イタリアワインで最も著名なブランドの一つ、スーパータスカンの「オルネッライア」が四つのワインの最新ヴィンテージを発売した。最高醸造責任者のアクセル・ハインツ氏がワインの紹介を、CEOのジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤ氏が、今年で13年目を迎えるヴェンデミア・ダルティスタについて語った。

「オルネッライア」の歩み

 トスカーナ州ボルゲリ地区で1981年に創業した「オルネッライア」は、今年でちょうど40周年という節目の年を迎える。創業当時から「品質第一主義・世界レベルのワインを造る」という信念のもと、ボルゲリのテロワールを最大限に生かしながら、丁寧なワイン造りが続けられてきた。
 2001年にはアメリカの『ワイン・スペクテイター』誌において『オルネッライア 1998』がワイン・オブ・ザ・イヤーを受賞、イギリスの『デカンター』誌では『オルネッライア 2011』がワインレジェンドを授与されるなど、華々しい受賞歴を持ち、名実ともにイタリア屈指のトップワイナリーの一つとなった。

ボルゲリの卓越したテロワール

 オルネッライアのあるボルゲリ地区は、ティレニア海からわずか10キロほど。地中海の影響を受ける温暖な気候である。背後にある丘陵が冬のアルプスからの冷たい風を遮り、夏の暑さは海からの涼風により和らげられる。土壌も複雑に入り組み、トスカーナの他エリアとは異なる独特のテロワールを形成している。
 栽培されている品種は主にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、プティ・ヴェルドなど。そこから生まれる『オルネッライア』はみずみずしく凝縮した果実味、立体的な骨格、滑らかなテクスチャーを持つ、国際的スタイルの雄大な赤ワインである。

芸術とワインの融合「ヴェンデミア・ダルティスタ」

画像: ベルギーの現代美術作家ヤン・ファーブル氏による「ヴェンデミア・ダルティスタ」のボトル

ベルギーの現代美術作家ヤン・ファーブル氏による「ヴェンデミア・ダルティスタ」のボトル

 

 2009年にリリースされた、06年ヴィンテージのオルネッライア。最高醸造責任者のアクセル・ハインツ氏はそのヴィンテージの特徴を表す言葉として「L’Esuberanza ~活力~」を選んだ。こうして始まったのがヴェンデミア・ダルティスタ。それぞれの年の特徴を表す1語をもとに、著名な現代美術作家がワイナリー内に作品を創り、限定ボトルに芸術ラベルをデザインする。

 2018ヴィンテージは「La Grazia ~優美~」、担当した芸術家はベルギーのヤン・ファーブル氏。有名な昆虫学者であるジャン=アンリ・ファーブルの曾孫に当たる。ヤン・ファーブル氏は貴重性のシンボルである「赤い黄金」の別名を持つ珊瑚を使用し、独自の斬新な視点から「La Grazia ~優美~」をイメージした作品を創り、自然の神聖さ・豊かな精神性を表現した。

画像: ヤン・ファーブル氏

ヤン・ファーブル氏

 ヴェンデミア・ダルティスタの限定ボトルは「サザビーズ」協賛の慈善オークションによって販売され、売り上げの全額を世界の芸術系財団や美術館に寄付してきた。2019年からはアメリカ・ニューヨークの「ソロモン・R・グッゲンハイム美術館」のプロジェクト「マインズ・アイ」にその収益金を全額寄付し、視覚障害のある人々にも全身の五感で芸術を鑑賞してもらえるよう、全面的な支援を続けている。

画像: グッゲンハイム美術館
グッゲンハイム美術館

新ヴィンテージの紹介

 「2019年は晴天が続く典型的なトスカーナの気候だった。春はやや涼しかったが成育期は温暖で、ブドウは太陽の恵みをたっぷり受けて、ゆっくり、そしてしっかりと成熟できた」とハインツ氏は語る。

『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア 2019年』
Poggio alle Gazze dell'Ornellaia

地中海の温暖な気候が育んだソーヴィニヨン・ブランの鮮やかな表現

画像1: 新ヴィンテージの紹介

■格付:IGT トスカーナ・ビアンコ
■品種:ソーヴィニヨン・ブラン78%、ヴェルメンティーノ16%、ヴェルディッキオ6%
■価格:1万円(税別)

 「ブドウがよく熟しフルーティーなワインとなったが、フレッシュできれいな酸が印象的なバランスの取れたスタイルに」(ハインツ氏)

 ゆったりとした優雅な香り。ピーチ、メロン、パッションフルーツ、カサブランカなど、かすかにハーブのニュアンスも感じられる。口に含むと、たっぷりとしたジューシーな果実味を楽しめ、酸はフレッシュでみずみずしく、はつらつとしている。純粋で透明感のある味わいが喜ばしく、生き生きと明るい印象で、余韻のミネラル感が心地いい。

『レ・ヴォルテ・デル・オルネッライア 2019年』
Le Volte dell’Ornellaia

ストレートな果実味を楽しめる、オルネッライアのカジュアルライン

画像2: 新ヴィンテージの紹介

■格付:IGT トスカーナ・ロッソ
■品種:非公開
■価格:4400円(税別)

 「ブドウがしっかりと成熟し、パワーのあるスタイルに仕上がったが、レ・ヴォルテの大切にしている純粋な果実味は変わらず楽しめる、とても良い年になった」(ハインツ氏)

 紫がかった鮮やかなルビーレッドの色合いが美しく、新鮮な赤や黒のベリー類、森の果実とバラの香りが芳しい。生き生きとした果実、フレッシュな酸、ソフトで滑らかなテクスチャー、きめ細かなタンニン。リリースしてすぐに楽しめる若々しい魅力を備えている。

 「2018年は全体的には温暖だったが春の雨が特徴的だった。2019年よりやや冷涼な年だがブドウが生育するのに十分な暖かさはあった」

『レ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライア 2018年』
Le Serre Nuove dell’Ornellaia

若いうちでも熟成させても、どちらも魅力的なオルネッライアのセカンドラベル

画像3: 新ヴィンテージの紹介

■格付:DOC ボルゲリ・ロッソ
■品種:カベルネ・ソーヴィニヨン33%、メルロ32%、カベルネ・フラン18%、プティ・ヴェルド17%
■価格:1万円(税別)

 「レ・セッレ・ヌオーヴェは素晴らしい出来になった。エレガント、スムーズ、シルキーなタンニン、レ・セッレ・ヌオーヴェの理想的な形だ」(ハインツ氏)

 香りは開いていて奥行きがあり、カシス、ブラックベリー、プラム、レッドチェリーの果実と、クローヴやリコリスなどの甘いスパイス、スミレやバラがふんわりと香る。充実した果実味、しなやかな酸、タンニンはヴェルヴェットのように滑らかで、温かみがあり、果実とスパイスの甘やかな余韻にフィネスを感じる。若いうちは芳醇な力強い果実味を楽しむことができるが、5~10年熟成させれば複雑さがさらに増し、より深みのある味わいに発展するだろう。

『オルネッライア ラ・グラツィア 2018年』
Ornellaia La Grazia

オルネッライアのフィロソフィーを結集、最良のブドウを使用したフラッグシップワイン

画像: 『オルネッライア ラ・グラツィア 2018年』(右) 『オルネッライア 2018年』

『オルネッライア ラ・グラツィア 2018年』(右)
『オルネッライア 2018年』

■格付:DOC ボルゲリ・ロッソ・スペリオーレ
■品種:メルロ51%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%、カベルネ・フラン7%、プティ・ヴェルド2%
■価格:3万4000円(税別)

 「ブドウはしっかり熟したが、春の雨の影響で、やや繊細で表現力豊かなスタイルに。ブレンドでバランスを調整、例年よりメルロの比率が高い。結果として『対称性』『均整』『調和』という美の三つの要素を備え、優美で気品ある『ラ・グラツィア』を体現するワインとなった」(ハインツ氏)

 濃く艷やかなルビーレッドの色調で、ダークフルーツ(特にチェリーやプラム)、ヴァニラ、リコリスなどスパイス、かすかにローズマリーの香りが鼻孔をくすぐる。包み込むような果実は濃密で、優雅でスムーズな酸、上質で洗練されたタンニンはきめ細かいが堅固である。シルクのように滑らかなテクスチャーが印象的で、オルネッライアのエレガンスが見事に表現されている。2018年の特徴としてすぐに楽しめるスタイルに仕上がっているが、15~20年の熟成により、その魅力を十二分に発揮できそうだ。

This article is a sponsored article by
''.