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 エルワン・フェヴレ氏は2005年に24歳で7代目として「ドメーヌ・フェヴレ」を引き継いだ。その後、ブルゴーニュの名の知れたグラン・クリュ、プルミエ・クリュを次々と買収し、同時に洗練されたブルゴーニュ・ワインのエスプリをまとう新しいワインタイルを確立し、文字通りブルゴーニュ・ワインを牽引するトップ生産家として注目を集めるようになった。今回、フェヴレの歴史やワイン造りの哲学、特にコート・シャロネーズ地区のワイン造りにフォーカスを当てて話しを聞いた。

画像: 「ドメーヌ・フェヴレ」社長、エルワン・フェヴレ氏インタビュー

ドメーヌ・フェヴレの歴史から話していただけますか

 私のファミリーはニュイ・サン・ジョルジュで創業し、1930年代にコート・ドールと共にコート・シャロネーズに進出してワイン造りを始めました。メルキュレの「ドメーヌ・ド・ラ・フランボワジエール」を購入し、本格的にコート・シャロネーズのドメーヌ経営に乗り出したのは1960年代に入ってからです。

 ニュイ・サン・ジョルジュの醸造所は私の祖父が70年代に、それまで借りていた建物を買い取り改装したもので、2017年から18年にかけて全面改装し最新設備を導入しました。伝統的な木桶を使っており、ここで、コート・ドールのすべてのグラン・クリュ、ほとんどのプルミエ・クリュを醸造しています。

 それに先立って、16年にメルキュレの醸造所も全面改装しました。ここでは、コート・シャロネーズの多くのアペラシオンをステンレスタンクで醸造していますが、メルキュレのプルミエ・クリュの中で特に質の高い「クロ・デ・ミグラン」「クロ・デュ・ロワ」などはコート・ド・ニュイと同じ木桶で醸造しています。

画像: ドメーヌ・フェヴレの歴史から話していただけますか

あなたがドメーヌを継いでからどんな変化がありましたか?

 私がドメーヌを継いでから、父は完全に私を信頼し、自由にワイン造りをさせてくれました。父は昔からボルドーやコート・デュ・ローヌのワインが大好きで、父の時代、1980年代、90年代は力強い、豊かなワインを造っていました。しかし、私は少し異なる、より柔らかいソフトなワインに舵を切りたいと思い、この視点で私は新しいワイン造りに挑戦してきました。

 父の右腕だった醸造家が2003年に急死し、私がドメーヌに入った時、その助手だった女性がワインの生産を担当していました。私は07年に新たに醸造家を雇い、私たちのワインのスタイルは劇的に変化しました。その後の変化はもっと穏やかなものです。偉大なワインは細かな違いの積み重ねでできるものだと思います。その視点から、細部を見逃さないように、細心の注意を払いながら仕事を進めてきました。

ドメーヌを引き継いだ2005年以降、どのミレジムが印象に残っていますか。

 私が最も誇れるワインは2019年です。このようなワインは今まで造ったことがありません。また、2005年も偉大なミレジムです。しかし私の好むような造り方ではありませんでした。今、もし私が2005年ミレジムを醸造すれば、まったく異なるワインになるでしょう。2005年は100パーセント父のやり方で造ったワインですから……。2007年、また、2010年も成功したミレジムといえるでしょう。2013年も個性があるワインです。

今、ドメーヌ全体で何ヘクタールの畑を耕作していますか?

私がドメーヌを継いですぐ、60年以上にわたって耕してきた大きな契約畑の契約が解消されたため、私たちの耕作面積は大きく減少しました。しかし、その後ジュヴレ・シャンベルタンの「ドメーヌ・デュポン・ティスラン」やシャブリの大手ドメーヌ「ビヨ・シモン」などを買収したことで、今、約120ヘクタールを耕作しています。

その内コート・シャロネーズのドメーヌは何ヘクタールですか?

 まず理解していただきたいのは、私たちの生産の80パーセントは、120ヘクタールの自家畑のブドウで造られており、「メゾン・フェヴレ」ではなく「ドメーヌ・フェヴレ」だということです。20パーセントのネゴシアン部門のワインはほとんどがブルゴーニュの赤と白で、グラン・クリュ、プルミエ・クリュはもちろん、その他のヴィラージュ以上のワインはほとんどすべて我々の自社畑のブドウで造られています。もちろん例外もあります。例えばムルソーとピュリニー・モンラッシェ、シャルム・シャンベルタン、グラン・ゼシェゾーには自社畑がないので、搾汁を購入して自社で醸造しています。

 私たちはコート・シャロネーズのメルキュレ、ジヴリー、モンタニーなどに計約70ヘクタールを所有しています。特にメルキュレの自社畑は47ヘクタールと大きく、メルキュレ・プルミエ・クリュ「クロ・デュ・ミグラン」(6.31ha)、「クロ・デュ・ロワ」(2.54ha)など多くのプルミエ・クリュを所有しています。

画像: フェヴレが耕作する畑の地図

フェヴレが耕作する畑の地図

画像: その内コート・シャロネーズのドメーヌは何ヘクタールですか?

コート・シャロネーズのほかのアペラシオン、リュリー、ジヴリー、モンタニーなどと比べたメルキュレの特徴はどんな点にあるのでしょうか。

 メルキュレはブルゴーニュで最も広いアペラシオンで、同じアペラシオンの中の四つの丘に、あらゆる向きの畑があります。ほとんど同じ向きの斜面に畑が広がっているコート・ドールとは大きく異なります。そして畑が斜面の上、中腹、平地のどこにあるかで土壌も異なり、テロワールはとても不均質です。ですから、一言でメルキュレの特徴を要約するのは容易ではありません。

 AOCメルキュレ全体の作付面積は約640ヘクタールで赤が85パーセント、白が15パーセントです。将来もこの赤、白の生産割合は大きく変わることはないと思います。少なくとも、私たちのメルキュレの畑の作付け品種割合は大きく変わることはないでしょう。私たちはテロワールの綿密な分析を行い、シャルドネに向く畑とピノ・ノワールに向く畑を確定しています。

メルキュレのワインとコート・ドールのワインの違いは?

 はっきりしているのは繊細さの違いです。つまり、メルキュレで大変良いピノ・ノワール、シャルドネのワインができますが、コート・ド・ニュイやコート・ド・ボーヌで得られる繊細さにはおよびません。例えばメルキュレのピノ・ノワールを試飲すると野性的で少し粗野な味、そしてピノ・ノワールの果実味が感じられます。一方、コート・ド・ニュイの偉大なテロワールにピノ・ノワールを植えると品種の特徴よりもずっとテロワールの個性が表現されたワインになります。

 一般に、メルキュレはピノ・ノワールやシャルドネの品種の表現を楽しむワインだと言えるでしょう。しかし、メルキュレにもいくつか例外的なテロワールがあります。例えば、私にとってプルミエ・クリュ、クロ・デュ・ロワは繊細さの点でほとんどジュヴレ・シャンベルタンと比肩でき、アロマも大変複雑です。一方、メルキュレー・ヴィラージュのフランボワジエールははっきりとコート・ド・ニュイやコート・ド・ボーヌとは異なる、少し野性的でフルーティーなニュアンスがあります。

画像: メルキュレのワインとコート・ドールのワインの違いは?

今後どのような展開を予定していますか?

 ドメーヌ・フェヴレは今、とても良い状態なので、これ以上畑を増やしてアペラシオンの数を増やすつもりはありません。もちろん、ムルソー、リシュブール、ロマネ・サンヴィヴァンの畑には興味がありますが、ニュイ・サン・ジョルジュやモレ・サンドニのプルミエ・クリュを加えることは考えていません。

 それよりも私が今、関心を持っているのはシャブリの畑を広げることです。シャブリは並外れた質を持ち、クオリティー・プライスが素晴らしい。ぜひシャブリのプルミエ・クリュやグラン・クリュに畑を見つけたいと思っています。

※『ワイン王国』121号(2月5日発売)では、コート・シャロネーズに関する特集があります。記事中に紹介されている「ドメーヌ・フェヴレ」をご覧ください。

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