ボルドー・ワインの造り手「シャトー・デ・ゼラン」のオーナー、ジュリー・ゴネ・メドヴィルさんと、娘のアテナイスさんが来日し、東京・六本木のニューヨークレストラン「ユニオン スクエア トウキョウ」でメーカーズランチを開催した。

シャトー・デ・ゼランは、フランス、ボルドー地区マルゴー村で、ゴネ・メドヴィル夫妻がオーナーの小規模シャトー。夫のグザヴィエ氏はシャンパーニュ・メゾン「フィリップ・ゴネ」の三男、妻のジュリーさんはソーテルヌの「シャトー・ジレット」の三女と、夫妻ともにシャンパーニュとボルドーの名門出身だ。「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラスコンブ」「シャトー・パルメ」などの畑に囲まれる、恵まれた立地に畑を所有し、テロワールにこだわったワイン造りを行っている。

グランジュール氏から引き継いだ恵まれたテロワール

3代続いて「シャトー・マルゴー」の醸造責任者を務めたエリック・グランジュール氏から、夫妻がブドウ樹を購入したのが2009年。その4年後には土地も購入し、13年にシャトー・デ・ゼランのオーナーとなった。購入したのは、10ヘクタールの畑「クリュ・モンプレジール」と2.9ヘクタールのAOC(*)マルゴーの畑だ。
クリュ・モンプレジールはジロンド河のすぐ近くに位置する。現地で「Pallus(パリュー)」と呼ばれる肥沃な石灰質土壌で、メルロの栽培に適している。
「フルーティーでアプローチャブルなワインが出来ます。クリュ・モンプレジールのワインには、発酵の時にも木樽は使いません」とジュリーさん。

* Appellation d'Origine Contrôlée(アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ)の略。原産地統制名称。原産地、ブドウ品種、醸造法などについて、INAO(国立原産地呼称研究所)により厳しく管理・統制された、フランスの最高格付けのワイン

一方、AOCマルゴーの畑は地中深くまでグラーヴ(小石)が続く水はけの良い土壌で、カベルネ・ソーヴィニヨンの栽培に適している。この畑は四つの区画に分かれていて、09年と10年はボルドーの当たり年だったため、どの区画でも素晴らしいワインが出来た。状況が変わったのは11年のこと。4区画のうち2区画は素晴らしい出来だったが、残り2区画は少し劣っていたという。そこで、夫妻は出来の良かった2区画のブドウをファーストの『シャトー・デ・ゼラン』として、残りの2区画をセカンドの『クロズリー・デ・ゼラン』として造ることに決めた。

ジュリーさんは「17年と21年はカベルネ・ソーヴィニヨンの質に満足できず、シャトー・デ・ゼランは造らずに、ブドウはすべてクロズリー・デ・ゼランに回しました。ヴィンテージに柔軟に対応するようにしています」と、強いこだわりを見せた。

ニューヨーク料理と合わせる

この日、ユニオン スクエア トウキョウの料理とともに、3種類のワインが供された。

左から『クリュ・モンプレジール ボルドー・シュペリュール 2020年』『ラ・クロズリー・デ・ゼラン マルゴー 2016年』『シャトー・デ・ゼラン マルゴー 2018年』

『クリュ・モンプレジール ボルドー・シュペリュール 2020年』(メルロ75%、カベルネ・ソーヴィニヨン20%、カベルネ・フラン5%)は、黒系果実のジャムの香りに、凝縮したタンニンを感じる。それでいてみずみずしくフルーティーで、ジュリーさんは「楽しんで飲んでほしい」という。

『ラ・クロズリー・デ・ゼラン マルゴー 2016年』(メルロ75%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%)は、しなやかなタンニンと、木のニュアンスも少し感じられた。
ジュリーさんは「繊細でエレガントで、マルゴーらしいスタイルが表現されています。抜栓してすぐに楽しめるアプローチャブルなワインです」と語った。小石が豊富な土壌が、マルゴーの赤らしいしなやかさに寄与しているという。
合わせたのは『ラディッキオとカステルフランコのサラダ』。ワインの持つしなやかさ、さわやかさが野菜の風味に寄り添った。
また、デザートの『モルトンチョコレートケーキ ペカンナッツ ココナッツアイスクリーム』と合わせると、アイスクリームの乳脂肪分がよりまろやかになり、口中でさらにコクのある味わいに変化した。

ラディッキオとカステルフランコのサラダ リンゴ キャンディーナッツ ゴルゴンゾーラドレッシング

モルトンチョコレートケーキ ペカンナッツ ココナッツアイスクリーム

『シャトー・デ・ゼラン マルゴー 2018年』(カベルネ・ソーヴィニヨン70%、メルロ27%、プティ・ヴェルド3%)は口当たりが滑らかで、味わいを下支えする酸が長い余韻を導く。
「2018年ですが、まだ熟成のポテンシャルがあります。今飲むならカラフェを使ってほしいですね」とジュリーさん。
このワインには『米国産 ブラックアンガス チョイス サーロイン ステーキ』がマッチ。ワインの滑らかさとビーフの脂が合わさり、互いの旨味が引き立てられた。

米国産 ブラックアンガス チョイス サーロイン ステーキ フレンチフライ

シャトー・デ・ゼランでは、トラクターには電気自動車を使用し、畑ではソーラーパネルを導入して自家発電するなど、サステイナブル(持続可能)な取り組みも行っている。また、区画ごとに醸造を行い、ブルゴーニュ的なワイン造りを実践。
「ボルドーというと、格付けシャトーか安いワインといった二極化したイメージを持たれていると思います。ですが、ボルドーにもブティック・ワイナリー(高品質なワインを造る小規模生産者)はありますし、私たちもテロワールにこだわったワイン造りをしています。そういったことも知ってもらえるとうれしいです」とジュリーさんは語った。

約20年ぶりに来日したオーナーのジュリー・ゴネ・メドヴィルさん(左)と娘のアテナイスさん。アテナイスさんは今回が初のビジネスヴィジット

※記事中のフードメニューは取材当時のものです。終了している可能性もありますのでご了承ください

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