ビアスタイルは、ビールの味わいや香りを知るための大切な手がかりとなる。ここでは、日本で人気のビアスタイルについて解説したい。あなたのビアライフをより充実させるためにも、ぜひ、覚えていただきたい。
イングリッシュ ペールエール 1 (English Pale Ale)
ペール(Pale)は「淡い」、エール(Ale)は「上面発酵ビール」。つまりペールエールは淡色の上面発酵ビールのことだ。そして上面発酵の「上面」は、ビール醸造中に酵母が麦汁の上面に浮かぶ様子からつけられている。 ペールエールはイギリス中部のバートン・オン・トレントを 発 祥 とし 、 白 い 泡 とゴ ー ルド か ら 銅 色 に 輝 く外 観 を 持 つ伝 統 的 な ビ ー ル だ 。 ア ロ マ は 大 地 や ハ ー ブ 、 紅 茶 の ような複雑さが特徴である。これはイギリス品種ホップのキャラクターに由来する。 味わいはホップの苦味をほどよく感じ、モルトの甘味はやや控えめである。ビールの香りと味わいを存分に楽しむことができるビールだ。
アメリカンIPA(American India Pale Ale)
このスタイルは、まずは香りを楽しんでもらいたい。アメリカ品種ホップを大量に使い、 豊かなホップのアロマが鼻いっぱいに広がる 香 り 豊 か な ビ ー ル だ 。 外 観 は ゴ ー ル ド か ら ラ イト ブ ラ ウ ン と や や濃いめである。ホップを大量に使用しているため、白濁して見えるものもある。ちなみに、はっきりと白濁やかすみの見られるタイプはヘイジーIPA(Hazy IPA)と呼ばれている。 ホップ由来のフルーティーでフローラルな香りや柑橘系ないしややオイリーな香りが特徴であるが、エールビールの特徴であるフルーティーなエステル香も感じ取られる。アルコール度数は6~7%とやや高め。とにかく香りと苦味と爽やかな後味がクセになるビールだ。
南ドイツ ヘーフェ・ヴァイツエン (South German Hefeweizen)
ヘーフェ(Hefe)は酵母、ヴァイツェン(Weizen)は小麦。ヘーフェ・ヴァイツェンは原料に小麦麦芽を50%以上使用した南ドイツ発祥の酵母入りビールだ。泡立ちは非常にクリーミーかつ豊かであり、 色合いは淡い麦わら色からアンバーで霞がかってみえる。クローブ(丁字)やナツメグを連想させるスパイシーなフェノール香とバナナに代表されるフルーティーなエステル香がヘーフェ・ヴァイツェンの特徴だ。ホップの存在感は控えめで、モルトの存在感もそれほど強くはない。口当たりは非常にまろやかで苦味も穏やか。そのためビールの苦味が苦手、という人たちにもお薦めできるビールだ。ヴ ァ イ エ ン ス テ フ ァ ン 「 ヘ ー フ ェ ヴ ァ イ ス 」、 他 に エ ル デ ィ ン ガ ー 「 ヴ ァ イ ス ビア」、フランツィスカーナー「ヘーフェヴァイスビア」など銘柄も豊富。
ベルジャンホワイト (Belgian White)
ル ジ ャ ン ホ ワ イ ト( ヴ ィ ッ ト )は ベ ル ギ ー ビ ー ル の 白 ビ ー ル を 指 す 。 原料には大麦麦芽のほか、 麦芽化していない小麦を使用する。 酵母入りのビール(ドイツのヘーフェ・ヴァイツェンの原料の小麦は麦芽化してあり、どちらも小麦を原料としたビールであるが麦芽化の有無が両者の違い)。 色合いは麦わら色からペールカラーで、 無濾過のためたんぱく質と酵母により濁って見える。 原材料に使われているコリアンダーとオレンジピールの香りが特徴であり、 両者の香りが相まって複雑なスパイス香として感じられるものもある。ヘーフェ・ヴァイツェンと同じく、ホップやモルトの存在感は控えめである。酵母と共に瓶詰めされ瓶内二次発酵されるため、ワインのように熟成を楽しむこともできる点は押さえておきたい特徴だ。
ポーター (Porter)
ポーターとはそもそも「荷物を運ぶ人」を意味するが、ビールにその名がつい た由来は18世紀のロンドンのパブでポーター達にこよなく愛されたという説や、 ビール樽の到着を「ポーター!」という掛け声で知らせたという説が有力だ。 色は赤みを帯びた非常に濃い茶色から光を通さないほどの黒色。ホップ の香りは微かなものからほどよい程度だが、ホップの苦味はほどよいものから しっかりと感じられるものもある。 焙煎された麦芽由来のココアを想起させる フレーバーは、キャラメライズによる麦芽の甘味との、 見事な調和がこのス タイルの魅力。まさに大人の苦味を楽しむことができるビールだ。
アイリッシュ ドライスタウト (Irish Dry Stout)
エメラルドの島、とも呼ばれるアイルランドから世界に広まったポーターの発展型ビール。 大麦麦芽(モルト)だけではなく麦芽化していない大麦(バーレー )も原料にしていて、キメ細やかでクリーミーな泡と漆黒のビールが織りなすコントラストがとても印象的だ。 焙煎大麦由来のコーヒー香と苦味が特徴であり、ホップの苦味もしっかりと感じられる。 後味には焙煎麦芽由来の苦味が強く 残 り 、 ポ ー タ ー よ り もド ラ イ に 楽 し む こ と が で き る ビ ー ル だ 。 スタウトにはドライスタウトの他に、スウィート(クリーム)スタウト、インペリアルスタウト、オートミールスタウトなどのサブカテゴリーがある。
アメリカン ペールエール (American Pale Ale)
アメリカンスタイルペールエールはイングリッシュスタイルペールエールをベースとして、アメリカでアレンジされたペールエールだ。その特徴はアメリカ産ホップに由来する華やかでフルーティーな柑橘系のアロマであり、IBU(国際苦味単位)も30~ 50とイングリッシュスタイルに比べてやや高めである。中にはヘイジーな(かすみのかかった)ものもある。
ジャーマン・ピルスナー (German Pilsener)
ピルスナーは元々バイエルンの醸造家ヨーゼフ・グロルが隣国チェコのピルゼンに招かれ造ったビールであり、それがドイツに伝わりできたのがジャーマン・ピルスナーである。 ピルゼンの軟水で仕込まれた淡色のピルスナーに対してバイエルンの硬水で仕込まれたピルスナーは濃色であり、キメ細かくホイップクリームのような純白の泡を持つ麦わら色から明るい金色の澄んだビールである。 味わいはクリーン、はじけるような爽快感があり、フィニッシュはドライで苦味は強め。ドイツ国内では、 南から北に行くにしたがって、ドライで苦味が強まる傾向にある。
シュバルツ (Schwarzbier)
シュバルツはドイツ語で黒を意味する、いわゆる黒ビールである。 アロマは穏やかなロースト香を伴うマイルドな麦芽の香りが楽しめ る。そして味わいはカカオのようなほろ苦さが感じられる。ホップの アロマとフレーバーは控えめだが、 苦味やモルト由来の甘味はともに バランスよく感じられ、 総合的にすっきりとした飲み口の仕上がりとなっ ている。シュバルツは下面発酵で醸造され、 同じ黒いビールでもイギリ スのポーターやスタウトは上面発酵である点が大きく異なる。 両者を飲み 比べて、 発酵による味わいの違いを体感するのも面白い。
トラディショナル・ボック (Traditional Bock)
ボック(Bock)という名称はドイツ北部のアインベックに由来する。アルコール度数が6 ~ 8%と高めのビールである。濃い麦汁を使用しているため麦芽由来の甘味がとても強く、トーストやナッツのような香りが特徴的である。 色合いはダークブラウン。ホップの香りやフルーティーさ、そして苦味などはマイルドだ。 トラディショナル・ボックから派生したスタイルにはアルコール度数のさらに高いドッペルボックやトリプルボック、 5月に飲まれるマイボックなどがある。
ラオホ (Rauchbier)
ドイツ語で煙を意味する「ラオホ (Rauch)」が由来。ドイツ南部のバンベルグ伝統のビールであり、 薪の直火で燻して乾燥させた麦芽を原料とするため、 燻製麦芽由来の燻製香が特徴である。アルコール度数がやや高めのメルツェンのラオホがクラシックなビアスタイルであり、そこから派生したものに、小麦を使用したヴァイツェンベース、アルコール度数のさらに高いボックベースなどがある。 燻製した食材とのペアリングは間違いないので、ぜひお試しいただきたい。
エクストラ・スペシャル・ビター(ESB)(Extra Special Bitter)
ホップの苦味とモルトの甘味がペールエールよりもやや強調されたビール。 外観はアンバーから深い銅色で、やや赤みがかって見えるものもある。 ホップのアロマとフレーバーや苦味、そして麦芽由来の甘味がそれぞれミディア ムからミディアムハイに強調されており、 苦味と甘味の調和がESBの特徴的な 芳醇な味わいを造り出している。ただし、 苦味が強調されたスタイルではあるが IBUは30 ~ 45と苦いビールの代表であるIPAと比べると控えめである。
スコティッシュ・エール (Scottish Ale)
ス コ ット ラ ンド 発 祥 の モ ル テ ィな エ ー ル 。 麦 芽 量 が 増 え る に し たが っ て 、 ラ イト 、 ヘ ビ ー 、 エ ク ス ポ ート な ど に 分 け ら れ 、 色 は ゴ ールドからダークブラウン。アルコール度数は3 ~ 5%である。ホップのアロマやフレーバーはほぼ感じられず、カラメル香を伴う豊潤な麦芽の香りが穏やかに感じられ、 味わいは麦芽の甘味が支配的である。 スコティッシュ・エールは伝統的にピートを利かせて造られてい た わ け で は な い が 、 現 在 で は ピ ート や ス モ ー キ ー な ア ロ マ をローからミディアムレベルで感じさせるものが多い。
インペリアルIPA /ダブルIPA (Imperial or Double India Pale Ale)
ア メ リ カ ンIP A の ホ ッ プ 感 と ア ル コ ー ル 度 数 を さ ら に 高 め 、 I B U は65 ~ 100、 アルコール度数は7 ~ 10%、ホップの鮮度と存在感を圧倒的に感じられる力強いビールである。インペリアルもダブルもIPAを強調する同じ意味合い。アメリカンIPAよりもさらなる刺激を求める方は、ぜひトライしていただきたい。
セッションIPA (Session India Pale Ale)
「セッション〇〇」とは、そのビアスタイルのアルコール度数を低く抑えたスタイルのことを指し、このセッションIPAは一般的なIPAに比べて、アルコール度数が4~5%と低いことが特徴である。しかしながらIPAの特徴であるホップの強烈なアロマ、フレーバー、そして苦味はしっかりと感じることができ、ドリンカビリティの高いIPAと言える。
ジューシー IPA /ヘイジー IPA(Juicy or Hazy India Pale Ale)
いわゆるニューイングランドIPAを包括するビアスタイル。こ れ ま で の IP A と の 違 い は 、 外 観 が 濁 っ て 見 え る 点 に 加 え 、主にトロピカル系フルーツのニュアンスを持つホップが大量に使用されている点である。外観の濁りを出すために原材料に高タンパク質の小麦やオーツ麦が使われることもありこのスタイルの特徴であるクリーミーな口当たりを演出している。この口当たりのよさにハマる人も多いので、ぜひ体感していただきたい。
ケルシュ (Koelsch)
ドイツを流れるライン川流域に位置する歴史的都市ケルン発祥のビール。「ド イツのケルンおよびその周辺地域でケルン醸造所組合に属する醸造所のみ が醸造できるビール」とケルシュ協定により厳格に定義されている。 醸造方法に特徴があり、 上面発酵用の酵母を用いて一般的な上面発 酵よりもより低温で発酵させ、 熟成も低温で行われる。 外観は澄んだ 麦わら色もしくはゴールドであり、アロマやフレーバーに、リンゴやリー スリングワインなどフルーティーなエステル香はあっても低レベルで、 すっきりとした味わいのビアスタイルである。シュタンゲと呼ばれる 小さな細長い専用グラスでの提供が伝統的。
アルト (Alt)
ドイツの経済、そして芸術の中心都市であるデュッセルドルフの伝統的なビアスタイル。「古い」というドイツ語が語源で、 現在主流のラガー酵母ではなく、 古 い 醸 造 方 法 で あ る 上 面 発 酵 の エ ー ル 酵 母 を 使 用 す ることに由来するとされる。外観は銅色からダークブラウン。 麦芽やジャーマンホップのキャラクターがあり、 苦味は比較的強く、クリーンな味わいのフレッシュでドライなビールである。その味わいからドイツビールの歴史を感じられるに違いない。
ベルジャン・デュッベル (Belgian Dubbel)
中世の修道院が起源とされ、デュッベル(ダブル)という表現は通常のアルコール5%前後のビールより、濃い、アルコールが強いことを表している。 アルコール度数の高い6~8%のビアスタイルである。 外観はムースのような泡を持つブラウンからベリーダークの色濃い ビ ー ル で あ る 。 麦 芽 由 来 の 甘 味 と チ ョ コ レ ート の よ う な カ ラ メルのアロマを持つ。ホップのアロマとフレーバーは限りなく控えめであり苦味を穏やかに感じることができる。
ベルジャン・トリペル (Belgian Tripel)
トリペル(トリプル)はデュッベル(ダブル)よりもさらに一段濃い、アルコール度数の高いビールであることをあらわす。ウェストマール醸造所は、ダブルよりもアルコール度数が高い(7~10%)にも関わらず淡色のビールを造り上げ、トリプルの元祖とも言われている。伝 統 的 なト リ プ ル は 瓶 内 二 次 発 酵 さ れ 、 外 観 は 酵 母 に よ り や や霞んだ黄金色を呈している。 複雑でスパイシーなアロマ、 バナ ナ の ような フ ル ー テ ィー な エ ス テ ル 香 、 麦 芽 由 来 の 甘 味 などが、 高アルコールであるトリペルのインパクトを引き立てている。ライトカラーだがアルコール度数は高いので注意して飲もう。
セゾン (Saison)
セゾンはベルギー南部ワロン地方の農家が夏の作業時期に飲むためのビールとして、気温の低い季節の最後に仕込んだものが始まり。作業時に嗜まれるためのビールは低アルコールのものであったと思われるが、 高アルコールのビールも存在していた。 このスタイルの特徴は多様であるため一概に規定することは難しいが、ゴールドから明るいアンバーカラー。ボディは軽めでドライなフィニッシュ。アルコール度数は4~7%と幅広く、ホップキャラクターはハーブや花、 木などが 一 般 的 で 、 ベ ル ギ ー 酵 母 由 来 の 果 実 香 や ス パ イス 、 黒 コショウなども感じられるなどの特徴を有する。
フランダース・オウドブラウン/オウドレッドエール(Flanders Oud Bruin or Oud Red Ale)
ベルギーのフランダース地方で造られてきた伝統的なビアスタイル。 外観はカッパーからベリーダークカラー。 木樽やステンレスタンクで熟成され 、 若 い ビ ー ル を ブ レ ンド さ れ る も の も あ る 。 ホ ッ プ ア ロ マ ほ と ん ど 感 じ られず、乳酸や酢酸の酸味とモルトの甘味のバランスがとれたビールである。ブラウンエールは熟成させたビールによる複雑な酸味のバランスを感じることのできるビールであり、レッドエールはオーク樽を利用した熟成による心地よい酸味を感じることのできる味わい深いビールである。 熟成ビールの酸味の美味しさは、 飲めば飲むほどクセになる。
グーズ・ランビック (Gueuze Lambic)
ランビックは野生酵母による自然発酵によって造り出される強い酸味が特徴のベルギーの 伝統的ビールである。そして、 熟成させた古いランビックと若いランビックをブレンドし、 瓶 内二次発酵させて造られるビールがグーズ・ランビックである。 アロマは穏やかながら山羊をはじめとする動物的なクセのあるニュアンスが感じられる。ま たホップは防腐目的で3年程度の熟成ホップが使用されるため、 鮮度感のあるホップ由来の アロマや苦味はほぼ感じられない。 残糖分は少なく、フィニッシュは非常にドライなものも多い。 酸味もまたビールの味わいのひとつと、 気づきをもたらしてくれる。
ボヘミアン・ピルスナー (Bohemian Pilsener)
ボヘミア地方はチェコの首都プラハを含む西半分のエリアを指し、 古くからビールの醸造やホップの栽培が行われてきた伝統的な地域である。ピルゼンは首都プラハから南西に約100km離れたドイツに近い都市であり、ピルスナーはこのピルゼンで1842年にドイツ出身の醸造家ヨーゼフ・グロルによって生み出された。その淡く黄金色に輝く外観、 伝統的にチェコのザーツ産ホップとモラビア産麦芽、ラガー酵母、 軟水により醸造され、トーストのアロマ、 麦芽の甘味とノーブルなホップのフレーバー、 苦味がしっかり感じられ調和がとれている。 世界を席巻したピルスナーのルーツに触れてみてはいかがだろうか。
ドッペル・ボック (Doppelbock)
ドッペル(Doppel)はドイツ語で「2倍・ダブル」を意味する。修道士によって断食中でも摂取することができる栄養源として造られたものが始まりとされ「Sankt-Vaters-Bie(r 聖なる父のビール)」と呼ばれていた。ホップ感は弱く、トーストされた大麦麦芽のアロマと甘味が特徴的なフルボディのビールである。アルコールは7~ 11%と高い。まさに重厚な飲みごたえ。
フルーツ・ビール (Fruit Beer)
その名の通り、 副原料にフルーツの果実や果汁、シロップを用いて造ったビールで、フルーティーなアロマをはっきりと感じられる。外観や味わいはそのベースとなったビアスタイルや使われたフルーツにより様々であるが、フルーツとベースビールの風味がバランスよく調和していることが重要とされている。食後酒として、またはデザートと一緒に飲むのもおすすめ。
できれば 覚えておきたいビアスタイル
100、あるいは200を超えると言われるこ ともあるビアスタイル。その中でも、各ブル ワリーが腕によりをかけて造っている40の スタイルをここに列記したい。どれも味わい 深く、歴史的・文化的な背景と合わせて飲 めばビールの面白さが倍増する。
【上面発酵ビール(エール)】
アイリッシュ・レッドエール
赤みがかった色合いが特徴のビール。カラメルモルト由来の心地よい甘さ、程よい苦味で、ペールエールのようにじっくりと楽しめる。
ブラウンポーター
一般的なポーター(ロブストポー ター)は黒色だが、 こちらは茶色に近いカラーをしており、 ロースト香りよりもカラメルや ナッツのニュアンスを強く感じとれる。
ブラウンエール
ローストされた麦芽を使うため液色が茶色い。苦味が少なく、麦芽の風味が強い。ペールエールとともにイギリス発祥の代表的ビール。
アメリカン・アンバー (レッド)エール
赤茶の液色だが、アイリッシュ レッドに比べてよりホップをき かせており、アメリカンホップのア ロマ・フレーバー・苦味が際立つ。
スモークポーター
ロブストポーターやブラウンポーターがベースで、 煙で燻した麦芽を使うことでスモーキーな香りを付与している。麦芽のロースト感と薫製香が深い味わいを醸し出す。
インペリアル スタウト
スタウトをさらにどっしりと濃厚な味わいにし、さらにアルコール度数も高めた黒色ビール。 もともとはイギリスから北欧やロシアへの輸出用に造られた。
ウィートワイン
小麦モルトを主に使用した「小麦のワイン」。バーレーワインに比べるとまろやかで優しい味わいになる。 長期熟成が可能なビール。
バーレーワイン
「大麦のワイン」の名の通りアルコール度数がワインに近く、フルボディ。カラメル色でリッチな味わい。 ハイアルコールのため長期熟成が可能。
オートミール スタウト
スタウトの原料にオート麦を使用するビール 。通常のスタウトとは異なる滑らかな舌触りと、独特のまろやかさを感じる味わいだ。
ベルジャン ペールストロングエール
アルコール度数が高いビールで、ホワイト・キャンディーシュガーを加えて二次発酵させるのが一般的。フルーティーでスパイシーな味わい。
クリスタル ヴァイツェン
ヴァイツェンを濾過し、酵母を取り除いたクリアなビール。アロマやフレーバーはヴァイツェン同様だが、さっぱりとした口当たりとなる。
インペリアルレッドエール
ペールエールとIPAの関係のように、アメリカン・アンバー(レッド)エールをさらに重厚な味わいにしたもの。苦味が強く、アルコール度数も高い。
ベルジャン ダークストロングエール
明るい色のベルジャンペールストロングエールに対し、ダーク・キャンディーシュガーを用いた暗い 色が特徴 。濃厚なモルト感がある。
ドゥンケルヴァイツェン
ローストした小麦麦芽を使ったヴァイツェンで、通常よりも濃い色をしている。ヴァイツェンの香りにチョコレートのような味わいが加わる。
アメリカン・ベルゴ
既存のスタイルにベルギー酵母を使用し特有のニュアンスを生んだもの。またはベルギースタイルにアメリカンホップを使用したビール。
クアドルペル
ベルギーの濃い茶色をしたハイアルコールビール。レーズンやイチジクのような香りと、まったりとした濃い味わいが楽しめる。
ヴァイツェンボック
ボックは通常ラガー( 下 面 発 酵)だが、ヴァイツェンボックはハイアルコールのヴァイツェンを指す。 バナナやクローブの香りと強い飲みごたえを併せ持つ。
ベルリナーヴァイセ
ドイツ発祥の小麦ビール。乳酸菌を加えて発酵させるため、乳酸香と強い酸味のあるビールができあがる。フルーツやシロップが加わることも。
ベルジャンブロンドエール
ベルギー発祥、ブロンドカラーの液色が美しいビール。モルトやホップの印象は低く、フルーティーな香りと甘味が特徴。軽く飲み進められる。
ゴーゼ
もともとは自然酵母で発酵させるスタイル。苦味はなく、酵母由来の酸味と、醸造過程において醸成された塩化ナトリウムによる塩味が感じられ、爽やかな味わい。
酵母による分類
ワイルドビール
空気中の自然酵母を取り込んで醸造したビールの総称。エールやラガーの酵母には出せない独特な香りが特徴。
フルーツランビック
サクランボやラズベリー、桃などを浸け込んで造ったランビック。強い酸味とともに、使うフルーツの味わいが表現される。
酒イーストビール
日本酒の酵母を使って醸造したビール。日本酒のキャラクターとモルトやホップが混ざり合った深い味わいが楽しめる。
ブレットビール
ブレタノマイセス酵母で発酵させた、複雑なフレーバーと酸味をともなったビール。その香りは「馬小屋の匂い」「革臭」とも評される。
【下面発酵ビール(ラガー)】
メルツェン
ドイツで3月(メルツェン)に仕込まれ、10月のオークトーバーフェストで飲まれたことが発祥。もともとはヴィエナのレシピなので2つは似たスタイル。
ヘレス
明るい色をした、モルトのアロマやフレーバーが目立つドイツ発祥のラガービール。苦味は弱く、 パンのような味わいと評される。
オークトーバーフェストビア
ドイツのオクトーバーフェストのために造られるビール。伝統的なものはメルツェンに近い が、現代ではもっと色が明るく、味わいもクリーンさが際立つ。
ドルトムンダー
ドイツのドルトムントで生まれたビールで、ピルスナーを参考に造られた。モルトとホップのバランスに優れ、ミディアムボディが特徴。
アイスボック
ボックの一種。ドッペルボックを凍らせて水分を取り除く工程を経て、さらに濃厚な味わいに。ドイツが生んだハイアルコールビールの代表。
ヴィエナ
ウィーンで生まれたラガービール。ややローストしたウィンナーモルトを使用し、赤みがかっている。すっきりした味わいとトースト香が特徴。
アメリカン ライトラガー
副原料にコーンや米を使用したライトな味わいのピルスナーが代表的。モルト感やホップの苦味は少なく、非常にドライかつクリーンな口当たり。
ドゥンケル
ドイツ発祥の色が濃いラガービール。濃色だが比較的さっぱりしていて、麦芽由来の ビスケットのような味わいが楽しめる。
【原料による分類】
パンプキンビール
副原料にカボチャを使用したビール 。主にハロウィンの時期にリリースされる。カボチャの味わいと、シナモンなどスパイスの香りを調和させる。
フィールドビール
副原料に野菜を使用したビール。使う野菜の味わいとモルトやホップのキャラクターを調和させて新たな味になる。その土地の名産が選ばれることも。
ライビール
モルトにライ麦を使用するビール。ややとろみを感じる口当たりやスパイシーな香りのビールであり、ライ麦特有のキャラクターとして人気。
チリビール
副原料にトウガラシを使用したビール。ベースのビアスタイルにスパイスとしての辛味が追加される。辛さは強いものも弱いものもある。
ハニービール
副原料にハチミツを使用したビール。ハチミツの甘味やニュアンスがビールに表れる。どん な花のハチミツを使っているかで異なる味わいを生み出す。
チョコレートビール
チョコレートを使用したビールやチョコレート風味のビール。濃色のビールにチョコの香りと味わいを与える役割を果たす。
コーヒービール
副原料にコーヒー豆を使用したビール。スタウトやポーターのコーヒー感を高めるのが主流。濃色とは限らず、薄い色のコーヒービールもある。
ハーブ・スパイス ビール
副原料にハーブやスパイスを使用したビール。ホップや酵母由来の香りに、ハーブやスパイス加えることで異なる印象を生む。