5月25日、フランス・ボルドー地方の「ドメーヌ・ドゥニ・デュブルデュー」より、マーケティングやプロモーションを手掛けるジャン・ジャック・デュブルデュー氏が来日した。六つのワインをテイスティングしながら、温暖化への取り組みやボルドー・ワインの魅力を語った。

ボルドー白ワインの名門「ドゥニ・デュブルデュー・ドメーヌ」

画像: デュブルデュー教授の長男、ジャン・ジャック・デュブルデュー氏

デュブルデュー教授の長男、ジャン・ジャック・デュブルデュー氏

デュブルデュー家は代々ワイン造りの名門として知られ、ソーテルヌ、グラーヴ、キャデラック・コート・ド・ボルドーに計135ヘクタールの畑と五つのワイナリーを所有している。
3代目の故ドゥニ・デュブルデュー教授は、1987年からボルドー大学の醸造学部で教鞭を執り、スキンコンタクトの技術でボルドー・ブランの醸造に革新を起こした。「ボルドー白ワインの法王」と呼ばれ、その功績を高く評価されてきた。
2016年にデュブルデュー教授(享年67歳)が亡くなった後は、息子のファブリス氏とジャン・ジャック氏がドメーヌを引き継ぎ、デュブルデュー家に伝わるワイン造りのノウハウと伝統的な味わいを守り続けている。

今回来日したのは、マーケティングやプロモーションを手掛けながら、弟のファブリス氏とともに醸造も担うジャン・ジャック氏。彼の解説とともに、六つのワインをテイスティングした。

左から『クロ フロリデーヌ ブラン 2018年』『シャトー ドワジーデーヌ セック 2019年』『シャトー ドワジーデーヌ 2014年』『クロ フロリデーヌ ルージュ 2013年』『シャトー オーラ 2018年』『オマージュ ドゥニ デュブルデュー 2018年』

『クロ フロリデーヌ ブラン 2018年』(AOCグラーヴ)

品種:ソーヴィニヨン・ブラン51%、セミヨン49%
土壌:石灰岩、赤粘土
価格:5280円

トロピカルフルーツの豊かなアロマに、ソーヴィニヨン・ブランらしい柑橘類のニュアンス、古木のセミヨンから来るまろやかさを感じる1本。2018年は、各地で水不足が起こるほど暑いヴィンテージだったが、このワインはフレッシュな味わいに仕上がっている。

「表土を覆う粘土質の土壌が水分の蒸発を防いでくれるので、私たちは水不足の心配はありませんでした。深くまで根が張っているので、地中の石灰質由来のミネラルも感じられると思います」とジャン・ジャック氏。
クロ・フロリデーヌはボルドー地方の中心地より平均気温が7℃低いため、その気候もフレッシュな味わいに手伝っているという。

『シャトー ドワジーデーヌ セック 2019年』(AOCボルドー・ブラン)

品種:ソーヴィニヨン・ブラン100%
土壌:粘土、砂、石灰岩質
価格:5280円

リンゴやグレープフルーツ、ミネラルが豊かに香り、味わいはフレッシュでキリッとした印象。

「ドゥニ・デュブルデュー・ドメーヌ」では、果皮から旨味などの成分を抽出するため、白ワインを造る時に必ずスキンコンタクトを行う。ジャン・ジャック氏によると、寒いヴィンテージでは酸を減らすためにスキンコンタクトの時間を長くし、反対に、暑いヴィンテージでは酸を増やすために短くするという。最近では温暖化の影響で、スキンコンタクトの時間は短くなる傾向にあるそうだ。

『シャトー ドワジーデーヌ 2014年』(AOCバルサック)

品種:セミヨン85%、ソーヴィニヨン・ブラン14.5%、ミュスカデル0.5%
土壌:石灰岩、赤色粘土、白亜の小石
価格:6050円(375ml)、1万2100円(750ml)

ハチミツや黄色い花のアロマが広がる、とても優美なワイン。

「2014年ヴィンテージは比較的冷涼な気候で、エレガントな味わいになった」とジャン・ジャック氏。彼によると、ブドウがボトゥリヌス菌に侵食されると50%アロマが増すという研究結果があるほか、ブドウが酸化しやすくなる要素が消えるため、抜栓前なら100年、抜栓後も1カ月同じ状態を保てるという。

『オマージュ ドゥニ デュブルデュー 2018年』

品種:プティ・ヴェルド100%
土壌:粘土質
価格:1万1000円

力強く骨格のあるアロマと、ベロアのようにまろやかでやさしい味わいにギャップがある。

プティ・ヴェルドが好きだったデュブルデュー教授へのオマージュとして誕生したこのワインは、2018年が初ヴィンテージ。ジャン・ジャック氏は「晩熟型のプティ・ヴェルドは暑い気候に適している。2018年は暑いヴィンテージで、メルロはベト病の害を受けた。一方、プティ・ヴェルドは出来が良い年で、2018年にこのワインを造った」と教えてくれた。

そのほか『クロ フロリデーヌ ルージュ 2013年』(カベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロ35%/5060円)は、黒系果実のアロマにミントのニュアンスも。タンニンはしっかりとしながらもとても滑らかで、10年経った今もフレッシュな印象が強い。

『シャトー オーラ 2018年』(カベルネ・ソーヴィニヨン37%、メルロ63%/4400円)は、煮詰めたブラックベリーやカシス、リコリスのアロマが香る。口当たりは柔らかく、フルーティーで旨味がのった味わい。

ジャン・ジャック氏にボルドー・ワインの魅力を尋ねると「ボルドー・ワインはアサンブラージュ(ブレンド)を基本としますが、それはより複雑な味わいにつながります。また、他の地域に比べ、価格上昇が抑えられているので、価格以上のクオリティーを感じられると思います」と語ってくれた。
どれも柔らかさを感じさせる、「白ワインの法王」の技術と伝統を受け継ぐ2人の兄弟が手掛けるワインをぜひ試してみてほしい。

*価格はいずれも上代価格、税込

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