間伐材をアップサイクルした「Forest Echo IPA」が、
YONA YONA BEER WORKS各店でいよいよ開栓!

ヤッホーブルーイングが、興味深いコラボレーションを行った。同じ長野県で森林資源の有効活用に取り組む株式会社ヤソが手掛ける「芳香蒸留水」をビールの原料として用い、ホップだけでは醸すことのできないボタニカルな香りをまとわせようという試みだ。従来にないビールのアロマに対する新しいアプローチであるとともに、資源の有効活用という点でも大いに注目される取組みだ。

「芳香蒸留水」とは、エッセンシャルオイルなどに用いられる芳香成分を含んだ水溶液。ヤソ社では、間伐材の枝葉から水蒸気蒸留によって精油を抽出する。現在、高級ホテルで使用する石鹸や、
蒸留後の葉をお茶にしたりと、さまざまな取り組みを行っている。

 これまで、クラフトビールでさまざまなブルワリーがビールにウッディーな香りや薫香をまとわせるために木片(ウッドチップ)を用いることがあったが、一度蒸留をかけ芳香蒸留水として使用するメリットはどこにあるのか。

「大きな目的は二つあります。ひとつはチップで使うと、渋みなどの雑味も一緒にビールに溶け込みますが、芳香蒸留水であれば、樹木の香りだけを付加できます。もうひとつはハンドリングです。チップはそれを回収する工程が増えますので、時間も余分にかかりますし、多少なりともビールの歩留まりにも影響が出ます」とは、担当ブルワーのかっちゃんこと木村克利さん。そして、今回のプロジェクトのリーダーである田上峻さん(ニックネーム:がみた)が言葉を継ぐ。

「今回の芳香蒸留水は、間伐材の枝葉を使っているんです。一般的に幹の部分は建築や木工用の材木として使われるのですが、枝葉はお金をかけて処分することがほとんどだそうです。それをヤソさんでは何とか有効活用できないかと、水蒸気蒸留によって得たエッセンシャルオイルや芳香水をさまざまな製品に転用する試みをされています。ヤソさんの取り組みに賛同した我々は、今回、その芳香水をビールに添加し、長野の象徴ともいえる森林の香りをビールにまとわせたい、と思いこのコラボが実現しました」

 ヤソ社では現在相当数の樹種を水蒸気蒸留しているが、今回ヤッホーブルーインが選んだのはカラマツ、シラカバ、クロモジの三種だ。

「カラマツの深いボタニカルな香りをベースにクロモジのレモングラスのような爽快な香りがアクセントになっています。シラカバ自体にはキャラ立ちした香りはないのですが、シラカバを加えることで、全体の香りの厚みがますようになり、より樹々が生い茂った森林のイメージを醸せるようになりました」とブルワーの松本拓己さん(ニックネーム:シャオリン)がその狙いを語ってくれた。

芳香蒸留水の原料となった、カラマツの間伐材の枝葉

画像: ヤソ社にて、芳香蒸留水の確認をする ヤッホーブルーイングの田上さん(手前)
ヤソ社にて、芳香蒸留水の確認をする
ヤッホーブルーイングの田上さん(手前)

アロマを際立たせるビアスタイル「フリースタイルIPA」にも注目

今回の「Forest Echo IPA」は、ヤッホーブルーイングでは「フリースタイルIPA」と呼んでいる。一般的はIPAがエール酵母(上面発酵)を使用するのに対しラガー酵母を使うことで、よりすっきりとした飲み口に仕上げることが特徴だ。これは、ウェストコースト系の、いわゆる「コールドIPA」と言われるビアスタイルに近い。

「ではIPL(インディアン・ペール・ラガー)では?」と思われる方も多いと思うが、IPLとの違いは発酵の温度帯にある。IPLは通常のラガー酵母の温度帯で発酵を用いるが、コールドIPAはそれよりも高めの、エール酵母に近い温度帯で発酵させることによって、よりホップのフレーバーやアロマを引き出すことができる、というわけだ。

「間伐材の芳香蒸留水の他、ゆずの皮も一度蒸留をかけたものと、米を副原料として使っています」(かっちゃん)

ホップはシトラやアイダホ7といった、フルーティーなアロマを醸す、ウェストコースト系の定番。あたかも深い森の中で見つけた果樹を味わうようなフィニッシュになっているに違いない。
8月23日の開栓が、今から楽しみだ。

画像: 芳香蒸留水は、香りを極力損なわないように発酵後期に添加する。

芳香蒸留水は、香りを極力損なわないように発酵後期に添加する。

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