『オルネッライア2022年』とは?
4月1日イタリアにてリリースされる、2022年の『オルネッライア』。どんなヴィンテージなのだろうか。
* 格付けは下ながら卓越した品質を持ち、上位格付けのものを上回る評価を得ている、トスカーナ州のワイン
2022年は天候の変動が激しかったため、臨機応変に的確に対応することが求められた。この年を表現するのに選ばれた「ラ・デテルミナツィオーネ(決意)」という言葉のように、栽培チームと醸造チームが決意を持ち、熟練と不屈の精神で造られたオルネッライア 2022年。トスカーナの地中海沿岸地方のテロワールを表現し、繊細でありながら力強さを備えたワインに仕上がった。

『オルネッライア2022年』
恵みの雨
この年は2月から6月まで、過去4年間で最も乾燥した5カ月だった。さらに5月から9月にかけて、記録的な暑さとなったが、8月の終わりと9月には雨に恵まれた。この降雨が、二つの極端な気候状況を伴った2022年ヴィンテージには重要だった。
長期間の乾燥により成長が遅れ、収量が減ったが、その反面小粒で凝縮感のあるブドウが育った。成長期の後半に雨に恵まれ、バランスが復活したのだ。畑では健全なブドウのみを厳選して収穫し、ワイナリーではさらに2回、厳しく選果した。
凄腕生産管理マネジャーのマルコ・バルシメッリ氏のコメント
その謙虚さと、的確にテクニカルな内容をわかりやすく説明する姿勢、そして抜群の笑顔から“推し活”するワインラバーがどんどん増えそうなバルシメッリ氏。以下のように2022年を表現している。
「ちょうど良い濃縮度と個性が、2022年ヴィンテージの特徴だ。太陽の恵みが十分に感じられる一方、より細く率直なスタイルにおいて、圧倒的なフレッシュ感も備えている。この年のチャレンジにポジティブに反応し、例年よりプティ・ヴェルド(PV)の比率を増やした。オルネッライアのテロワールの特徴である活力とエネルギーを表現している」
プティ・ヴェルドの当たり年!
バルシメッリ氏のコメントで「P Vの比率を増やした」とあり、その理由を質問した。彼の答えは「このヴィンテージにおいては、P Vはブレンドにフレッシュさを与えた。そして、P Vによって与えられたタンニンは通常よりスムーズであった。これにより、このワインのタンニンのストラクチャーが決定されている。ボルゲリでは、2022年はP Vが偉大な年だった」
なるほど、滑らかなタンニンの印象は、ここからきていたのだ!と納得した。
ちなみに、過去5年のヴィンテージにおいて、P Vの割合は22年が最多の10パーセントとなっている。ほか、カベルネ・ソーヴィニヨンが55パーセント、メルロが25パーセント、カベルネ・フランは10パーセントという品種構成だ。

オルネッライア代表取締役社長ランベルト・フレスコバルディ氏(左)、生産管理マネジャーのマルコ・バルシメッリ氏
感じた香り
美しく澄んだ赤紫色で、リムの濃さは中くらい。ブルーベリーなどの濃い色のベリー類の香り。ミネラル感がきれいで、背景には黒コショウが感じられ、ほのかで繊細なオークの含み、そしてサンザシやヴァニラのニュアンスもある。

シームレスでスムーズ
フルボディ寄りで熟してジューシーな果実味には、かみ応えもある。酸味はコアに感じられるだけでなく、さっと舌の上で広がっていき、フレッシュさを演出。柔らかい果実味が支配的なフィニッシュでは、スパイシーさと花のニュアンスが余韻に残る。タンニンはまだまだしっかりとしているが、すでに半分はワインに融和しているようなまろやかなテクスチャーを持ち、非常にエレガント。温かみのあるワインだ。
8時間後の再試飲では
午前11時に試飲をし、デキャンタージュした後、8時間後に再度試飲してみると、タンニンが素晴らしく柔らかくなり、ビロードのような舌触りに。スミレの花のニュアンスも出てきて、きれいに開いていた。人で表現すると、中肉中背でしなやかな筋肉が付いた人を連想させるようなワインで、骨格はきちんとあるが、それだけではないしなやかさを持つ、そんなワインだと感じた。すでにアプローチ可能だ。
過去のどのヴィンテージと似ている?
オルネッライア代表取締役社長のランベルト・フレスコバルディ氏にも質問した。彼は「フレスコバルディグループ」のほかのワイナリーでも長年醸造に関わってきており、根っからの醸造家としても知られている。
「2022年ヴィンテージに類似しているのは、気候に関してであれば11年。しかし、そのころの醸造テクニックは今とはかなり異なるので、ワインのスタイルも随分違う。22年を試飲すると、11年より抽出がずっとやさしくなされているのがわかる」
リリース開始は4月1日
オルネッライア2022年は、4月1日からイタリアで販売が開始される。日本へは「ラ・プラス・ド・ボルドー」(ボルドー地方の販売システム)を経由して輸入されるため、販売開始は少し先になるが、若いうちからアプローチできる愛らしい2022年。日本でのリリースが待ち遠しい。
オルネッライアサイト(日本語)
https://www.ornellaia.com/ja/
text by Mami