イタリアの景色が懐かしいと思いながらもう1年近くが経った。こんな時は、これぞイタリア!という感覚で自分に刺激を与えるしかない。銀座ブルガリタワーにあるルカ・ファンティンのテーブルで、まさに「イタリアの秋」を堪能した。

Giulio Ferrari Riserva del Fondatore 2007 FERRARI

 『ジュリオ・フェッラーリ・リゼルヴァ・デル・フォンダトーレ 2007年』で迎えられ、久しぶりに会う友と華やぐテーブル。アミューズは栗をあしらった一品。軽やかさと柔らかさと、ほんのりとした栗の心地よい渋味をジュリオ・フェッラーリの極上の泡が包み込んでいく。

『Giulio Ferrari Riserva del Fondatore 2007 FERRARI』と栗のアミューズ

 キャビアがたっぷり乗せられた伊勢海老のタルタルには、トマトを濾したスープが添えられ、甘酸っぱいトーンが溶け合う。伊勢海老の新鮮さだけではなく、塩味、甘味、酸味のバランスが三重唱のように現れる。

伊勢海老のタルタル、キャビア

 日本の食材に魅了されたエグゼクティブシェフのルカ・ファンティンは、自分の料理に合う食材が見つかるまで、どんなに小さな産地でも、たとえ無名の生産者でも、彼のフィロソフィーに合った食材を探求して厨房へと誘う。そしてその皿に季節を映す。

 お寿司屋さんさながらに包丁を入れたアオリイカには、まろやかな菊芋のピューレ。イカのつるんとした食感とほんのりとした甘さはシチリアのシャルドネがよく合う。

アオリイカ 菊芋のピューレ

 栗の香りをすこし利かせたリガトーニには、目を奪わんばかりの白トリュフ。この瞬間、幸せというほかにどんな気持ちがあるだろう。はかなくも一瞬で終わる秋の醍醐味だが、口中の余韻は予想をはるかに超えて長く、この余韻に浸りながらキノコのリゾットへ。

栗の入ったリガトーニ、白トリュフ


 ここで興味深いワインが登場した。トスカーナ州マレンマにあるチニジャーノという小さな村からの赤ワイン『アニモーゾ 2017年』。サンジョヴェーゼ100パーセントの愛らしさがはじけるIGTトスカーナ(現在はDOCモンテクッコ)だ。

Animoso 2017 SAN LORENZO

 深くきれいなルビー色、グラスをのぞくとザクロを割った時のような鮮烈な果実味が溢れ出
す。若くチャーミングなワインと秋一番のトリュフの香りとで部屋中が踊り出すかのようだ。

『Animoso 2017 SAN LORENZO』とキノコのリゾット

 北海道からのキンキに蟹をあしらった魚の料理は興奮を鎮める一品で、落ち着いた日本料理を思わせる。

キンキと蟹

 最後は伝統的な生産者の熟成したバローロに、千葉県産のチンタセネーゼが合わされた。イタリアへの思いを募らせた至福のひとときがあっという間に過ぎた。

『Barolo Riserva 2000 BORGOGNO』と千葉県産チンタセネーゼ

当日供されたワイン

・Giulio Ferrari Riserva del Fondatore 2007 FERRARI

・Sauvignon Quarz 2017 TERLAN

・Chardonnay Vigna San Francesco 2016 TASCA D’ALMERITA

・Barbaresco Vigneto Valeirano 2007 SPINETTA

・Animoso 2017 SAN LORENZO

・Batar 2003 QUERCIABELLA

・Barolo Riserva 2000 BORGOGNO

店舗情報

BVLGARI Il Ristorante Luca Fantin

住所:104-0061 東京都中央区銀座2-7-12 ブルガリ銀座タワー9階
TEL:03-6362-0555
URL:https://www.bulgarihotels.com/ja_JP/tokyo-osaka-restaurants/tokyo/il-ristorante

text by Kumiko YAMADA, photographs by Shunji NAGAMINE

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