日本とアルゼンチンの外交樹立125周年に三つのアルゼンチンワインが日本初登場。
その記念プロジェクトとしてオリジナルラベルボトルの開発も。
ワイナリーやラベルがお披露目されたレセプションを訪れ、リポートする。

画像: (左から) 『オサド・ホワイト・マルベック 2022年』(ボデガス・サレンタイン オサド) 『カベルネ・フラン 2020年』(クラロスクーロ) 『ヘリテージ 2017年』(1853 オールド・ヴァイン・エステート)

(左から)
『オサド・ホワイト・マルベック 2022年』(ボデガス・サレンタイン オサド)
『カベルネ・フラン 2020年』(クラロスクーロ)
『ヘリテージ 2017年』(1853 オールド・ヴァイン・エステート)

日本とアルゼンチンの外交樹立125周年を祝い、新たなアルゼンチンワインが日本に上陸。そのお披露目会が「駐日アルゼンチン共和国大使館」で開催された。会では、日本におけるワインコンサルティングの第一人者である田辺由美さんが登壇。

「かつてアルゼンチンを訪れた際、メンドーサのワイナリーを巡りテイスティングしました。標高の高さがワインにエレガントさと奥行きをもたらしていたのが印象的でしたね。首都ブエノスアイレスの多彩で豊かな食文化がはぐくんできたワインは、熟成感を伴った大人のワイン。本日は日本初のワインがどんな味わいなのか、楽しみです」とゲストを代表してコメントした。

画像: 田辺由美さんと駐日アルゼンチン大使のエドゥアルド・テンポーネ氏

田辺由美さんと駐日アルゼンチン大使のエドゥアルド・テンポーネ氏

今回輸入される三つのワイナリーはすべて、世界的な銘醸地メンドーサでも優れたワインを産するウコ・ヴァレーで営まれている。「オサド」は、名門「ボデガス・サレンタイン」が新しい試みとして注力しているシリーズ。発売されるのは黒ブドウ品種のマルベックで醸した白ワインだ。仲良しのキツネとヒツジが描かれたラベルは、その意外な組み合わせを表現している。

南アメリカ大陸出身の醸造家マルチェロ・ペッレリッティ氏が、樹齢100年を超すプレ・フィロキセラの古木のマルベックから、2種のキュベを醸しているのが「1853 オールド・ヴァイン・エステート」。

「クラロスクーロ」は家族経営のワイナリーだ。オーナー夫妻のグスターボ・クッキアーラ氏とパウラさんがウコ・ヴァレーを旅した際、その美しさに魅せられ2012年に開業した。夫妻は来日して出席、妻のパウラさんがゲストの前でワイナリーを紹介した。
「私たちの別名は“ボデガ・デ・アルテ”。アルテ(アート)とワインを結び付ける取り組みをしており、これまで母国のアーティストの作品をラベルに採用してきました。本日はどんな作品が選ばれるのか、ドキドキしています」

そう、外交125周年を記念し、クラロスクーロのオリジナルラベルプロジェクトが進行していたのだ。応募総数77作品の中から厳選された5作品を、特別審査員の弘兼憲史氏(『島耕作』シリーズ作者)と樹林ゆう子さん・伸氏(『神の雫』原作者)らが最終審査。女子美術大学の鵜原百花さんの作品『大地』が選ばれ、パウラさんは「両国の絆を強くしてくれることに期待している」と言葉を贈った。
鵜原さんの作品が描かれたオリジナルラベルワインは、今冬発売を予定している。

画像: (左から)審査員を務めた弘兼憲史氏、樹林ゆう子さん、樹林伸氏

(左から)審査員を務めた弘兼憲史氏、樹林ゆう子さん、樹林伸氏

アルゼンチンより3生産者が日本初上陸!

新たに日本にやってきたアルゼンチンの3生産者。第10回「全日本最優秀ソムリエコンクール」で優勝した野坂昭彦氏がお勧めする1本とともに紹介する。

画像: ©Kentaro TAKIOKA

©Kentaro TAKIOKA

Akihiko NOSAKA
「マンダリン オリエンタル 東京」ダイレクターオブワイン

CLAROSCURO(クラロスクーロ)

大人のエレガントワイン
その味わいをアートで表現

「クラロスクーロ」は、オーナー夫妻のグスターボ・クッキアーラ氏とパウラさんが旅先で魅了された地、ウコ・ヴァレーで営まれている。憧れの地に畑を購入し、マルベック、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、ピノ・ノワールを栽培。

「はじめはブドウの販売だけで、身内で楽しむために少量のワインを醸したのですが、それが美味しかったので本格的に造ることにしたのです」
ビスタ・フローレスにある単一区画と、サン・カルロスにある単一畑を所有。区画ごとに土壌が異なるので、栽培方法を変え、醸造も別々のタンクで行う。

標高1000メートル以上の地で高品質なワインを生み出す

「標高1400メートルの冷涼な『グアルタジャリー』や、より標高が低くやや穏やかな気候の『アルタミラ』など、ウコ・ヴァレーは微気候に富んでいます。テロワールを反映したワイン造りを心掛けていて、全体としては丸味のあるスタイルに。さらにハイエンドのワインでは、エレガントで複雑な味わいを表現し、10 年以上熟成できるものもあります」

ヴィンテージごとに変わるラベルも特徴で「芸術好きな私たちと娘でワインのスタイルや味わいに合う、母国の芸術家の作品を選んでいるんですよ」とパウラさん。“ボデガ・デ・アルテ(アートのワイナリー)” とも呼ばれる由縁だ。

「人生の明るい日も暗い日も、私たちのワインが皆さまのそばにあり、喜びを増幅させ、悲しみを和らげることができる存在でありたいと考えています」と、日本のワイン愛好家に向けてメッセージを送ってくれた。

オーナー夫妻のグスターボ・クッキアーラ氏とパウラさん

カベルネ・フラン 2020年

品種:カベルネ・フラン100%
希望小売価格:2332円(税込)

「ダークチェリー、ナツメグ、アカシア、ドライフラワー、セイボリーハーブなどさまざまな香りが入り混じる。滑らかで上質な質感から、快活な酸味と緻密なタンニンがテンションを与える、堅牢で重心の低いワイン。鴨胸肉のローストやウナギの蒲焼きと」(野坂氏)

1853 OLD VINE ESTATE(1853 オールド・ヴァイン・エステート)

パーカーポイント満点の醸造家による
優雅で凝縮したプレミアムワイン

世界的な名声を得ている醸造家マルチェロ・ペッレリッティ氏が、母国アルゼンチンの銘醸地メンドーサでスタートしたワイナリー。“1853” は、フランス人のブドウ品種学者により、マルベックがアルゼンチンにもたらされたとされる年である。ラインナップは赤ワイン2種。フィロキセラ(*)以前に植えられた希少な自根から取り木して増やされたマルベックを100パーセント使用している。少なくとも樹齢100年を超える古木から生まれたプレミアムワインだ。

*ブドウ根アブラムシ。植物の根や葉から樹液を吸い、枯らせる害虫。1800 年代後半にアメリカから流入し、ヨーロッパのブドウ栽培に壊滅的な打撃を与えた

ヘリテージ 2017年

品種:マルベック100%
希望小売価格:6380円(税込)

「香りは凝縮感があり、引き込まれるようなエネルギーを感じる。ダークチェリーのリキュール、ラベンダー、リコリス、ミルクチョコレートなど豊かなアロマ。リッチでまろやかな味わいで、奥行きがあり優雅な余韻が広がる。アサードやトンポーローにぴったり」(野坂氏)

BODEGAS SALENTEIN OSADO(ボデガス・サレンタイン オサド)

マルベックで生み出す
力強くも洗練された白ワイン

ウコ・ヴァレーのパイオニア「ボデガス・サレンタイン」が、新しい取り組みとして力を入れているのが「オサド」シリーズだ。「オサド」はスペイン語で「大胆」「勇敢」を意味しており、既存の概念にとらわれない発想で、ユニークなワイン造りを実践している。『オサド・ホワイト・マルベック』は、そのチャレンジ精神を体感できる1 本。マルベックといえば濃厚な赤ワインのイメージだが、こちらは白。エレガントでありながら、品種らしい力強さも表現されている。

オサド・ホワイト・マルベック 2022年

品種:マルベック100%
希望小売価格:2332円(税込)

「色調はピンクがかった淡いベージュ。白桃からラズベリーまで豊富なフルーツのアロマが際立つ。ジューシーな果実味と柔和で厚みある質感で、きめ細やかな酸味と苦味が味わいにアクセントを加えている。セヴィーチェ、ハマグリの白ワイン蒸しと楽しみたい」(野坂氏)

問い合わせ先:㈱トゥエンティーワンコミュニティ TEL. 03-3401-1234(ワイン事業部)

text by Atsushi TOGAMI, photographs by Koumei KADOWAKI

『ワイン王国 137号』掲載

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