肉とワイン、言わずもがなの王道ペアリング。今回、チリのワイナリー「ヴィニャ・マーティ」が造る希少プレミアムワイン『クロ・デ・ファ』と肉の相性を、カリフォルニアの銘醸ワイン『オーパス・ワン』との比較試飲を通して徹底検証! 肉マニアでワインにも造詣が深い、ダンス&ボーカルグループ「EXILE」のSHOKICHI氏と、「レカングループ」総支配人兼エグゼクティブソムリエの近藤佑哉氏が熱く語り合った。
★WEB先行公開記事★
本誌『ワイン王国 134号』(4月5日発売予定)ではより詳しい内容をお届けします!
SHOKICHI氏(右)
ダンス&ボーカルグループ「EXILE」のボーカル、パフォーマーとして活動。「LDH」史上最大のオーディション「iCON Z –Dreams For Children」のプロデューサーも務める。現在、EXILEの5人からなる「EXILE THE SECOND」としても全国ツアーを開催中。2022年「ワインエキスパート」資格を取得。渾身の焼き肉論をまとめた本『EXILE SHOKICHI 肉主義』を4月26日に発売予定
近藤佑哉氏
「レカングループ」総支配人兼エグゼクティブソムリエ。1989年、兵庫県生まれ。「トゥールダルジャン東京」などで研鑽を積み、2019年「銀座レカン」へ。23年より現職。19年「第3回ボルドー&ボルドーシューペリウール ソムリエコンクール」優勝、20年「第9回全日本最優秀ソムリエコンクール」第3位
和牛の繊細さに共鳴する、チリのエレガントワイン
近藤 今回用意したのは『クロ・デ・ファ』(ヴィニャ・マーティ)と『オーパス・ワン』です。ヴィニャ・マーティの醸造家、パスカル・マーティ氏は「オーパス・ワン」の醸造にテクニカル・ディレクターとして携わった過去を持ち、チリのワイン造りに“テロワールの表現”を取り入れた先駆者と称されています。それでは、早速テイスティングしてみましょう。
SHOKICHI オーパス・ワンは、凝縮した果実味に加え、スーッとしたメントールの香りを強く感じます。さすがオーパス・ワン、とても華やかですね。合わせるなら、熟成した牛肉を豪快に焼き上げるようなニューヨークスタイルのステーキがいいんじゃないかな。対してヴィニャ・マーティのクロ・デ・ファは、土っぽさやゴボウを思わせる根菜の香りを感じます。このワインからは非常に洗練された美しい大地が浮かびました。肉を合わせるなら、俄然、和牛のイメージがわいてきます。なかでも三田牛(さんだぎゅう)は素朴だけれども上品な脂の香りが特徴です。松阪牛がパッと光を灯したような華やかさを持つ一方で、三田牛は、スッとそこに佇んでいるような、それでいて1本筋が通った、とても奥ゆかしい肉なんです。
近藤 オーパス・ワンは骨格やストラクチャーが非常にしっかりとしていて、さらに噛みしめたくなるような肉厚なタンニンがあるので、アンガス牛の赤身肉のようなしっかりと噛んで味わう肉とは相性がいいと思います。クロ・デ・ファは、アタックから豊かな酸が感じられ、ピンと背筋が通ったような緊張感を保ちながら甘やかな果実のフレーバー、熟成から来る複雑な香りが広がり、タンニンはよく溶け込んでいてシルキー。きめ細やかな和牛の肉質に染み渡っていくようなマリアージュが楽しめるでしょう。
SHOKICHI 軽く塩を振って炉釜と備長炭で表面をカリッと仕上げた肉をほお張り、クロ・デ・ファを口に含む。肉本来の味わいにワインの甘やかさをソースのように味わったら、粒コショウをカリッと噛む。そのスパイシーさとワインをまた楽しんで……。
近藤 なんてオシャレな! 「肉道」が見えました(笑)。ラム、仔牛、カモやシカなどのジビエもいいですね。この繊細さなら和食にも合わせやすいと思います。
SHOKICHI しゃぶしゃぶと合わせてみたいですね。大根おろしを添えて、ポン酢で。
近藤 いいですね! 何か頑張った時のおうちごはんとして、しゃぶしゃぶとヴィニャ・マーティのクロ・デ・ファ、最高だと思います。というのも、このクオリティーでありながら価格が2万円ほど。
SHOKICHI オーパス・ワンの約3分の1とは! すごくコスパがいい!
近藤 自分へのご褒美にも誰かにプレゼントにするにもちょうどいい。いろいろなシーンで活躍してくれるでしょう。EXILEのメンバーの皆さんと一緒にいかがですか?
SHOKICHI 和牛とクロ・デ・ファ、BGMはイマドキのカントリーミュージックがいいなぁ。盛り上がりそうです!
クロ・デ・ファ 2013年
土や根菜、熟した黒い果実やドライレーズン、アニス、クローヴ、シナモンなどのスイートスパイスやビーフジャーキーのような香りも。凝縮した果実味ときれいな酸、タンニンはよく溶け込みシルキー。力強さとエレガンスを兼ね備える。
ヴィニャ・マーティ
VIÑA MARTY
五大シャトーの一つ「シャトー・ムートン・ロートシルト」やカリフォルニアの「オーパス・ワン」(*)、チリの「アルマヴィーヴァ」といったスターワインを手掛けてきた醸造家、パスカル・マーティ氏(写真)が2008年、チリワイン発祥の地、マイポ・ヴァレーに設立したワイナリー。栽培から醸造まで一貫してマーティ氏が行っている
*オーパス・ワンの醸造にはテクニカル・ディレクターとして参画
問い合わせ先:㈱トゥエンティーワンコミュニティ
TEL.03-3401-1234(ワイン事業部) https://www.21cc.co.jp/
text by Asako NAKATSUMI
photographs by Kentaro TAKIOKA
撮影協力:銀座レカン