2026年10月、酒税法の改正によって、ビール、発泡酒、新ジャンルの酒税が350ml缶1本あたり54.25円に一本化される。この酒税改正を機に、サントリーの「金麦」が大きな転換を迎える。2007年の発売以来、長く親しまれてきた金麦が、これまでの新ジャンル製法からビール製法へ。麦芽比率を高め、「ビール」として生まれ変わるのだ。では、ビールになった金麦は、これまでと何が違うのか。そして、なぜサントリーは今、金麦をビールにするのか。その答えを探るべく、「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」で、10月限定開催の「金麦は、ビールへ。」おいしさ体感ツアーを、一足先に体験した。そこには、金麦らしいおいしさを守りながら新たな味わいを追求する醸造家たちの姿があった。

写真・文/コウゴアヤコ

金麦が生まれる現場を訪ねる

ビール工場見学というのは、何度訪れても胸が高まる。

「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」が建つのは東京都府中市。京王線・JR南武線分倍河原駅から無料バスに乗り込むと、ほどなくして工場の敷地内へ。ゲートを通過するとガラス張りの建屋内には大きな仕込設備が並んでいるのが見える。

受付を済ませ、ロッカーに荷物を預けて身軽になったら、いよいよ見学のスタートだ。

まずは、サントリーのビールに使われる原材料について。サントリーといえば、仕込みに天然水を100%使用していることでも知られる。大地に降った雨が地層を通ることでゆっくりと濾過され、適度なミネラルを含んだ水として蓄えられていく。その過程を模型で見ることができる

見学を進めるにつれ、どこからともなく甘い香りが漂ってくる。通路の突き当たりで、ツアー客の視線がひとつの扉に集まった。案内係の方が扉を開く。

その瞬間、視界が開けた。

バスの中から見えていたガラス張りの仕込設備、その上部へと出たのだ。エスカレーターで醸造釜が据えられたフロアへ降りていく。

目の前の巨大な醸造釜。その向こうには緑の木々と青空が広がり、金属製の釜とのコントラストが美しい。

案内係に促され釜の中をのぞき込むと、麦芽と麦汁が攪拌されている。甘い香りと釜から発せられる熱気が仕込み室全体に漂う。映像や写真では味わえない、製造現場ならではの体感だ。

この後は、ビール酵母による発酵、そして貯酒へ。

実際に使われていた容量34,055リットルもの巨大な「貯酒タンク」の内部を歩く。壁面からは、発酵が進む様子を再現した「プクプク」「コポコポ」という音が聞こえてくる。

濾過、パッケージング、品質検査を経て、ビールは各地へと届けられる。

そして、見学の最後に現れるのが「つくり手ロード」だ。

ビール造りに情熱を注いできた醸造家たちの写真と、それぞれの言葉が壁一面に並ぶ。

サントリーのビール造りを支えてきたのは、原料や設備だけではない。そこには、よりおいしいビールを追い求めてきた「造り手」の存在がある。

その先にあるセミナー室へ。このツアーでは、通常の「プレモルツアー」の試飲ルームではなく、こちらへ案内される。

ここからが、「金麦は、ビールへ。」ツアーならではのスペシャルな時間だ。

 

醸造家と飲み比べる、3つの新しい金麦

セミナー室に入ると、さっそくビールになった「金麦」がグラスに注がれる。きめ細かくクリーミーな泡と金色に輝く液体。見ているだけで喉が鳴る。

ここで登壇したのが、サントリー株式会社 ビール開発生産本部 ビール商品開発研究部 開発主幹の水口伊玖磨さんだ。

このツアーの何よりの魅力は、金麦を味わいながら醸造家本人から開発への思いや秘話を聞けることだ。

まずは参加者全員で乾杯。サントリーでは、乾杯の際に「スコール!」と3回唱和しながら杯を掲げる。デンマークのバイキングの伝統にちなんだものだという。

そして、いよいよ新しい金麦を口にする。

麦芽由来のコクと厚みを感じながら、飲み口は軽やか。麦のうまみがありながら、後口はすっと引いていく。

たっぷりと工場を歩き、ビールの製造工程を見てきた後だからだろうか。自然と喉が開き、杯が進む。

試飲は全部で3種類。続いて登場したのは「金麦〈糖質75%オフ〉」。こちらは缶で提供された。

糖質を気にせず、ビールと食事を楽しんでもらいたいという思いから開発された商品で、発酵をより進めることで糖質を抑えながら、麦のうまみと軽やかな爽快感のある後口を両立している。

最初の金麦よりライトな飲み口で、つまみとして提供された「CRATZ〈枝豆味〉」ともよく合う。スナックの素朴な香ばしさと塩気が、ビールの軽快さを引き立ててくれる。

3杯目は「金麦〈豊潤〉」。

アルコール度数6%で、豊かな麦のコクと飲みごたえを楽しめる一本だ。
口に含むと、麦芽の深みのある味わいが広がる。しっかりとした飲み心地には、頑張った一日の終わりに自分をねぎらうような特別感がある。

3種類を飲み比べると、それぞれに異なる個性があることがわかる。そして、その根底には「麦のうまみを楽しんでもらいたい」という共通した思いが感じられた。

 

「金麦らしさ」を守りながら、ビールへ

「金麦」ブランドは、2007年の発売以来、「味も、価格も、いちばん飲みやすいビール」を目指してきた。今回のビール化の背景には、実は長い研究の積み重ねがある。

サントリーでは2020年から、将来的なビール化を見据えた研究に取り組み、数十回に及ぶ試験醸造を重ねてきたという。

目指したのは、単に麦芽の量を増やして「ビール」にすることではない。ビールならではの麦のうまみや飲みごたえを引き出しながら、金麦がこれまで大切にしてきた、自然で澄んだ後味も実現すること。

そこには、醸造家にとってひとつのジレンマがあった。

「ビールの条件である麦芽比率50%以上にすると、麦芽由来の成分が増えます。その分、すっきりとした後味への影響も出てきます」そう話す水口さん。

麦のうまみを強くすれば、後味にも影響する。すっきりとした飲み口を追求すれば、今度は麦の存在感が弱くなる。そのバランスをとるため、原料の配合や醸造条件を細かく調整していった。

「良いビールは良い原料から」という考えのもと、贅沢麦芽である「旨味麦芽」と「国産麦芽」をブレンド。ホップもアロマホップとビターホップをバランスよく使用する。原料の配合は、0.1%単位で設計した。

さらに、素材の魅力を引き出す製法にも注力した。仕込み釜で煮出す工程では、三段階の温度帯でじっくりと麦のうまみを抽出する「うまみ三段製法」を採用。麦芽からうまみを引き出しながら、後味に影響する成分の抽出・分解を抑えるという。

こうして積み重ねてきた研究の先に完成したのが、新しい「金麦」だ。

2007年の金麦発売から約20年。ビール化に向けて約6年。この年月を醸造家としてどう捉えているのか。水口さんに尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「かけがえのない時間でした。新たな技術や知識を積み重ね、得るものがありました」

そして、もうひとつ強く感じたのが、「金麦らしさ」へのこだわりだった。

「ずっと金麦を飲んでくださっているコアファンに向けて、金麦らしさを損なわないようにしました。ビール化にあたって、コクと澄んだ飲み口の両立を狙っています。愛飲してくださっている方を裏切りたくないので、パッケージデザインもこれまでの金麦のデザインを損なわないようにしました」

ビールになる。けれど、金麦らしさは変えない。

その言葉を聞いてから改めて新しい金麦を飲むと、今回のビール化が単なるカテゴリー変更ではないことが見えてくる。

麦芽のうまみをしっかり感じながらも、食事と一緒に楽しみやすい軽やかな後口。そのバランスを追い求めた先にあるのは、金麦が発売当初から目指してきた「日々、家で飲むのにふさわしいビール」なのだろう。

酒税改正をきっかけに「ビール」へとカテゴリーを変える金麦。しかし、その味わいの根っこにあるものは変わらない。
20年近く積み重ねてきた研究と、これまで金麦を飲んできた人への思い。その両方を携えて、新しい金麦が10月、食卓へやってくる。

「金麦」と「金麦〈糖質75%オフ〉」は10月6日(火)から、「金麦〈豊潤〉」は10月13日(火)から、全国で発売予定だ。

※「金麦〈糖質75%オフ〉」の糖質75%オフは「金麦」比。

 

「金麦は、ビールへ。」おいしさ体感ツアーについて

概要
・所要時間:90分
・参加費:1,000円(税込)
・主な内容:「金麦」ブランドの歩みやビール化の背景をご紹介するとともに、製造工程の見学と「金麦」の醸造家による解説を通じて、新「金麦」のおいしさやものづくりへのこだわりをご体感いただけます。試飲パートでは「金麦」「同〈糖質75%オフ〉」「同〈豊潤〉」をご用意し、それぞれの個性やおいしさをお楽しみいただけます。
※20歳未満の方はご参加いただけません

開催日
2026年10月3日(土)、4日(日)、10日(土)、11日(日)、12日(月・祝)、17日(土)、18日(日)、24日(土)、25日(日)、31日(土)

開催時間
1日2回開催(9:55~、14:05~)

予約
「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」ホームページからご予約ください
※先着順とし、満席になり次第、受付を終了させていただきます

「サントリー〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野」ホームページ>
https://www.suntory.co.jp/factory/musashino/