昨年12月、神楽坂の和食店「宙山」にて、シチリアのワイナリー「トルナトーレ」のプレゼンテーション・ディナーが開催された。
テーマは“和食とイタリアワインとのペアリング”。合わせたワインは、火山性土壌の特徴を生かしたエトナのワインだ。本会の中で、イタリアワインと和食との良い関係性が見えてきた。

和食とエトナワイン

今回のコースでは、もろみ味噌やユズ、魚介を使ったものなど、全9品が供された。数々のペアリングの中でも、木樽を使った赤ワインと味噌を使った料理は好相性だった。
例えば『ピエトラリッツオ・エトナ・ロッソ 2017年』に合わせたのは、味噌をのせたエビイモやもろきゅう。味噌と木樽の香ばしさが溶け合い、よくマッチした。

画像1: 和食とエトナワイン

ほかにも、イクラとマッチしたのは『エトナ・ロザート2019年』。ワインの果実味と豊かなミネラルがもたらす複雑さが、イクラの旨味と調和し、より奥深さが感じられる味わいとなった。

画像2: 和食とエトナワイン

白ワインには、滋味深く、さわやかな柑橘類が添えられた料理がよく合った。『エトナ・ビアンコ 2020年』のフレッシュでシャープな味わいと、ユズの皮で香り付けされたお吸い物は好相性だった。柑橘類のさわやかさがより一層引き立つ組み合わせだ。

画像3: 和食とエトナワイン

躍進のトルナトーレ

今回、和食とのペアリングを試した「トルナトーレ」は、イタリアのシチリア州エトナにある、1865年からブドウの栽培を行う老舗の造り手だ。1910年、エトナ山の標高1000メートルの北側斜面に2ヘクタールの畑を購入。同時期にブドウの圧搾を始めるなど、活動の幅を広げた。現在のオーナー、フランチェスコ・トルナトーレ氏が瓶詰めを開始。その後、ヴィンチェンツォ・バンビナ氏を醸造責任者として迎えた。
バンビナ氏は、90年代後半、意欲的な中規模ワイナリーが続出し、世界中でシチリアワイン・ブームが巻き起こったシチリアワイン・ルネサンスをけん引したうちの1人だ。

資産家であるトルナトーレ氏による惜しみない設備投資と、バンビナ氏の確かな醸造技術により、トルナトーレは目覚ましい躍進を遂げた。2015年ヴィンテージ以来、イタリアで最も権威あるワイン評価本『ガンベロ・ロッソ・イタリアワインガイド』における最高評価トレ・ビッキエーリを毎年獲得している。

ミネラリーで味わい深いワインを生み出すエトナ

フレッシュで優美なだけでなく、エトナのテロワールを反映した強い個性を持つワインを生み出すことが、トルナトーレの高い評価につながっている。
エトナを特徴付ける要素はさまざまだが、特に注目すべきはその“火山性土壌”だ。何十万年にわたって繰り返されてきたエトナ山の噴火により、畑には、火山灰、火山れき、溶岩が砕けて細かくなったものなどが堆積している。噴火のたびに異なるものが吹き出されるため、土壌は複雑に入り組んでいる。水はけがとても良く、ミネラル分は豊富。複雑で味わい深く、強くミネラルを感じさせるワインが生まれる。
本会を運営した「SOLOITARIA」代表の林茂氏によると「火山性土壌で育ったブドウから造られたワインは、白ワインは柑橘類の味わいに、赤ワインはスモーキーでエレガントになる傾向が強い」と解説した。

ワインリスト

●『エトナ・ビアンコ 2020年』
シュール・リー(※1)の状態でステンレスタンクにて3カ月間熟成し、その後セメントタンクで4~6カ月間熟成。エトナのワインに特長的なミネラル感と果実味が感じられる。グレープフルーツや白桃にミントの香り。酸はドライでミネラリー。ハーブティーのような余韻も。
※1 発酵後、オリ引きをせずワインと接触をさせておく醸造法。ワインの味わいにボリュームや複雑さを持たせることができる

画像: 『エトナ・ビアンコ 2020年』 品種:カッリカンテ100%

『エトナ・ビアンコ 2020年』
品種:カッリカンテ100%

●『ピエトラリッツオ・エトナ・ビアンコ 2019年』
ピエトラリッツオの畑の区画のブドウを木樽にて発酵。デリケートに溶け込んだ上品な樽香が感じられる。南国のフルーツやグレープフルーツ、シナモンの香りも。ミネラリーで、ハーブやモモのシロップ漬けのような味わい。

画像: 『ピエトラリッツオ・エトナ・ビアンコ 2019年』 品種:カッリカンテ100%

『ピエトラリッツオ・エトナ・ビアンコ 2019年』
品種:カッリカンテ100%

●『エトナ・ロザート 2019年』(新商品)
シュール・リーの状態で3カ月間発酵。ザクロの実を思わせる赤みがかったピンク色が特徴的。プラムや花の香り。フルーティーな口当たりで、ミネラル感と、エレガントで心地いい酸味を感じる。

画像: 『エトナ・ロザート 2019年』 品種:ネレッロ・マスカレーゼ100%

『エトナ・ロザート 2019年』
品種:ネレッロ・マスカレーゼ100%

●『エトナ・ロッソ 2018年』
セメントタンクにてマセラシオン(※2)しながら10~12日間発酵。輝きのある紫がかったルビー色。イチゴのタルトやアメリカンチェリーに加え、スパイシーな香り。エレガントで、まとまった果実の酸味と乾いたタンニンが印象的。
※2 ブドウの果皮を果汁に浸す、醸し作業。色素やタンニンなどさまざまな成分を抽出させることを目的とする

画像: 『エトナ・ロッソ 2018年』 品種:ネレッロ・マスカレーゼ97%、ネレッロ・カップッチョ3%

『エトナ・ロッソ 2018年』
品種:ネレッロ・マスカレーゼ97%、ネレッロ・カップッチョ3%

●『ピエトラリッツオ・エトナ・ロッソ2017年』
ピエトラリッツオの区画のワインで、除梗後、円錐型の木樽にて10~12日間発酵。バラのような華やかさに、スパイス、ハーブ、赤系果実の香り。きれいな果実味とともに、しっかりとしたボディも感じられる。ミネラルもありバランスの良い味わい。

画像: 『ピエトラリッツオ・エトナ・ロッソ 2017年』 品種:ネレッロ・マスカレーゼ100%

『ピエトラリッツオ・エトナ・ロッソ 2017年』
品種:ネレッロ・マスカレーゼ100%

ワインに関する問い合わせ先

大榮産業㈱ TEL:03-0768-1266

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