完熟したブドウを収穫するかが大きなポイント

 ブルゴーニュよりドミニク・ローラン氏が来日し、『ムルソー2008年』と『シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ』の2011年、2014年、2015年の垂直試飲を「メゾン プルミエール」にて行った。

 元パティシエだったローラン氏はネゴシアンを起ち上げワイン造りに転向し、一躍時の人となった。2006年には「ドメーヌ・ローラン・ペール・エ・フィス」を興し、息子ジャンと一緒にワイン造りを行っている。妻は女性ヴィニュロンとしても有名なシルヴィ・エモナンさんだ。

「ムルソー2008年は10月7日、8日と遅めの収穫でした。その日程で収穫をしている造り手は誰もいなかった。収穫が遅いのは完熟のブドウながらも酸味もある状態を待っていたからです。十分熟したブドウなら、補糖も必要ない」とローラン氏。黄金色に輝くムルソーは、芳醇かつローストしたアーモンドの香りが楽しめた。

画像1: 完熟したブドウを収穫するかが大きなポイント
画像2: 完熟したブドウを収穫するかが大きなポイント
画像3: 完熟したブドウを収穫するかが大きなポイント

 ローラン氏は樽も自作することで知られている。

 「1995年にオークの木材を購入しました。樹齢40年のもので2年間乾かし、97年に最初の樽を作りました」ムルソーは新樽で1年半かけて熟成させるがその間まったく動かさないことが、良いワ
イン造りのポイントと語る。

 「バトナージュは一切行いません。毎週、必ず樽を満タンにします。というのも木と木の間から少しワインが蒸発するので、その分を追加するのです」とローラン氏は自身の秘訣を語った。

 続いて『シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ』の試飲では、2015年はフルーティなアロマ、2014年は花の香りが印象的だ。

 「2014年は100年の樹齢のヴィエイユ・ヴィーニュのブドウを使っており、テロワールをそのまま表現したような味わいです。2011年はバラの香りが出ていますが、樽の香りは溶け込んでいて感じられない。これが私のスタイルです」

 なおこの日はもう1本サプライズで『ポマール・プルミエ・クリュ・レ・ゼプノ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2003年』も試飲した。

「このポマールは1898年の樹齢のブドウを使っています。2003年は圧搾機から出てきた時から、このような凝縮した色をしていました。これは新樽で2年間熟成させています」 ローラン氏のワイン造りの秘密は、良いブドウを使って、良い樽で熟成させるというシンプルなものだが、それがローラン氏ならでは特別な味になる。

 この試飲会はローラン氏と親交のある、アルルの一つ星レストラン「ラ・シャッサニェット」のアルマン・アルナルシェフが監修する「メゾン プルミエール」にて行われた。アルナルシェフが各ワインに合わせて料理提案をし、夏野菜と鮮魚のモダンなスタイルのブイヤベース、南仏の伝統的なパイ包み、ラカン産仔鳩のサルミなどのフレンチのフルコースが振舞われた。

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 ワインの繊細さや芳醇なアロマ、凝縮感とのマリアージュが楽しめ、ローラン氏も自身のワインの力に満足していたようだ。

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