アメリカ・カリフォルニア州「ケンウッド・ヴィンヤーズ」のマーク・ビーマン氏とニュージーランド「チャーチ・ロード」のクリス・スコット氏が時を同じくして来日。ともに醸造責任者を務める2 人の対談が実現した。

画像: (左)マーク・ビーマン氏 Mark BEAMAN/ケンウッド・ヴィンヤーズ KENWOOD VINYARDS 「ケンウッド・ヴィンヤーズ」醸造責任者。20 年以上にわたりカリフォルニアをはじめとするアメリカ各地の有名ワイナリーで研鑽を積み、2023 年6 月より現職 クリス・スコット氏 Chris SCOTT/チャーチ・ロード CHURCH ROAD 「チャーチ・ロード」醸造責任者。「ニュージーランド・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」のタイトルを5 回受賞した実績を持つ、この国を代表するワインメーカーの一人

(左)マーク・ビーマン氏 Mark BEAMAN/ケンウッド・ヴィンヤーズ KENWOOD VINYARDS
「ケンウッド・ヴィンヤーズ」醸造責任者。20 年以上にわたりカリフォルニアをはじめとするアメリカ各地の有名ワイナリーで研鑽を積み、2023 年6 月より現職
クリス・スコット氏 Chris SCOTT/チャーチ・ロード CHURCH ROAD
「チャーチ・ロード」醸造責任者。「ニュージーランド・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」のタイトルを5 回受賞した実績を持つ、この国を代表するワインメーカーの一人

——お二人は今回の来日で初めてお会いされたとのことですが、もうすっかり仲睦まじい感じですね。まずはそれぞれのワイナリーについて教えてください。

スコット 二つの島から成り立つニュージーランドですが、「チャーチ・ロード」は、南島より温暖な、北島のホークス・ベイにあります。1897年に創業された歴史あるワイナリーです。
ビーマン ホークス・ベイは訪れたことがあり、素晴らしい産地でした。「ケンウッド・ヴィンヤーズ」は、カリフォルニアのソノマ・ヴァレー北部で設立。土壌と気候の多様性が特徴で、それをワインに表現するのを信条としています。ちなみにAVA(*1)が19もあります。
スコット カリフォルニアというとやはりナパ・ヴァレーのイメージが強い。でも私には、骨太なワインを造るナパ・ヴァレーが“長男”で、ソノマ・ヴァレーは垢抜けたエレガントなワインを醸す“次男”という印象です。多様性については、ホークス・ベイにも多くの微気候が存在し、海岸は石灰質、内陸は砂質など土壌も多彩なんですよ。

*1 American Viticultual Area(アメリカブドウ栽培地域)。1983年に始まった、アメリカ産ワインの原産地呼称

——遠く離れた二つの産地には、多様性という共通項があるのですね。ともに力を入れているのがシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンだとか。

ビーマン 冷たい海の影響を受けるソノマのワインにはきれいな酸味が残ります。とはいえカリフォルニアは温暖なので『ケンウッド・ヴィンヤーズ シックス・リッジズ ロシアン・リバー・ヴァレー シャルドネ 2019年』の香りはトロピカルフルーツが中心。樽発酵もマロラクティック発酵(*2)も行いますが、この地の典型的なスタイルより軽やかです。

ケンウッド・ヴィンヤーズ シックス・リッジズ ロシアン・リバー・ヴァレー シャルドネ 2019年
Kenwood Vineyards Six Ridges Russian River Valley Chardonnay

品種:シャルドネ100% 参考小売価格:3740円

スコット 厚みを感じますが、樽感が突出せずにまとまりのある味わいですね。一方で私たちのシャルドネは、石灰質土壌で育ち、柑橘類の香りが特徴。ユニークなのは、トップキュヴェ『チャーチ・ロード・トム シャルドネ』の製法で、ブドウを圧搾したら樽に入れ、無添加・無ろ過、そのまま天然酵母で樽発酵。勇気と覚悟が必要な造りなんです。

チャーチ・ロード・トム シャルドネ 2021年
Church Road TOM Chardonnay

品種:シャルドネ100% 参考小売価格:2万6400円

ビーマン 美味しいですね。いろいろなヴィンテージを飲んでみたい! 続いて『ケンウッド・ヴィンヤーズ ジャック・ロンドン ソノマ・マウンテン カベルネ・ソーヴィニヨン 2018年』を試飲しましょう。ジャック・ロンドン州立歴史公園の中に位置する畑はやせた火山灰土壌で、ブドウの粒が小さく育つのが特徴。果汁に対する果皮や梗の割合が高くなるため、タンニンが抽出され過ぎないように配慮しています。
区画ごとに発酵させたものをフリーランジュースとプレスジュースに分け、35種類のジュースをブレンドします。カリフォルニアのカベルネ・ソーヴィニヨンは瓶詰め後早くリリースする傾向がありますが、私はエイジングを大切にしてセラーで保管。この2018年が現行ヴィンテージです。鴨コンフィなどのジビエ(野生鳥獣肉)料理がお勧めですね。

ケンウッド・ヴィンヤーズ ジャック・ロンドン ソノマ・マウンテン カベルネ・ソーヴィニヨン 2018年
Kenwood Vineyards Jack London Sonoma Mountain Cabernet Sauvignon

アメリカンチェリー、カシスを彷彿させる香りに、シナモンを思わせる柔らかな印象も。バランスの良いまろやかなタンニンがエレガントな余韻をもたらす、フルボディの赤ワイン。

品種:カベルネ・ソーヴィニヨン100% 参考小売価格:4620円

スコット 料理と合わせてもいいですが、例えば暖炉の前でゆっくり飲んでいたいとも思いました。ところで、カベルネ・ソーヴィニヨンはニュージーランドではほぼ栽培されていませんが、チャーチ・ロードではホークス・ベイの地でフレッシュな果実味の柔らかなカベルネ・ソーヴィニヨンを造っています。内陸にはボルドー左岸のように砂利の土壌があり、ボルドーより穏やかな気候のため、ブドウがゆっくり成熟します。
『チャーチ・ロード グランド・リザーヴ カベルネ・ソーヴィニヨン・メルロー 2020年』はカベルネ・ソーヴィニヨンが54.5パーセントで残りがメルロ。セパージュ(品種構成)は毎年ブドウの出来
に合わせて変えます。この年は凝縮感がありますが、同時に軽やかさもあり滑らかな飲み口です。昨夜一緒に食べた和牛のステーキとばっちりでしたよね。
ビーマン そうそう、ワインがスパイシーなので料理にソースは不要、塩とコショウで十分でした。ベリー系果実に鉛筆の芯のような印象も。まだまだ若く将来が楽しみです。

*2 乳酸菌により、ワインの中のリンゴ酸が乳酸と二酸化炭素に分解される現象。酸味が柔らかく、香味が豊かなワインとなる

チャーチ・ロード グランド・リザーヴ カベルネ・ソーヴィニヨン・メルロー 2020年
Church Road Grand Reserve Cabernet Sauvignon Merlot

香りはダークベリーやプラム、スミレの花にスパイスも。タンニンはきめ細かく、エレガンスと力強さが共存する。今飲んでも楽しめるが、あと15年ほど熟成させるのもお勧め。

品種:カベルネ・ソーヴィニヨン54.5%、メルロ45.5% 参考小売価格:7150円

——お互いのワインについて語り合ってみて、いかがでしたか?
ビーマン ホークス・ベイのテロワールが、きちんとワインに表現されているとともに、クリスさん独自の醸造スタイルには驚かされました。今後も頻繁に情報交換していきたいです。
スコット 多様性は自負していたのですが、ホークス・ベイに匹敵するソノマ・ヴァレーの多様性とポテンシャルの高さに興味津々です。風光明媚な地ですから、ワイン抜きでも訪れたいですね。

KENWOOD VINYARD(ケンウッド・ヴィンヤード)

アメリカのカリフォルニア州ソノマ・ヴァレーの北側に位置するケンウッド地区で、1970 年に設立。一貫した手作業とこの地が有する多様性や品質へのこだわりを理念として掲げ、高品質のワインを産している。

画像: KENWOOD VINYARD(ケンウッド・ヴィンヤード)

ニュージーランドでも、日本でも知名度はナパ・ヴァレーのほうが高そう。この機会にいろいろな品種のワインを飲んで、ソノマ・ヴァレーの素晴らしさを知って欲しいですね。

CHURCH ROAD(チャーチ・ロード)

1897 年に世界的ワインの銘醸地であるニュージーランドのホークス・ベイで創業。2005 年から醸
造責任者を務めるクリス・スコット氏が、常に細心の注意を払いつつ、時には自身の直感も信じた
ワイン造りを実践している。

画像: CHURCH ROAD(チャーチ・ロード)

ニュージーランドはソーヴィニヨン・ブランのイメージが強いでしょうが、それだけではありません。ぜひチャーチ・ロードの多彩なワインを飲んで、ニュージーランドを旅する気分を味わってください。

問い合わせ先:ペルノ・リカール・ジャパン㈱
TEL. 03-5802-2756

text by Atsushi TOGAMI
photographs by Kentaro TAKIOKA

『ワイン王国 139号』掲載

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