text by Isao MIYAJIMA
photographs by Hiromichi KATAOKA
トスカーナ海岸地帯にある注目の産地ボルゲリで、1977年創設の「グラッタマッコ」は「サッシカイア」に次いで2番目に古いワイナリーだ。歴史と品質の高さからサッシカイア、「オルネッライア」と並んで3大ボルゲリと称される。
「グラッタマッコの特徴はボルゲリには珍しく丘陵に畑があることです」と話すのは醸造責任者ルカ・マッローネ氏。ワイナリーの前に広がる畑は標高100メートル、2014年に購入したカーサ・ヴェッキアの畑は標高200メートルだ。
「大半の生産者の畑が集中するボルゲリ街道沿い平野部と比べると気候が冷涼で、しっかりした酸を持つ優美なワインが生まれます」

醸造責任者ルカ・マッローネ氏は、アブルッツォ州のブドウ栽培農家に生まれ、ピサ大学で栽培と醸造を学ぶ。2003年から「グラッタマッコ」、2007年から「コッレ・マッサーリ」グループの醸造責任者を務める
小石が混ざるフリッシュ(泥灰土と砂岩が重なった岩)土壌は貧しく、ブドウの樹勢は弱いが、ミネラル豊かな良質のブドウが収穫される。ボルドー品種で知られるボルゲリだが、丘陵ではサンジョヴェーゼも興味深く、『グラッタマッコ・ロッソ』に15パーセントブレンドされる。
「これがほかとは異なる際だった個性を生みます」
『グラッタマッコ・ロッソ ボルゲリ・ロッソ・スペリオーレ 2018年』は、ボルゲリらしい豊かな果実味に、ハーブ、灌木のニュアンスが混ざる。みずみずしい酸と繊細なミネラルが素晴らしい。
「国際的スタイルのワインが多いボルゲリの中で、トスカーナ的な優美さを保っています」
2016年ヴィンテージから標高の高いカーサ・ヴェッキアの畑のブドウがブレンドされるようになり、さらに洗練された味わいになってきた。ボルゲリならではの地中海的豊潤さに、少し大陸的な厳格さが混ざり、とても魅力的だ。2018年は古典的ヴィンテージで、グラッタマッコらしさが鮮やかに出ている。

『グラッタマッコ・ロッソ ボルゲリ・ロッソ・スペリオーレ 2018年』( 1万5081円)は、カベルネ・ソーヴィニョン65パーセント、メルロ20パーセント、サンジョヴェーゼ15パーセントというブレンドから生まれる優美なワイン
*価格は税込
「私たちはトスカーナで、ボルドー品種を使って、ブルゴーニュ的なワインを造っているのです」とマッローネ氏。このスタイルは各方面で高く評価されていて、ほぼ毎年「トレ・ビッキエーリ」を獲得し、海外でも高得点を連発している。
「熟成させるとさらに端麗な味わいとなります」
洗練された通向きのワインである。

ワイナリーの前にあるカベルネ・ソーヴィニョンの畑は1990年の植樹。標高100メートルで、泥灰土や砂岩が重なった小石が多く混ざる

ティネッロと呼ばれる700リットルの木樽で発酵を行う。一番手前は「サッシカイア」から譲り受けた1968年のティネッロ。
問い合わせ先:モンテ物産㈱ 0120-348566