ギリシャの首都アテネを擁するアッティカには、「ΠΓΕ Αττική – PGI Attiki」と「ΠΓΕ Πλαγιές Κιθαιρώνα – PGI Slopes of Kithaironas」という2つの地理的表示がある。異なる産地名に見えるが、その地理的範囲には重なりがある。2つのPGIの特徴を知ることで、アッティカワインの多彩な個性が、より鮮明に見えてくる。
ΠΓΕ Αττική – PGI Attiki
アッティカという地域そのものを表す名称
標高30m以上のアッティカ全域を対象とするPGIである。白、赤、ロゼが生産され、辛口から天日干しブドウを使用した甘口まで、幅広いスタイルが造られている。なかでも中心となるのが、フレッシュな辛口白ワインである。
暑く乾燥した東部から、スタマタやカパンドリティなど、より涼しい北部の斜面まで、同じアッティカの中にもさまざまな環境がある。それぞれのテロワールが、ワインに個性を与えている。
主要品種はサヴァティアノである。マラグジア、アシルティコ、ロディティスなども栽培されている。
このPGIで特に注目したいのが、2つの異なるスタイルである。
一つは、フレッシュで若いうちから楽しめ、優れたコストパフォーマンスによってアッティカワインの評価を築いてきた白ワイン。そしてもう一つが、古樹のサヴァティアノから造られる、熟成による魅力を備えたワインである。
後者は、灌漑を行わない畑で栽培され、収量を1ヘクタール当たり28~35ヘクトリットルに抑えるなど、低収量で丁寧に造られている。数年の熟成を経て開花する味わいも、アッティカワインの大きな魅力である。
ΠΓΕ Πλαγιές Κιθαιρώνα – PGI Slopes of Kithaironas
大陸性気候が育む、個性豊かな産地
キサイロナス山の両斜面に広がり、アッティカとボイオティアにまたがる地域を対象とするPGIである。エリスレスやプラタイエスなどを含み、冬には雪が降ることもあるほか、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴である。土壌は粘土質や砂質ロームなど、多様なタイプが見られる。
ここで特に注目したいのが、赤ワインである。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラーなどを主要品種とし、柔らかくフルーティーなスタイルから、豊かで凝縮感のあるスタイルまで、幅広いワインが造られている。
白ワインではアシルティコやマラグジアが中心である。ロゼワインの生産も認められている。
アッティカのワインを選ぶ際、サヴァティアノを中心とした白ワインとは異なる、より力強い赤ワインを探しているなら、ぜひ注目したい産地である。
ラベルから読み解く、アッティカワイン
最後に、ラベルを見る際に覚えておきたいポイントが2つある。
一つは、ブドウ品種の表示である。ラベルに品種名が記載されている場合、EUの規則に基づき、その品種について最低使用比率が定められている。2品種以上が表示される場合は、使用比率の高い順に記載される。
そして、もう一つがヴィンテージである。
古樹のサヴァティアノから造られるワインの場合、収穫から3~4年を経たボトルであっても、単なる「古い在庫」とは限らない。むしろ、時間を重ねることで、その土地と品種が持つ複雑性や奥行きが引き出されていることがある。
「PGIだから」という理由だけで判断するのではなく、産地、品種、造り手、そしてヴィンテージに目を向けること。それが、アッティカワインの奥深さを知る近道である。