チリを代表する『ヴィニェド・チャドウィック』。その歴史を11世紀にさかのぼるチャドウィック家は、イングランド王国の土地台帳にその名を刻む名家。チリに拠点を持ったのは1820年のことだ。ドン・アルフォンソが1942年にサン・ホセ・デ・トコナル農園300haを購入、邸宅とポロ競技場を建設した。ブドウ畑を作ったのは息子で現在の主エデュアルド氏で、1999年にファーストヴィンテージを生み出した。

そして5年後、世界を震撼させた「ベルリン・テイスティング」を迎える。『ヴィニェド・チャドウィック 2000年』がボルドーの1級シャトーをおさえ1位となり、以来チリのトップを歩み続けるワインブランドに。

ヴィニェド・チャドウィックを巡る壮大な物語の背景となったのは、マイポ・ヴァレーのDOプエンテ・アルト。サンティアゴから車で30~40分、アンデス山脈から吹く風が昼夜の温度差を生む標高650mのこの地は、高品質なカベルネ・ソーヴィニヨンの産地として知られる。
今秋に発売となる2021年ヴィンテージと、04年の「(※)ベルリン・テイスティング」でトップを飾った00年ヴィンテージを含む全6ヴィンテージの垂直試飲セミナーが、銀座「ファロ」で開催された。

(※)2004年に開催されたブラインド・テイスティング。フランス、イタリア、チリのプレミアムワインを含めた16種類が競われた。1位は『ヴィニェド・チャドウィック 2000年』、2位は『セーニャ 2001年』(同)で、チリワインが圧勝した

画像: アジア・マーケティング・ディレクターのサブリナ・テュミノさんと、アジア・パシフィック・ディレクターのジュリアン・プルティエ氏。試飲したワインとともに。『ヴィニェド・チャドウィック』、左から2021年、20年、14年、13年、10年、00年

アジア・マーケティング・ディレクターのサブリナ・テュミノさんと、アジア・パシフィック・ディレクターのジュリアン・プルティエ氏。試飲したワインとともに。『ヴィニェド・チャドウィック』、左から2021年、20年、14年、13年、10年、00年

ヴィニェド・チャドウィック2021年

来日したアジア・パシフィック・ディレクターのジュリアン・プルティエ氏は「史上最高のヴィンテージ」と語る。例年より冷涼な夏となり、ブドウがゆっくり成熟した。収穫は15~17の区画ごとに行い、ベストな果実を厳選。この年はカベルネ・ソーヴィニヨン97%に、プティ・ヴェルド3%をブレンドした。明るい赤紫色で、目の覚めるような酸、やさしくゆるやかな果実味と、ココアやナツメグのような深遠な香りが顔を覗かせる。今秋のリリースが楽しみだ。

ヴィニェド・チャドウィック2020年

例年より温暖な年。収穫も2週間ほど早く、酸がしっかりとして緊張感のある味わい。黒い果実や黒コショウ、タバコの深い香りがあり、細かいタンニンがワインにデリケートさを与ええている。

ヴィニェド・チャドウィック2014年

ワイン評価家ジェームズ・サックリング氏が100点を与えたヴィンテージ。チリのワインとしては海外のワイン評論家から満点を与えられたのはこれが初めて。「困難な年だった」とプルティエ氏は言う。9月中旬に遅霜があり、収穫量が減少したためだ。乾燥した年でもあり、収穫期を早め、鮮やかな酸味を保った状態で果実を収穫。結果的にパワーのある、長期熟成可能なヴィンテージに仕上がった。心地いい果実感が広がり、かすかな苦味と土の香りが残る。

ヴィニェド・チャドウィック2013年

2021年に近い、例年よりも冷涼だったヴィンテージ。14年から一転して、生命力のある明るさを持ったワインだ。酸はしっかりしているが突出せず、赤い果実味やタンニンとバランスよく溶け合っている。飲むと気持ちが軽くなるようなヴィンテージだ。

ヴィニェド・チャドウィック2010年

この年から醸造時の新樽使用を控えている。とはいえかつてのパワフルなイメージは健在。濃厚さ、たっぷりとした果実味、ヴァニラの香り、甘いスパイスの香りなどが複雑に混じり、さらにこの先の熟成が楽しみだ。

ヴィニェド・チャドウィック2000年

「ベルリン・テイスティング」で1位となったヴィンテージ。熟成がぐっと進み、枯れ葉やミント、乾燥したタバコの葉、革、マッシュルームなど、枯れて落ち着いた味わいの奥に、赤い果実の旨味が広がっている。
「タンニンは絹のよう。本当に美味しく熟成している」とため息交じりに語るプルティエ氏。
ベルリン・テイスティングが行われた当時、「熟成に耐えられるのか」という疑問が出たというが、その答えがここにある。

料理とのマリアージュ

テイスティング会では、「ファロ」(銀座)の能田耕太郎シェフがワインに合わせたメニューを考案。料理とのマリアージュも体験した。

画像: 能田耕太郎シェフ

能田耕太郎シェフ

「タリアテッレ 仔羊のラグーソース」には『ヴィニェド・チャドウィック 2010年』のパワフルで甘苦いスパイスの風味がマッチ。仔羊の脂や軽やかなラグーソースと寄り添う。

画像: 「タリアテッレ 仔羊のラグーソース」

「タリアテッレ 仔羊のラグーソース」

「仔羊のラビオリ セージバターソース」には『ヴィニェド・チャドウィック 2020年』。セージの青さと、酸がしっかりしたフレッシュな20年がさわやかな組み合わせに。

画像: 「仔羊のラビオリ セージバターソース」

「仔羊のラビオリ セージバターソース」

「仔羊モモ肉のロースト」は『ヴィニェド・チャドウィック 2013年』がベスト。生き生きとして開放的な味わいの13年は、繊維が詰まってかみ応えのある仔羊と絶妙なパワーバランスだ。

画像: 「仔羊モモ肉のロースト」

「仔羊モモ肉のロースト」

「ヴィニェド・チャドウィック」ウェブサイト https://vinedochadwick.cl/ja/

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