極甘口ワインの最高峰、ボルドー・ソーテルヌを代表する「シャトー・ギロー」。
醸造責任者のサンドリーヌ・ガルベイさんが来日し、ソーテルヌ・ワインの魅力を伝え、和食とのペアリングも探った。

画像: 醸造責任者のサンドリーヌ・ガルベイさん。ボルドー大学で生物学と医学の博士号を取得。卒業後に「シャトー・ディケム」に職を得て、4年後にセラーマスターとなる。2022年「シャトー・ギロー」入社。「ブドウ畑とワイン科学研究所」「モンペリエ農業科学高等教育国際センター」で教鞭をとっている


醸造責任者のサンドリーヌ・ガルベイさん。ボルドー大学で生物学と医学の博士号を取得。卒業後に「シャトー・ディケム」に職を得て、4年後にセラーマスターとなる。2022年「シャトー・ギロー」入社。「ブドウ畑とワイン科学研究所」「モンペリエ農業科学高等教育国際センター」で教鞭をとっている

ガルベイさんはボルドー大学在学中に「シャトー・ラトゥール」で研修し、ワインの道へ進むことを決めた。卒業後はソーテルヌの「シャトー・ディケム」に就職。24年間醸造に携わり、2022年にシャトー・ギローに転職した。

画像: 霧が発生する畑

霧が発生する畑

ソーテルヌは、貴腐菌が付いたブドウで造る極甘口ワイン。霧の発生など好条件がそろった時に果実に貴腐菌が付き、それにより水分が飛び糖分が凝縮、独特の香りをまとう。一般的に1本のブドウ樹から1本のワインができるが、ソーテルヌの場合は1本の樹からグラス1杯のワインしか造れない。独特の風味と希少価値の高さから、古より珍重されてきたワインだ。

ソーテルヌは歴史ある極甘口ワインの産地であるが、飲み手の嗜好や食の変化が影響し、近年は辛口がトレンドに。ソーテルヌ地区で辛口を初めて造ったのは「シャトー・ドワジデーヌ」。1940年代のことだ。59年に「シャトー・ディケム」、80年代にシャトー・ギローも続き、今やソーテルヌ地区の生産量の約60%が辛口ワインとなっている。若い世代を意識しての動きだが、サンドリーヌさんは「辛口から親しんでもらい、いずれは甘口に興味を持ってほしい」と願っている。

『G・ド・シャトー・ギロー 2022年』

『G・ド・シャトー・ギロー』はエントリーワインとして親しまれている辛口。2022年はセミヨンとソーヴィニヨン・ブランが50%ずつ使用されている。ふんわりと甘やかな香り、心地いい苦味とミネラル感があり軽やかな飲み口。最後にソーヴィニヨン・ブランの風味が残る。今の季節ならよく冷やして食前、前菜と楽しみたい。

『グラン・ヴァン・ブラン・セック 2020年』

『グラン・ヴァン・ブラン・セック 2020年』も辛口。20%だけ新樽を使い深みを出している。甘さを感じる塩味が独特の旨味を生み、より重厚な味わいで、料理との相性の幅がぐんと広がる。

『プチ・ギロー 2020年』

甘口のセカンドワイン 『プチ・ギロー』は、酸がしっかりしてフレッシュな味わい。2020年は甘さと辛さのバランスが良く、料理との相性が広い。「マグロのあぶり」に塩を付けていただくと、このワインによく合う。山葵を付けたクリーミーな「湯葉」との相性もいい。ほんのり甘い「だし巻き玉子」もやさしくマッチ。

画像: 「マグロのあぶり」に『グラン・ヴァン・ブラン・セック 2020年』『 プチ・ギロー 2020年』。プチ・ギローのさわやかな甘さと酸味に、山葵の風味がマッチ。マグロのあぶった香ばしさと程よい脂をグラン・ヴァン・ブラン・セックが受け止める

「マグロのあぶり」に『グラン・ヴァン・ブラン・セック 2020年』『 プチ・ギロー 2020年』。プチ・ギローのさわやかな甘さと酸味に、山葵の風味がマッチ。マグロのあぶった香ばしさと程よい脂をグラン・ヴァン・ブラン・セックが受け止める

『シャトー・ギロー』

グラン・ヴァン『シャトー・ギロー』の2009年と2015年を試飲。特にソーテルヌの作柄が良かった09年は酸がしっかり残り、みずみずしい甘さと絶妙のバランスだ。マーマレードやドライフルーツのやさしい香り、とろみのあるテクスチャーが幸福感をもたらす。15年はより酸が高く、ライトなイメージ。若くても、キャラメルの香りが今後の熟成を想像させる。残糖量は09年が140g/ℓ、15年が120g/ℓ。酸味とのバランスに優れてバランスが良く、食事にも合わせやすい。特に相性が良かったのが「若竹煮」。海藻や出汁とよく合うのは新しい発見だった。タケノコは、ワインの香ばしさと寄り添った。「蛍烏賊旨煮 黄身酢」はワインと合うのか?と思ったが、シャトー・ギローの複雑な風味やミネラル感と調和、絶妙のマリアージュをもたらした。

画像: 「若竹煮」と『プチ・ギロー 2020年』『シャトー・ギロー』の2009年と2015年をマリアージュ。磯野風味、出汁の旨味と、ワインのミネラルを伴った甘さがマッチ https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783513/rc/2023/03/23/f9ed1de1e7f60424a2600adadbaf6a82ebead9db_xlarge.jpg
「若竹煮」と『プチ・ギロー 2020年』『シャトー・ギロー』の2009年と2015年をマリアージュ。磯野風味、出汁の旨味と、ワインのミネラルを伴った甘さがマッチ
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最後は『シャトー・ギロー 1996年』。熟成からくるスパイシーな風味、リコリスやサフランの香り、奥行きのある深遠な味わい。一方でしっかりとした苦味とフレッシュさな酸味が残る。最後にミネラル感が現れ、すがすがしい印象を残す。食後にゆっくりと向き合いたい。

アペリティフから食後のひと時まで寄り添ってくれる、シャトー・ギロー。敷居が高い存在だったソーテルヌだが、イメージよりもずっと親しみやすく、ちょっと贅沢をしたい日や記念日に選んでみたい。

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