♪草津よいとこ、一度はおいで~♪
有名な草津節のフレーズに誘われ、群馬県の草津温泉へ。6月にオープンしたばかりの星野リゾートの温泉旅館「界 草津」で体験する、日本一の湯を知り、触れ、癒やされる、極上の湯けむりステイ。

名実ともに「日本一の湯」
草津温泉をより深く知り、味わう

旅のスタートは軽井沢駅から。バスは美しいカラマツの並木道「三笠街道」を走り、軽井沢の別荘地や白糸の滝などの観光地を抜けて1時間20分ほど。草津温泉バスターミナルに到着すると、街には温泉の香りが流れていた。

「界 草津」は標高約1234メートルの高台に佇み、澄んだ空気と雄大な眺望に包まれる

温泉街の中心地から高台を目指す。車寄せに着くと、柿渋で染めた大きな暖簾が迎えてくれた。
今回の滞在先は「界 草津」。「界」は星野リゾートが全国24施設に展開する温泉旅館ブランドで、「界 草津」は今年6月に開業した最新の施設だ。白根山を望む静かな木立に囲まれ、豊かな自然と静寂に包まれる贅沢なステイを満喫できる。ここを拠点に、「日本一の温泉」と称される草津温泉を2泊3日たっぷりと堪能しよう。

レセプションには、地元名産のシルクが配され、地域の魅力を感じさせる空間に

館内は抑えた照明で、落ち着いた雰囲気。レセプションにはグリーンの布がやさしく揺れる。草津の象徴でもある湯畑の緑色をイメージしているという。世界で活躍するテキスタイルデザイナー須藤玲子さんの作品で、館内の随所に須藤さんの手による布のアートが飾られている。チェックインを済ませ、広々とした庭を望む客室でちょっと一息。かつて養蚕が盛んだった群馬県の歴史にちなんだご当地部屋「シルクアートの間」には、やはり湯けむりをモチーフにした須藤さんの作品が。

ひと休みしたら、敷地内にある「暖炉ラウンジ」へ。草津温泉の歴史や泉質などの特徴をスタッフが解説する「温泉文化いろは」に参加する。草津は温泉の自然湧出量日本一を誇り、全国の旅行会社の社員など旅のプロが毎年選ぶ「にっぽんの温泉100選」では、なんと23年連続1位の絶対王者として君臨する。泉質は強酸性で高い殺菌力や抗菌力があり、少しピリッとした肌触りが特徴だ。草津のシンボルでもある湯畑には毎分約4000リットルもの源泉が湧き、50〜90度と高温の湯を木製の樋(とい)に流して空気に触れさせることで入浴に適した温度まで下げているという。

湯に浸かる前に知っておきたい、草津温泉の歴史や文化

「昔の人は温泉を『薬湯』、つまり薬としてとらえていて、薬効を得るために水で薄めたりせず適温まで下げるため、あの湯畑が作られたのです」

紙芝居が案内する、草津の湯と人の歩み

スタッフさんのレクチャーに、温泉の効能への期待がますます高まる。

草津らしいプレゼンテーション「花豆味噌とイノシシのリエット 湯もみ見立て」

空が暮れなずんできたら、お待ちかねの夕食タイム。館内の食事処で、一品一品に草津らしさを散りばめた「上州豊伝会席」をいただく。草津温泉名物の湯畑と湯もみをイメージした先付けから始まり、メインの台の物「上州常夜鍋」で体の芯までほっこり。ワインはフランス、日本酒は群馬の蔵元の酒がそろい、群馬の恵みとの滋味深いペアリングが楽しめる。

群馬県民にはおなじみの「上毛かるた」をデザインした特注木箱で楽しむ「宝楽盛り」

「草津温泉旅館協同組合」の青年部と地元の老舗酒蔵「浅間酒造」が共同開発している日本酒プロジェクト「KUSATSU PLUS PROJECT」もラインナップ

おなかも満たされたところで、湯浴みといこう。敷地内にある大浴場には、趣の異なる「万代鉱源泉」と「西の河原源泉」が引かれている。自然と一体になれる露天風呂、浴槽によって異なる源泉と温度帯が楽しめる内湯と、館内にいながら湯めぐり体験ができる。「温泉文化いろは」で「草津の湯は強いので長湯は禁物。しっかり水分補給して楽しんでくださいね」というスタッフさんの言葉を思い出し、休憩を挟みながらのんびり堪能した。

トンネルの先には賑やかな温泉街
外湯めぐり

翌朝。名湯に体も心もほぐれ、目覚めもスッキリ。暖炉ラウンジの前で「草津白根山体操」があるというので、参加することに。スタッフさんの指導のもと、朝の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みながら、源泉がふつふつと湧く静けさ、マグマで温められた温泉が噴き出す力強い様子などを表現する体操で体を動かす。じんわりと汗がにじみ、体が整っていくのを感じる。

トンネルを抜けた先に広がるのは、湯けむり漂う草津温泉街。旅気分が一気に高まる

地元の食材をふんだんに使った「ご当地朝食」を楽しんだら、草津の温泉街へ繰り出そう。「界 草津」のコンセプトは「トンネルがつなぐ木立の湯宿と温泉街」。宿が佇む静かな森から、トンネルの先の湯治客で賑わう街へーー。まるで別世界にワープしたような不思議な新体験だ。街歩きには、館内で販売する「界 草津まちめぐりセット」を手に入れて出かけたい。有名な三つの外湯に入湯できる「三湯めぐり手形」とオリジナルタオル引換券、話題の「裏草津」にあるカフェ「月の貌」のドリンクチケット、スタッフお勧めのスポットを紹介するオリジナル冊子「草津めぐりのすすめ」がセットになっている。

代表的な外湯「御座之湯」「大滝乃湯」「西の河原露天風呂」の3つをめぐれる「三湯めぐり手形」に加え、湯上がりにぴったりな「ドリンク引換券」や「タオル引換券」、スタッフおすすめの街歩き冊子がセットに

外湯に浸かったら湯冷ましに散策し、カフェでお茶したり、飲食店やお土産店が軒を連ねる通りで串焼きや温泉まんじゅうをつまんだり、酒屋の角打ちでは群馬の銘酒やビールを味わったり。ランチには、ひもかわうどんなど群馬の名物を味わうのもいい。

温泉街にある老舗酒店「土屋酒店」の角打ちでは、群馬の地酒をはじめ、厳選された酒を気軽にテイスティング。土地の味を知る、旅の楽しみの1つだ

今、話題のスポット「裏草津」。地蔵源泉の脇には足湯、顔湯、手洗乃湯がある

街歩きを満喫したら、再びトンネルを通り宿へ。全国にある温泉旅館ブランド「界」では、地域の文化を体験できる「ご当地楽」を提供している。養蚕、製糸、織物といった絹産業で栄えた染織産地である群馬県にちなみ、「界 草津」では「シルクを紡ぐ上州座繰り」を。繭玉から棒を使って糸をひき出し、それを「座繰り機」と呼ばれる木製の道具で1本の糸に仕上げていく。繊細な作業だが、慎重になりすぎると力が入ってしまい、均一の糸にならない。呼吸を整えながら一定のペースで巻いていくのがコツのようだ。できた糸は草木染めをした別の糸と撚り合わせ、タッセルに。旅のいい思い出だ。

江戸時代から続く伝統的な技法である「上州座繰り」を体験!

二日目の夕食は、敷地内にある「蕎麦割烹 SAI」へ。地粉、生粉打ちにこだわった十割蕎麦と、「蕎麦前」と呼ばれる一品料理もそろう。宿泊客には「地粉生粉打ち蕎麦会席」が用意されている。「からすみ蕎麦」「出汁巻き玉子」など多彩な「蕎麦前」から始まり、蕎麦湯と昆布出汁で味わう「和牛サーロインのしゃぶしゃぶ」「天ぷら」と続き、最後は自慢の蕎麦で締める。ワインはフランスのナチュラルワインが中心。「蕎麦も蕎麦前も、素材の美味しさを感じてもらいたいので、すっと飲めるきれいな味わいのワインにこだわっています」と支配人の中村信樹氏。群馬の地酒もそろう。

つなぎ(小麦粉など)を一切使わない、地粉と水だけで丹念に打ち上げる十割蕎麦。鰹・昆布・干し椎茸から引かれた「三段つゆ」で味わえる

「水がいいので蕎麦も酒もうまい。もちろん相性は抜群です!」

自然に抱かれる露天の朝湯で
湯浴み旅もクライマックス

「西の河原公園」は、湧き出た温泉がそのまま川となって流れている

最終日は早起きして朝湯といこう。宿から徒歩10分ほどの「西の河原露天風呂」は、男女合わせると500㎡と日本でも有数の広さを誇る大露天風呂だ。広い空の下、圧倒的なスケールの開放感! 四季折々の風景を眺めながら、少しピリピリとする肌触りのお湯に浸かって、ぐーんと手足を伸ばして。日々の疲れがほどけていくよう。
日本一の温泉、さまざまな体験を通じ触れた草津の魅力、そして、群馬の美食美酒に酔いしれた湯浴み旅。軽くなった心と体で、さぁ、日常に帰ろう。

「界 草津」には、大型犬も宿泊できる専用の「愛犬ルーム」(3室限定)があり、露天風呂付き客室で、愛犬と一緒に贅沢な温泉滞在を楽しむことができる

今回宿泊した「界 草津」は、星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド。
「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、その地域の伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽」や、地域の文化に触れる客室「ご当地部屋」などを通じて、その地の「温泉文化」が楽しめるのが特徴だ。
今年は「界 草津」「界 宮島」「界 松本」「界 蔵王」の4施設が一気にオープン。その後も続々と新たな施設が開業し、2030年までに約 30 か所の展開を予定している。

「界 草津」
(群馬県草津温泉)
住所:群馬県吾妻郡草津町大字草津字白根464番地690
TEL.050-3134-8092(界予約センター)
客室数:94室(うち露天風呂付き客室18室)
チェックイン/アウト:14:30/11:00
料金:1泊2食付き 4万6000円~(2名1室利用時 1名料金、税・サービス料込)
温泉:大浴場、露天風呂(万代鉱源泉・西の河原源泉)
アクセス:軽井沢駅から車で約60分、長野原草津口駅からバスで約20分
駐車場:無料

URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikusatsu/

text by Asako NAKATSUMI
edit by Kei MURATA