飲食店がひしめく神保町の中でも静かな路地にある「bistro mêle」。有機栽培の野菜を使った豪快なビストロ料理と自然派ワイン。この二つが気軽に楽しめる店は、界隈のワイン好きの心を掴んでいる。
昔ながらの純喫茶、カレー店などの 飲食店も数多く、ワインが気軽に楽しめるバルやビストロも増えている。その神保町の路地に2024年7月にオープンしたのが「bistro mêle」だ。
「神保町駅」から徒歩4分。近隣の住人や会社員など、女性を中心に40~50代のお客が多い
ランチは1500円で肉料理のメインにサラダと自家製パンが付く。場所柄、近隣の会社員に好評だ
「mêleはフランス語で雑多、混ざり合った、という意味です。もともとは人が集まるような店を作りたいと考えていたので、幅広い方々が気軽に楽しんでいただきたいという想いを込めました」と話すのは、オーナーの関島達矢氏。テーブル14席と目が届くコンパクトな規模で、シェフの桜井乗(じょう)氏ともう1人のサービススタッフが切り盛りする。
シェフの桜井 乗氏は青山のビストロなどで経験を積んだ。神保町は学生時代を過ごした、ゆかりのある土地
オーナーの関島達矢氏は、当初カフェの開業を目指していたが、桜井シェフとの出会いをきっかけにビストロを立ち上げた
店内に掲げられた黒板にはアラカルトのメニューが 15~20品並ぶ。ニンジンのラペやシャルキュトリ、鴨のコンフィなどビストロの王道から、カリフラワーのピューレを添えたラタトゥイユ、カキとウーハン(伝統野菜のサトイモ)のフリットといった旬の野菜で一工夫加えた料理まで、食指が動くラインナップ。マッシュルームのスライスにパルミジャーノ・レッジャーノ・チーズをたっぷりすりおろした料理とシャルキュトリ以外は、常時内容が変わるという。また、パテ・ド・カンパーニュや鶏レバームースは3センチメートル程度の厚さにカット、肉のローストも1皿250グラムと、圧巻のボリュームは本場のビストロさながらだ。冷菜やデザートなどはハーフポーションも可能なので、1人でも 気軽に楽しむことができる。
白ワインにマッチする「ブラータチーズ、苺(紅ほっぺ)」(2100円)。季節によってモモやシャインマスカットなど、組み合わせるフルーツが変わる
もち豚のハム、牛ハツのハム、鶏レバームースを盛り合わせた「3種盛り」(2300円)。牛ハツのハムはランチのメインでも人気もメニューだ。自家製のパンは別料金
ボリューム感のある「蝦夷鹿肉モモのロティ」(3900円)は、蝦夷鹿のジュ(だし)をベースに発酵バターで仕上げた軽やかなソースを添えている
季節の野菜をたっぷり使っているので、ボリュームがあっても食後感は軽やかだ。
「収穫できた時は『あさみえん』(無施肥・無農薬で栽培する農家)さんの野菜など有機の野菜を取り入れ、手を加えながらも、素材の持ち味を生かす調理を心掛けています」と桜井氏は語る。
黒板のアラカルトのほかに、5000円のコースも用意(要予約)。料理の価格も手ごろで客単価は7000~8000円だという
こうした料理とともに味わうワインは、ブドウそのものの味を引き出した造りで飲みやすい、自然派が中心。フランスやイタリア、オーストリア、ドイツなど各国のものがそろう。グラスワインは泡、白、赤、ロゼ、オレンジを1〜2種類ずつ用意。ほとんどが1000円以下と気軽に楽しめる価格なのがうれしい。なかでもオレンジワインは、さまざまな料理に合わせやすく、人気があるという。ボトルは30~40種類の中から好みに合ったワイン5〜7本をワゴンにのせてテーブルまで運んでくれるので、(ボトルネックに付いた)ワインの説明文を読みながら、楽しく選べる。
ワインの価格が高騰する中でも「気軽に飲んでもらいたいから」とグラスワインは基本的に1000円以下に設定している
ワインのボトルにはワイン名や産地、品種、テイスティングコメントを書いた札が付けてあるので、じっくり読みながら選ぶことができる
桜井氏が「複雑さのある味わいで、日本の自然派の良さを知るきっかけになったワイン」と話す『てぐみ 39』(丹波ワイン)は常時提供しているが、そのほかは随時入れ替わるという。
神保町の路地に現れた「bistro mêle」。ボリュームがありながらも軽やかな料理と、多種多彩な自然派ワインがカジュアルに楽しめるアットホームな店は、隠れ家として押さえておきたい1軒だ。
今年2月に内装をリニューアル。コンクリートだった床を板張りにし、ナチュラルで落ち着いた雰囲気に
≪SHOP DATA≫
「bistro mêle」
東京都千代田区神田錦町3-14
TEL:03-6285-0700
text by Mie NAMBA, photographs by Kentaro TAKIOKA