈。
品質の高さ、継続性、テロワールの表現力に優れた銘醸ワイナリーの受賞に、会場からは惜しみない拍手が送られた。
5つ星ワイナリー代表挨拶 メルシャン㈱エグゼクティブ・ワインメーカー安蔵光弘氏
タケダワイナリー社長の岸平典子さんに、副賞のデキャンタを授与するリーデル・ジャパン代表のウォルフガング・アンギャル氏
特別な輝き:「髙嶋政宏賞」と「JAL賞」
俳優・髙嶋政宏氏が選ぶ「2025特別審査員賞」には、大分県の安心院葡萄酒工房が選出。髙嶋氏は壇上で、新婚時代に訪れた大分で『安心院葡萄酒工房 イモリ谷シャルドネ』と出合った思い出を語り、その特別な一杯への想いが来場者の心を打った。
2025年特別審査員の俳優・髙嶋政宏氏より、安心院葡萄酒工房の執行役員工房長・古屋浩二氏に特別審査員賞を贈呈
また、昨年新設された「JAL賞」には、北海道・めむろワイナリー、石川県・ハイディワイナリー、奈良県・木谷ワインの3社が選出。若手生産者たちが希望と情熱に満ちたスピーチを行い、会場に新しい風を吹き込む。
「JAL賞」は、日本航空株式会社取締役専務執行役員 柏頼之氏より、以下の3社に送られました。左から、めむろワイナリー醸造責任者 尾原基記氏、ハイディワイナリー代表取締役 高作正樹氏、木谷ワイン代表 木谷 一登氏
新体制の発表:未来を見据えた布陣
協議会は発足から8年を経て、今年新たな体制を構築。新任理事、顧問、アドバイザーが紹介され、共同代表理事には山本光子氏が就任。顧問には初代観光庁長官・本保芳明氏と、「菊乃井」代表・村田吉弘氏が加わり、農林水産省関係者も参画する多彩な顔ぶれが揃う。
「今後の審査と普及活動に、より多角的な視野と信頼性が加わる」ことが力強く宣言され、会場は拍手で包まれた。
日本ワイナリーアワード新体制
左から、顧問に、コマンドリー・ド・ボルドー日本メートル、コマンドリー・ド・ボルドー東京名誉会長 本保芳明氏
理事に、前農林水産省農産局長、㈱極洋顧問 平形雄策氏、㈱HiRAKU代表取締役 廣瀬俊朗氏
アドバイザリーに、公益財団法人日本醸造協会常務理事 後藤奈美氏
一般参加者も加わった、温かな祝福のひととき
厳かな授賞式とは対照的に、記念パーティーは全国から集まった約100名のワイン愛好家を迎え、和やかな懇談の場に。山梨県知事、塩尻市長による挨拶に続き、髙嶋政宏氏の音頭で「イモリ谷シャルドネ」による乾杯が行われ、華やかに幕を開けた。
当日参加の「5つ星」17ワイナリーのうち14ワイナリーと、「JAL賞」受賞の3ワイナリーが自らワインを振る舞い、会場は歓談と笑顔に包まれる。東京會舘のお料理に舌鼓を打ち、ワインを酌み交わし、写真を撮り、言葉を交わす……造り手と愛好家が一体となった、あたたかな交流の光景が広がっていた。
当日振舞われた5つ星17ワイナリーのワインと副賞のデキャンタとワインオープナー
ワイナリーの皆さんと歓談の様子
東京會舘の特製料理に舌鼓を打ち、希少なワインを堪能
日本ワインの“今”と“これから”を体感する場
今回の授賞式は、単なる表彰にとどまらず、日本ワインの成熟と未来の可能性を感じさせる場となった。全国から多様な造り手たちが集い、誇りと情熱を持って登壇し、その功績を業界と愛好家が一体となって称えた。
いまや500を超える日本のワイナリーたちが、これからどんな挑戦を見せてくれるのか。日本ワインが世界へ向けてどのように羽ばたいていくのか。未来への期待が一層高まる一日となった。
【問い合わせ先】
日本ワイナリーアワード®
https://www.japan-winery-award.jp/