チリのプレミアムワインの先駆けとして知られる「アルマヴィーヴァ」。ボルドーに君臨する「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド」と、チリ最大のワイナリー「コンチャ・イ・トロ」とのジョイントベンチャーによって、1998年に誕生した。ブドウはボルドーの代表品種カベルネ・ソーヴィニヨンを主体に、チリに根付いたカルメネールをブレンドし、チリ最高峰のワインを造り出す。

 来日したワインメーカーのミッシェル・フリオウ氏は、フランス・ナント周辺に生まれ、モンペリエ大学で栽培を学んだ。1995年にチリ「バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド」に入社、2007年に「アルマヴィーヴァ」チームに参画した。

 フリオウ氏がすべてを手掛けた最初のヴィンテージ、2008年の『アルマヴィーヴァ』は、「暑い年でブドウの実が乾燥したため、凝縮感の強いワインになった」と話す。難しいヴィンテージだったが、10年の熟成を経た今、タンニンが丸くなり生き生きとした赤い果実、凝縮感がありながらもジューシーな旨味となっている。

 『同 2012年』はより完熟した年で、熟れた果実のニュアンスが今も感じられる。紅茶やスパイスの香りなどもあり複雑。「2010年ヴィンテージからプティ・ヴェルドをブレンドし、ストラクチャーやタンニンの表現を増した」とフリオウ氏。

 『同 2015年』は寒すぎず、暑すぎずと、ちょうどいい天候だった年。果皮と果汁のバランスに優れ、タンニンはスムーズに仕上がった。

 最新ヴィンテージ『同 2016年』は今年9月に、ボルドーでリリースされた(日本での販売は年末以降の予定)。ほかのヴィンテージと違うのは酸のニュアンスだ。酸が力強く、冷涼なニュアンス。フレッシュでさわやかな果実感が心地いい。

 熟成による変化はあるが、すべてのヴィンテージに共通しているのは、緻密な味わいだ。ウリオウ氏が着任して最も気を使ったのは「タンニンの美しさを表し、エレガントでフィネスのあるワインを造る」ことだった。そのために畑を1~3へクタールの小区画に分けて、細かく手入れをし、収穫も7~10週間と長期間にわたって行い、完熟した健全な果実だけを得ることに注力した。

 チリのワイナリーは1990年代、畑を拡張し生産量と輸出量を増やしてきたが、2000年代になるとそれらの畑の品質を上げること、土壌の研究を行い、ブドウの適地を追求するなど、質の向上にシフトした。あわせてこの20年弱、急ピッチで成長と変化を遂げてきたチリのワイン。熟成による変化の中に、造り手のメッセージと歴史を読み取れる。そして世界の舞台に立つチリワインの将来に思いを馳せながら、2016年ヴィンテージを飲むのも味わい深い。

画像1: プレミアムチリワイン「アルマヴィーヴァ」ALMAVIVA。チリのテロワールとボルドーの技術が出合い 生まれたプレミアムチリ

『アルマヴィーヴァ 2015年』
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン69%、カルメネール24%、カベルネ・フラン5%、プティ・ヴェルド2%
価格:1万9000円(税別)

画像2: プレミアムチリワイン「アルマヴィーヴァ」ALMAVIVA。チリのテロワールとボルドーの技術が出合い 生まれたプレミアムチリ

『EPU 2015年』
品種:カベルネ・ソーヴィニヨン77%、カルメネール12%、カベルネ・フラン6%、メルロ5%
価格:7000円(税別)

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