地中海に浮かぶ島、イタリアのシチリア島とサルデーニャ島。それぞれの地に古くから根付く二つのワイナリー「ドゥーカ・ディ・サラパルータ」と「セッラ& モスカ」が造るワインとは。ワインジャーナリストの宮嶋勲氏が2人の生産者にインタビューし、その魅力を紐解いた。【セッラ&モスカ編】

ドゥーカ・ディ・サラパルータ編はこちら

120 年を超える歴史を誇る「セッラ&モスカ」はサルデーニャを代表する名門だ。ワイナリーがある島の北西部アルゲーロはカタロニアが支配していたこともあり、スペインの影響が色濃く残る。美しい砂浜が散在し、リゾート地としても有名だ。開放的な雰囲気に満ちていて、まさに地中海への扉である。セッラ&モスカは土着品種を守ると同時に、カベルネ・ソーヴィニヨンを導入するなど革新的なワインを生み出し、サルデーニャのワイン造りを牽引してきた。2013 年には著名なイタリアワインガイド『ガンベロ・ロッソ』(*)で「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

*『Gambero Rosso』。イタリアのワイン評価本『Vini d'Italia』の通称。発行はGambero Rosso(ガンベロロッソ)、Slow Food Editore(スローフード協会出版)の共同出版。(2010年版からはガンベロ・ロッソ独自の出版となる)。トレ・ビッキエーリが最高評価

ブドウ畑は542 ヘクタールと広大で、温暖な気候と豊かな太陽に恵まれているが、1 年を通してマエストラーレと呼ばれる北風が吹き付けるので、ワインはどこか涼しげで、みずみずしさを感じさせる。
アルゲーロのテロワールに最も合っている品種として大切に守ってきたのがトルバートだ。

画像: 補助品種として過小評価されていたトルバート。「セッラ&モスカ」がいち早く栽培に取り組み、徐々に再興してきている

補助品種として過小評価されていたトルバート。「セッラ&モスカ」がいち早く栽培に取り組み、徐々に再興してきている

「果皮が薄く病害に弱く、栽培は困難です。晩熟なので秋雨のリスクもあります」と話すのは醸造責任者のジョヴァンニ・ピンナ氏。「果汁が濁りやすいので、醸造も困難」だが「繊細で、優美で、地中海を感じさせるアルゲーロならではのワイン」が生まれる。

「ヴェルメンティーノより軽やかで、ヌラーグスより高貴な品種です」

『トルバート・スプマンテ・ブリュット NV』は現地でも大人気で、パラソルの下でのおしゃべり、地中海に落ちる夕日を見ながらのアペリティフなど、夏のバカンスの楽しい時間を彩っている。魚のカルパッチョ、野菜の前菜、小魚のフライなどとの相性も抜群だ。

画像: エノロゴのジョヴァンニ・ピンナ氏

エノロゴのジョヴァンニ・ピンナ氏

『“モンテオーロ”ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ 2021年』はセッラ&モスカらしく優美なスタイル。

「細身でフレッシュなリグーリア、フルーティーでシンプルなトスカーナと比べると、サルデーニャのヴェルメンティーノは濃厚になりがちですが、私たちは飲みやすさを重視しています」とピンナ氏。標高250 メートルの貧しい花崗岩土壌から生まれる“モンテオーロ” は、地中海灌木、ハーブ、火打ち石を想起させ、深みのある味わいだ。トマトを使った魚のスープやマグロのたたきなどと相性が良く、高級レストランにも見事に溶け込むワンランク上のヴェルメンティーノである。

画像: 宮嶋勲氏が紐解く「セッラ&モスカ」
~サルデーニャの革命児が見せる地中海の景色~

左から

トルバート・スプマンテ・ブリュット NV
Torbato Spumante Brut
品種:トルバート100% 参考小売価格:2699 円

白い花、ハーブ、マンダリンオレンジのデリケートな香り。口中では泡立ちが繊細で、柑橘類の砂糖漬け、白桃、そして海風を感じさせる地中海的スパークリングワイン。夏の午後のアペリティフに最高。

“モンテオーロ” ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ・スペリオーレ 2021年
“Monteoro” Vermentino di Gallura Superiore
品種:ヴェルメンティーノ100% 参考小売価格:2866 円

サルデーニャのヴェルメンティーノらしい黄桃、パイナップルなどの熟した果実のアロマにローズマリー、地中海灌木の涼しげなニュアンスが混ざる。生き生きとした酸、強い塩味、繊細なミネラルが魅力的。

*価格は税込

text by Isao MIYAJIMA
photograph by Shoichi NOSE

問い合わせ先:モンテ物産㈱ TEL. 0120-348566

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