イタリア・トスカーナの名門「フレスコバルディ」が1973年に生み出した『ポミーノ・ベネフィッツィオ』。今年リリースされる2023年ヴィンテージで50周年を迎えるにあたり、このほどフレスコバルディ家の30代目で輸出統括責任者であるステファノ・ベニーニ氏が来日し、垂直試飲会と特別セミナーが開催された。
垂直試飲の前に、「フレスコバルディ」の歴史や所有するワイナリー「カステッロ・ポミーノ」について語る輸出統括責任者のステファノ・ベニーニ氏 写真:吉岡晋
一族の歴史が1000年以上前にさかのぼるという「フレスコバルディ」。700年前にトスカーナのテヌータ・カスティリオーニにおいてワイン造りを始めて以来、各地でテロワールの魅力を最大限に引き出し、トスカーナの多様性を表現してきた。
「フレスコバルディ」が所有している「カステッロ・ポミーノ」。標高400〜750メートルに108ヘクタールの畑が広がる
「3〜4代ごとに栽培における優秀な人材が現れてきたことで、フレスコバルディは発展してきました」と、輸出統括責任者であるステファノ・ベニーニ氏は話す。
その歴史あるフレスコバルディが誕生させた『ポミーノ・ベネフィッツィオ』が、2023年ヴィンテージで50周年を迎えた。ポミーノは1716年にトスカーナ大公コジモ3世が定めた主要4大ワイン産地の一つ。古来、白ワインの銘醸地として知られている。1855年にはフランスから帰国したアルビッツィ家のヴィットリオとレオーニアが、ブルゴーニュのテロワールとの共通点を見出してこの地でシャルドネやピノ・ノワールなどを植樹。その後、レオーニアがアンジョロ・フレスコバルディと結婚したことで、両家の所有地が統合された。1893年にはグラヴィティー・システム(ポンプを使わず、重力によって醸造が行われるシステム。強い圧力をかけずに、果肉・果汁を運ぶことができる)の醸造所を国内で初めて設立。そして、1973年にイタリア初の樽熟成の白ワインとして造られたのが『ポミーノ・ベネフィッツィオ』なのだ。
左から『ポミーノ・ベネフィッツィオ・リゼルヴァ 2023年』、『ポミーノ・ベネフィッツィオポミーノ・ベネフィッツィオ 1990年』、『ポミーノ・ベネフィッツィオ・リゼルヴァ 2014年』 写真:吉岡晋
垂直試飲では最新の2023年ヴィンテージに加え、2014年と1990年が登場。
芽吹きの時期に雨がたくさん降ったものの、夏は気候が良く、ブドウの質も良かったという2023年はアンズの香りに熟したニュアンスもあり、洗練されていてポミーノらしいさわやかさを感じる味わいだ。
「2014年は標高が高いポミーノらしく、しっかりとした酸があったので、当初から長期熟成の可能性を感じていた」とベニーニ氏。トロピカルフルーツやハチミツをはじめ、複雑なアロマが感じられた。
そして、偉大なヴィンテージとされている1990年。香りにはドライフルーツのアンズやアーモンド、ハチミツといった熟成のニュアンスがある。「いつ飲んでも生き生きとしている」というベニーニ氏のコメントの通り、いまだに酸が感じられる味わいで、参加者一同に驚きを与えていた。
手前左から2023年、2014年、1990年ヴィンテージ。奥は垂直試飲に先立って供された『ポミーノ・ベネフィッツィオ“レオーニア” 2021年』(左)、『ポミーノ・ビアンコ 2023年』
涼しい気候、昼夜の大きな寒暖差、豊かな日照、水はけの良い砂質を多く含んだ土壌というポミーノのテロワールを映し出した『ポミーノ・ベネフィッツィオ』。フレッシュかつ長期熟成のポテンシャルを有するワインを生み出すポミーノの真価を、垂直試飲を通して感じることができた。
近年は各地で温暖化への対応が課題となっているが、「ポミーノはもともと気温が低いので、ほかの産地に比べてアドバンテージがある。豊かな山々に守られ、今後もクオリティの高いブドウを作り続けることができると考えています」とベニーニ氏。その言葉には、トスカーナという土地や歴史とともに歩んできたフレスコバルディ家の信念が感じられた。
「今年は大雨に2度見舞われましたが大きな被害はなく、期待ができます」とベニーニ氏 写真:吉岡晋
日欧商事「フレスコバルディ」サイト
問い合わせ先:日欧商事㈱ 0120-200105