最も優美なヴェルメンティーノが生まれるコッリ・ディ・ルーニ。この産地を代表する「ルナエ」は卓越したテロワールを反映させたワインで、国内外で高い評価を得ている。

画像: オーナーのパオロ・ボゾーニ氏は1966年にワイナリーを創設。栽培と醸造を近代化し、リグーリアを代表する生産者となった。コッリ・ディ・ルーニを守った人物

オーナーのパオロ・ボゾーニ氏は1966年にワイナリーを創設。栽培と醸造を近代化し、リグーリアを代表する生産者となった。コッリ・ディ・ルーニを守った人物

最も繊細で、洗練されたヴェルメンティーノが生まれるのが、リグーリア州東端にあるコッリ・ディ・ルーニだ。ブドウ畑170ヘクタール、年間生産本数210万本の小さな呼称だが、輝く個性を持ち、専門各誌でも高い評価を得ている。この産地を救い、代表的生産者として国内外で名声を高めているのが「ルナエ」だ。

「ワイナリーの創設時(1966年)、地元で瓶詰めをしている生産者はいませんでした」と振り返るのはオーナーのパオロ・ボゾーニ氏。ヴェルメンティーノの可能性を信じていた氏は瓶詰めを始めた。

「自社で醸造できない小さなブドウ栽培農家は、ネゴシアン(ワイン商)に廉価でブドウを売るしかなかったのですが、経営が成り立たず、栽培をやめてしまうおそれがありました。私がそのブドウを購入すれば、この地のヴェルメンティーノを守れると考えたのです」

画像: 2023年6月にオープンした新しいワイナリーは落ち着いた近代的な雰囲気で、美しい。環境、持続可能性にも最大限に配慮していて、訪問客を受け入れる体制も万全だ

2023年6月にオープンした新しいワイナリーは落ち着いた近代的な雰囲気で、美しい。環境、持続可能性にも最大限に配慮していて、訪問客を受け入れる体制も万全だ

今でも120の栽培農家がルナエ社にブドウを供給していて、総栽培面積は25ヘクタールになる。パオロ氏は栽培と醸造を近代化し、ワインの品質を高めた。1989年にはDOC(統制原産地呼称)も誕生した。90年代からはトリノ大学と協力して、ヴェルメンティーノのクローン選別、コッリ・ディ・ルーニに適した株密度や仕立て法の研究を行い、さらに品質を向上させた。今は醸造家である息子ディエゴ氏と娘デボラさんも働いている。65ヘクタールになった自社畑は40の小さな区画に分かれ、それぞれの特徴をいかしたワイン造りが可能だ。

小さなエリア内で大きく変わるテロワール

コッリ・ディ・ルーニの産地は地中海とアプアーネ山脈に挟まれ、海から標高1800メートルを超す山までの距離がわずか7キロで、急速に標高が高くなり、土壌も変化する。狭い産地に多様なテロワールが存在するのだ。

画像: 平野部にある畑はマグラ川が運んだ砂が堆積した土壌で、標高1~2mと低く、海の影響を受け気候は温暖

平野部にある畑はマグラ川が運んだ砂が堆積した土壌で、標高1~2mと低く、海の影響を受け気候は温暖

平野部にある畑は砂が堆積した土壌で、温暖な気候と豊かな水に恵まれている。チャーミングな果実味を持ち、すぐに楽しめるワインが生まれるテロワールなので、IGT(地域特性表示ワイン)『ラビアンカ』(ヴェルメンティーノにマルヴァジアをブレンド)を造っている。フルーティーで、喜ばしい白ワインだ。

画像: 丘のふもとの畑は標高20~100mほどで、平野部に比べ砂に粘土や小石が混ざり始める。畝間にソラマメなどを植えている

丘のふもとの畑は標高20~100mほどで、平野部に比べ砂に粘土や小石が混ざり始める。畝間にソラマメなどを植えている

丘のふもとの畑は砂に粘土と小石が少し混ざり、より優美なワインができる。果実のニュアンスが控えめになり、コッリ・ディ・ルーニの特徴である地中海ハーブ(サルヴィア、バジリコ、タイムなど)が感じられる。ここからは旗頭ワインの『エチケッタ・グリージャ』が造られる。

画像: 丘陵地帯の畑の一つ「サルティーコラ」。標高300mで、小石が多い。背後にある山脈の影響で昼夜の温度差が激しい

丘陵地帯の畑の一つ「サルティーコラ」。標高300mで、小石が多い。背後にある山脈の影響で昼夜の温度差が激しい

丘陵にある畑は森の中に散在する。空積みの石塀の細い道が続き、海岸松が並ぶ風景はまさにリヴィエラだ。小石が多い水はけの良い土壌で、気候はやや冷涼、昼夜の温度差が激しい。ワインはさらに洗練され、ハーブやミントのニュアンスが強くなる。ここからはほぼ毎年トレ・ビッキエーリ(*1)を獲得するなど評価の高い『エチケッタ・ネーラ』が造られる。畑はすべて自社畑で、15の区画(1~5ヘクタールと小さい)から選ばれる。標高250~300メートルで海から5キロ、アプアーネ山脈から15キロしか離れていない。それぞれの区画の特徴はかなり似ているが、微妙な違いを生かすために、別々に醸造、熟成(ステンレスタンクだけを使用)して、翌年2月にブレンドを行う。凝縮感があるが、フレッシュで、上品なアロマがいつまでも持続する。まさにコッリ・ディ・ルーニの神髄を伝えるワインである。

さらに上のクラスのワインとして単一畑のヴェルメンティーノ『カヴァジーノ』があるが、こちらは少し遅摘みをして、40パーセントをバリック発酵(残りはステンレスタンク)、ステンレスタンクで熟成させる。熟れた果実のトーンと後口の強い塩味のコントラストがとても魅力的だ。良年のみに造られる『ヌメロ・キウーゾ』は古木から最良のブドウを選び、ステンレスタンク発酵、1年半大樽熟成をする。こちらは遅摘みではないのでフレッシュで、熟成から来るペトロール香(*2)がリースリングを想起させる。破格の持続性を誇り、引き締まったワインである。タイプは全く異なるが、ともにコッリ・ディ・ルーニのヴェルメンティーノの頂点を示す。 
DOCの畑はすべて有機栽培になり、新しい醸造所も完成した。
「生産量をまだまだ増やしたい」とパオロ氏は意欲的だ。

画像: 左から『“ラビアンカ” リグーリア・ディ・レヴァンテ 2022年』(3700円)、『“エチケッタ・グリージャ” コッリ・ディ・ルーニ・ヴェルメンティーノ 2022年』(3700円)、『“エチケッタ・ネーラ” コッリ・ディ・ルーニ・ヴェルメンティーノ 2022年』( 5533円) ※価格は税込参考価格

左から『“ラビアンカ” リグーリア・ディ・レヴァンテ 2022年』(3700円)、『“エチケッタ・グリージャ” コッリ・ディ・ルーニ・ヴェルメンティーノ 2022年』(3700円)、『“エチケッタ・ネーラ” コッリ・ディ・ルーニ・ヴェルメンティーノ 2022年』( 5533円) ※価格は税込参考価格

画像: レストランも併設され、ワインとのマリアージュを楽しむことができる。ヴェルメンティーノと魚介類料理の相性は抜群だ

レストランも併設され、ワインとのマリアージュを楽しむことができる。ヴェルメンティーノと魚介類料理の相性は抜群だ

画像: 代々伝わるレシピに基づき、地元のハーブや果物を使って職人的に造られるさまざまなリキュールも人気だ

代々伝わるレシピに基づき、地元のハーブや果物を使って職人的に造られるさまざまなリキュールも人気だ

画像: 地元のワイン醸造にまつわる品々を展示しているミュージアムもあり、貴重な昔の写真などを見ることができる

地元のワイン醸造にまつわる品々を展示しているミュージアムもあり、貴重な昔の写真などを見ることができる

*1 イタリアのワイン評価本『ヴィーニ・ディタリア』(通称『ガンベロ・ロッソ』)における最高評価
*2 揮発性油

ワインの問い合わせ先:モンテ物産㈱ 0120-348566(フリーダイヤル)

text by Isao MIYAJIMA, photographs by Hiromichi KATAOKA

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