ボルドー、サン・テステフの地で400年という長大な歴史を刻んできたシャトー・メイネが歴史的な節目を祝うため、シャトー・メイネを初めとするボルドーの格付けシャトーを傘下に持つ『クレディ・アグリコール・グラン・クリュ』((CA Grands Crus))の執行役員で、シャトー・メイネのディレクター兼醸造責任者のアン・ル・ナウールさんが特別な晩餐会を催した。この夜の主役は、1世紀前の1928年6月22日に同シャトーで供されたメニューをミシュランの一つ星シェフ、ヴィヴィアン・デュラン氏が現代的な感性で再解釈した料理の数々。そして、これに合わせて、アンヌ・ル・ナウールさんが、ボルドーのいくつかのシャトーの偉大なヴィンテージを自ら選んだ。

左から、マリンヌ・ルマンさん(広報責任者)、アンヌ・ル・ナウールさん(ディレクター兼醸造責任者)、ボリス・ディアロ氏(運営責任者)
シャトー・メイネの歴史を語る上で象徴的な年はいくつかあるが、今回の400周年の起点は1625年に遡る。この年、ピエール・フォートンという人物が、その所有地の一部をボルドーのフイヤン派修道会に遺贈したことが記録されている。シャトーの紋章に刻まれた「1662」という年は、修道士たちがこの地に壮大な石造りの館、すなわち現在のシャトーの原型となる建物を完成させた年である。当時、このシャトーは「プリウレ・デ・クレイ」の名で知られており、その名は長きにわたりラベルにも記されていた。

シャトーの紋章に刻まれた「1662」という年は、修道士たちがこの地に壮大な石造りの館、すなわち現在のシャトーの原型となる建物を完成させた年
近代における大きな転換点は、2004年にフランスの大手金融機関クレディ・アグリコルの傘下に入ったことである。ナウール氏によれば、買収当初、グループはボルドーに多数のシャトーを所有していたが、その経営は決して順風満帆ではなかったという。「当時、利益を上げていたのはグラン・ピュイ・ラコストくらいでした」と彼女は率直に語る。そこからグループは大胆なポートフォリオの再編戦略に着手した。多数のシャトーから、真のポテンシャルを秘めた限られたシャトーに経営資源を集中させる方針を採用したのである。最終的に選ばれたのは、シャトー・メイネ、シャトー・グラン・ピュイ・デュカス(ポイヤック、メドック格付け第5級)、クロ・サン・ヴァンサン(サン・テミリオン)の3つの中核シャトーであった。
この戦略転換から20年が経過した現在、シャトー・メイネの品質向上は目覚ましく、投資判断の正しさが証明されている。「長期的な視点に立ち、各テロワールの特性を最大限に表現することに全力を注ぐ。この哲学が、今日の品質向上を支えています」とナウール氏は説明する。

取締役兼醸造責任者のアンヌ・ル・ナウールさんの指導下で近代的な設備を導入し、品質が著しく向上している
ナウールさん自身の経歴も、シャトーの品質革命と密接に関連している。農学エンジニアであり醸造学者でもある彼女は、2019年夏に『CAグラン・クリュ』常務取締役に就任する以前、10年間にわたりテクニカル・ディレクターとして、傘下シャトーの技術的側面を指導してきた。この豊富な現場経験により、ブドウ栽培から醸造、さらには経営に至るまで、ワインビジネスのあらゆる側面に精通している。
「技術的な専門知識だけでなく、市場の動向や消費者のニーズを理解することが、現代のワイン産業では不可欠です。特に持続可能性への関心の高まりは、私たちの取り組み方針に大きな影響を与えています」と彼女は語る。
実際、ナウールさんのリーダーシップの下で、持続可能なブドウ栽培が重視されており、シャトー・グラン・ピュイ・デュカスが2025年の認証取得を目指すなど、傘下のシャトーで有機栽培への転換が積極的に進められている。「これは単なる流行への追従ではありません。テロワールを次世代に健全な状態で引き継ぐことは、私たちの重要な責任です」とナウールさんは強調した。

ヴィヴィアン・デュラン氏が1世紀前のメニューを現代的な感性で再解釈した料理の数々を作り上げた

第1皿:鱈のコンフィ焦がしバター、地元のホワイトアスパラガス 柑橘と唐辛子のコンセルヴ添え
ワイン:『シャトー・ド・レーヌ・ヴィニョー 1959年』(ソーテルヌ)

第2皿:牛肉のマリネ、冷製コンソメ、バルサミコ添え
ワイン:『シャトー・メイネ 1924年マグナム』(サン・テステフ)

第3皿:ピエール・デュプランティエのウズラのファルシ、豆類のラグー、ソーテルヌのジュレ
ワイン:『シャトー・タルボ 1926年 マグナム』(サン・ジュリアン)

第4皿:カットしたサン・ネクテール、野菜のジュとフレッシュハーブーで煮込んだジャガイモ
ワイン:『シャトー・メイネ 1955年 マグナム』(サン・テステフ)

第5皿:デザート、グレープフルーツのコンフィ、クレソンのソルベとジェノワーズ
ワイン:『シャトー・ド・レーヌ・ヴィニョー 1955年』(ソーテルヌ)
夕食会では特に、シャトー・メイネ1924年のマグナムが注目された。100年という長い熟成期間を経たこのワインは、まだ若く、驚くべき生命力を保持していた。グラスに注がれた液体は、熟成により色調は淡くなっているものの、ドライフルーツ、葉巻、なめし革、森の下草といった複雑な香りが立ち上り、口に含むとシルクのように滑らかなタンニンと、どこまでも続く長い余韻を感じることができた。
「このワインを味わうことで、100年前の醸造家たちの技術と情熱、そしてこのテロワールの偉大さを実感することができます。歴史の重みと、ワイン造りの普遍的な価値を同時に体験できる、貴重な機会でした」と参加者の一人は感想を述べた。
晩餐会では他にも、シャトー・メイネ1955年のマグナム、シャトー・タルボ1926年、シャトー・ド・レーヌ・ヴィニョー1959年と1955年など、歴史的価値の高いボトルが用意され参加者たちは時代を超えた味覚の旅を体験した。
そして晩餐会の締めくくりに、樽から直接サンプリングされたシャトー・メイネ2024年プリムールが供された。若々しいエネルギーと凝縮した黒系果実のアロマと、きめ細かく力強いタンニンから、このヴィンテージの将来性を感じ取ることができた。
「過去の偉大なヴィンテージを味わった後で、未来のメイネを体験する。これは、シャトーの物語が過去から現在、そして未来へと継続していくことを象徴する、感動的な体験だ」とナウールさんは語った。

夕食の中で、アンヌ・ル・ナウールさんは、シャトー・メイネの品質の根幹をなすものとして、その類稀なるテロワールを「魔法のよう(magique)」と表現した。ジロンド川に近接する丘の上という立地、そして深層に希少な青色粘土の層を持つ、厚い粘土質の土壌。この二つが、近年の気候変動という大きな課題に対して、驚くべき回復力をもたらしているという。暑い夏には粘土層が水分を保持し、ブドウに安定した供給を行う。一方で、春先の霜のリスクが高い時期には、巨大な水量を持つジロンド川が温度を調整し、シャトーを霜害から守る。
「人の記憶にある限り、メイネが霜の被害を受けたことはありません」という彼女の言葉は、このテロワールの恩恵の大きさを物語っている。この自然環境の恩恵により、シャトー・メイネは年による品質のばらつきが比較的少なく、安定した高品質のワイン生産が可能となっている。特に近年の猛暑年においても、粘土質土壌の保水力がブドウの品質維持に大きく貢献している。

この夜、用意されたメニューには、主催者であるアンヌ・ル・ナウールさんのサインとともに「1924 - 2024」という数字が記されていた。それは、この晩餐会で供された最も古いメイネのヴィンテージと、最も新しいヴィンテージを示している。過去への深い敬意と、未来への揺るぎない自信だろう。