過日、ブルゴーニュワイン委員会の主催により、同委員会副会長のクロード・シュヴァリエ氏とソムリエの岩田渉氏によるブルゴーニュ・オンラインセミナーが行われた。

画像: 講師を務めたソムリエの岩田渉氏

講師を務めたソムリエの岩田渉氏

 最初にシュヴァリエ氏が今年の収穫について「まれに見るよい年だった」と語った。成長が早く、夏が非常に暑く、例年より3週間ほど早く収穫がスタートしたという。岩田氏は「シャルドネは酸がしっかり保持され、クラシカルなワインになりそう」と予測した。

 日本ではファインワインが多く飲まれており、ブルゴーニュの村名AOCワインが飲まれている割合は約16%。セミナーでは、中でも近年人気が高まっているマコネのAOCプイィ・ロシェ、プイィ・ヴァンゼル、プイィ・フュイッセにフォーカスした。

 AOCプイィ・ロシェは栽培面積が32haと、村名産地呼称としては最小。規模の大きい協同組合がほぼ半分を生産しているが、1990年代から新しい世代が活躍するようになり、テロワールの表現を目指す動きが生まれている。

 土壌は石灰岩と泥灰土、粘土質が広がり、西にそびえるシャロレ山が風雨を遮り、南のローヌ方面から涼しい風が吹く。その影響でブドウは過熟することなくフレッシュな酸を持つワインが生まれる。

 テイスティングした『プイィ・ロシェ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2017年』(ドメーヌ・マルセル・クーテュリエ)は「生き生きとした酸があり、果実の豊かさと深さ、凝縮を感じます。アプリコットなど黄色い果物、樽からくるナッツ、スパイスなど奥行きのある味わいです」と岩田氏はコメントした。

 AOCプイィ・ロシェの南に位置するAOCプイィ・ヴァンゼルは、全体に東向き斜面が広がり、シャルドネが多く植えられている。ここも大手協同組合が活躍し、生産量の6割ほどを占める。ドメーヌは30軒ほど。

 『プイィ・ヴァンゼル 2016年』(ドメーヌ・ド・フーシアキュ)を試飲し、岩田氏は「プイィ・ロシェと比べて濃い色合いで凝縮感が表れています。白桃やアプリコット、ヴァニラ、ハチミツ、火打ち石の香り。味わいはシュール・リーからくる厚みや旨味が感じられます」とコメントした。

 AOCプイィ・フュイッセは三つのアペラシオンの中では最もポピュラーだ。栽培面積は762haと広く、複数のクリマが存在している。生産者は330軒ほどで、小規模の家族経営ドメーヌが多く、それぞれの区画を表現することに力を注いでいる。

 代表的なエリアが「ヴェルジッソン」だ。標高が高く冷涼、急斜面の畑もあり、高品質なブドウが生まれる畑「シュール・ラ・ロッシュ」など、今年プルミエ・クリュに認定されたクリュも多い。

 『プイィ・フュイッセ・シュール・ラ・ロッシュ 2017年』(ドメーヌ・デュ・シャトー・ヴェルジッソン)はこの産地らしい、フルボディでリッチな飲み心地。

 「果実の甘さとフレッシュさがあり、上品な樽のニュアンスが奥行きを出し、ミネラルが全体を引き締めています。熟成のポテンシャルもある高品質なワイン」と岩田氏は語った。

 テロワールの豊かさと個性が感じられる三つのAOC。食事とのペアリングの幅も広く、レストランや家庭で四季を通して楽しみたいワインだ。

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