スーパータスカンでその名を馳せた「クエルチャベッラ」のグローバルセールスディレクター、ジョルジオ・フラジャコモ氏がオンラインでセミナーを開催した。
クエルチャベッラは1974年、トスカーナ州グレーヴェ・イン・キアンティの丘の中腹に購入した1ヘクタールの畑から始まった。創設者ジュゼッペ・カスティリオーニ氏は偉大なワインをよく知るコレクターで、自身でもワイン造りをしてみたいと創業。伝説の醸造家、ジャコモ・タキス氏の助言を受けながら、サンジョヴェーゼだけでなく、国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シャルドネなどからワインを造ることにした。
1981年に初めてリリースした、サンジョヴェーゼ75パーセントにカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロをブレンドした『カマルティーナ』はスーパータスカンとして世界中で注目を集めた。
「当時のキアンティ・クラッシコ地区はワインの品質が今ほど高くありませんでした。キアンティ・クラッシコには白ブドウをブレンドする必要がありましたし、生産規定に則って産地名を名乗るよりも、新しいことに挑戦しようとグレーヴェで成功していたカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドしたのです」
さらに、ジュゼッペ氏の息子であるセバスティアーノ氏が、1988年から畑をビオディナミに移行。この地でビオディナミ農法を取り入れた最初の生産者となった。2000年からはヴィ-ガンでのワイン造りを開始。今では30種類の植物を使い、独自の農法でブドウを育てている。
2010年にはバローロで有名な「ヴィエッティ」オーナーのルカ・クッラード氏をコンサルタントとして迎えた。
「畑を小さな区画に分けて、別々に醸造したり新樽比率を減らすなど、より純粋で生き生きしたワイン造りを行うようになりました」
クエルチャベッラのワインのスタイル
現在のクエルチャベッラが造るワインのスタイルには次の4つのポイントがある。①純粋さ、②生き生きした味わい、③引き締まった緊張感、④鮮やかに正確にフォーカスした味わい。畑ごとに収穫・醸造してテロワールを反映したワイン造りを行っている。
『キアンティ・クラッシコ 2018年』はピュアな果実味で生き生きとした味わい。赤い果実やチェリーの香り。きめ細かなタンニンが心地よく酸味と溶け合っている。
『キアンティ・クラッシコ リセルヴァ』は良いヴィンテージしか造らない。収穫時のブドウの状態を確認し、造るかどうか決めるという。2019年は16カ月バリックもしくは小樽で発酵。厳格だがグリップの効いたタンニンが特徴だ。
『キアンティ・クラッシコ グラン・セレツィオーネ 2018年』は標高600メートルの非常に小さな畑から造られるシングルヴィンヤード。果房を沈めて抽出するというバローロの手法を取っている。タンニンの抽出がデリケートになる。果実が凝縮しており、滑らかなタンニン。黒系果実と樽由来のヴァニラが複雑さを醸し出す。
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