「メルシャン株式会社」は日本ワインのコンサルティング事業をアップデートし、新たに「日本ワイン応援事業」として展開を拡大。記者会見では、日本ワインを取り巻く現状と課題、そして今後の支援のあり方について具体的な言及がなされ、“点から面へ”と広がる産地支援の方向性が示された。
「メルシャン株式会社」は先日開催した記者会見で、新たに「日本ワイン応援事業」をスタートすると発表した。これまでのコンサルティング事業を基盤に、産地全体を支える取り組みへと発展させる。
会見に登壇したメルシャン経営企画部の田村隆幸氏は、日本ワインの現状について「現在は佐賀県を除き、すべての都道府県にワイナリーが存在する段階まで広がっている」と説明。一方で、「収益性、技術や人材の継承、ブドウ生産の脆弱性、販路開拓力の不足など、課題は多岐にわたる」とし、産業としての基盤強化の必要性を強調した。
メルシャンはこれまで、北海道から九州まで計13のワイナリーや自治体に対してコンサルティングを実施してきたが、新事業ではその枠を超えた支援を目指す。キーワードは「点から面へ」。田村氏は「個別の支援だけでは支えきれない。歴史あるワイナリーでも課題を抱えている」と語り、より広く日本ワイン全体を支える仕組みづくりの必要性を示した。
その具体策の一つが、ワイナリーやサプライヤーをつなぐハブ機能の強化だ。
「誰に、どこに相談すればよいかわからないという声も多い。メルシャンが間に入り、必要な資材や情報、人をつないでいく」とし、共同調達などを通じて現場の課題解決を後押しする考えを示した。また、ワイナリー同士の連携によって新たな価値が生まれる可能性にも言及した。

会見では、ワイナリー作りに取り組んでいる北海道「美瑛ファーム」の構想についても紹介された。トークセッションには、「株式会社美瑛ファーム」代表取締役の西川隆博氏が登壇。西川氏が手掛ける美瑛ファームでは、「牛は完全放牧です。美瑛ファームの牛たちは、広大な丘を自由に駆け巡り、おなかいっぱい草を食みストレスなく育ちます」と話す。西川氏は「株式会社ル・スティル」の社長でもあり、ベーカリー「VIRON」の経営でも知られるが、「素材の良さは必ず美味しさにつながる」と語り、ワイン造りにおいても同様の思想を掲げる。
田村氏は「美瑛ファームは苗木の剪定段階から関わっている初めてのケース」と明かし、植栽前からの支援の重要性を強調。実際に現地ではドローンを活用した地形分析から畑作りをスタートし、排水や標高差なども含めた設計を行ったという。
美瑛ファームでは、フランスのフランシュ・コンテ地方のチーズ製法を取り入れて製造したハードタイプのチーズ「フロマージュド美瑛」も作っているが、「コンテといえばやっぱりジュラ。そのジュラ地方を代表するサヴァニャンを、この土地でも育ててみたい」と西村氏。食とテロワールを横断する発想から、新たなワイン造りへの挑戦も描く。
また、美瑛では馬耕(馬に鋤などの農具を引かせて、田畑を耕すこと)や密植栽培(高い密度でブドウの樹を植えること)といった取り組みにも挑戦。背景には、北海道における収量の少なさや栽培効率の課題があるといい、田村氏は「ブドウの樹の状態を見極めながら、より適した栽培方法を提案していきたい」と語った。
今回の事業について同社は、「日本を世界の銘醸地に」というビジョンのもと展開していくとしている。個別支援にとどまらず、産地全体を視野に入れた取り組みが、日本ワインの次のステージをどのように形づくっていくのか注目される。
問い合わせ先:
キリンホールディングス㈱ メルシャンお客様相談室(フリーダイヤル)0120-676-757
