気候変動時代のボルドー②
ボルドーのシャトーは何を変えたのか――― 除葉の否定から、12のAOCが認めた灌漑まで
「40年前、諸先輩から教わった『優れた栽培家』の条件は、今ではすべて間違った行為になってしまいました」。メドックの格付けシャトーを訪れた際、初老の栽培責任者が自嘲気味に語った言葉が忘れられない。1980〜90年代、ボルドーの夏における絶対の正義は、ブドウの房の周りの葉を丁寧に摘み取る「除葉」だった。少しでも多くの太陽光を果実に当て、風通しを良くしてカビを防ぎ、未熟な青さを取り除く。それが偉大なワインへの唯一の道だと信じられていた。しかし5度の熱波が畑を焼いた2026年、夏に除葉を行うシャトーは皆無だ。...