2月9日、「相模原の人と食の新たなチャレンジ」をテーマに、神奈川県相模原市の大川亜沙奈副市長と、相模原市で活躍する「Kentoku Winery(ケントクワイナリー)」代表の森山錬一氏、「つきよ」代表の滝柳心氏の3人によるトークセッションが行われた。

2023年1月から自社醸造を行うケントクワイナリーは、相模原市唯一のワイナリーだ。ワイナリーを運営する「大森産業」は、相模原市への恩返しをしたいと、14年に「八咲生農園(やさいのうえん)」を設立し、15年ころから醸造用ブドウの苗木の定植を始めた。これまでは「横濱ワイナリー」などに醸造を委託していたが、21年3月に相模原市が「さがみはらのめぐみワイン特区」に認定されたことを受け、ワイナリー設立に向けて動いてきたという。
現在は約7000平方メートルの自社畑で、欧州品種を中心に13品種、約3300本のブドウ樹を栽培している。今年の春には、自社栽培・自社醸造によるワインを初出荷する予定だ。

森山氏は「相模原は醸造用ブドウの栽培に適した地ではないけれど、人口が多いこの都市でワインを造ることで、ワインをより身近に感じてもらえるという大きなメリットがあると思っています」と、相模原の地でワイン造りをする意義を語ってくれた。

さがみはらのめぐみワイン特区
2021年3月、相模原市は国から「さがみはらのめぐみワイン特区」に認定された。これにより、相模原市産の果実(ブドウ、イチゴ、ブルーベリー、ユズ、ナシ、リンゴ、キウイフルーツ)を原料とした果実酒、リキュールを市内で造る場合に、酒税法の基準が緩和される。
この規制緩和により、年間6キロリットルの最低製造数量基準が、果実酒を造る場合は年間2キロリットルに、リキュールを造る場合は年間1キロリットルに引き下げられる。

滝柳氏も森山氏と同様、相模原市を盛り上げようと奮闘するうちの一人。市内の橋本地区にこだわり、「252sausage」はじめさまざまなジャンルの飲食店を展開している。コロナ禍の中、共通の友人の紹介で知り合ったという2人は「相模原市を盛り上げたい」という思いが共鳴し、出会ってすぐに意気投合したという。

「つきよ」代表の滝柳心氏(左)と「ケントクワイナリー」代表の森山錬一氏

この会より前にケントクワイナリーのワインを飲んだことがあるという滝柳氏は「ケントクワイナリーのワインは、飲みやすい味わいで、かつ個性を感じます」と語った。
大川副市長も「フルーティーでフレッシュな味わいで、飲みやすいです」と笑顔を見せた。

今後の展望を尋ねられた森山氏は「ケントクワイナリーは『神奈川にワイン文化を! 相模原を中心に!』というスローガンを掲げて活動しています。現在、神奈川県にはワイナリーが数軒しかありませんが、相模原市はワイン特区に認定されて参入しやすくなりました。これを機にワイナリーが増えて、県や市が盛り上がっていくと嬉しいです。自身の目標としては、まずはこの1年をしっかり乗り切って、ワイナリーの地固めをしたい。また、他業種とのコラボも積極的に行っていきたいです」と語った。

相模原ペアリング

トークセッションの後、つきよグループのメニューに合わせて、ケントクワイナリーのワイン4種の試飲会が開かれた。

『ツナグ “ペティアン” 2022年』は、ビジュノワールとメルロをフィールドブレンドで醸した微発泡性の赤ワイン。ぴちぴちと心地いい泡が口中を刺激し、やさしい野趣を感じる仕上がりだ。
『メグミ 2021年』は「さがみはらのめぐみワイン特区」から名付けられたケントクワイナリーのフラッグシップキュヴェ。ブラッククイーンを主体に、サンジョヴェーゼとヤマ・ソーヴィニヨンがブレンドされていて、穏やかな酸とタンニンが感じられるフレッシュな味わいだ。ワインのほのかな苦味とだし巻き玉子の香ばしさがマッチした。

『ツナグ “ペティヤン” 2022年』TSUNAGU “Petillant”(「横濱ワイナリー」醸造)
品種:ビジュノワール62%、メルロ38%

『メグミ 2021年』MEGUMI(「東夢ワイナリー」醸造)
品種:サンジョヴェーゼ約70%、ブラッククイーン約29%、ヤマ・ソーヴィニヨン約1%
合わせたのは『ソーセージオードブル(4種盛)』と『だし巻き玉子』。だし巻き玉子には、本店「長盛庵」のそばつゆと相模原産卵が使われている

『ツドイ “ブラン” 2022年』は、ナイトハーベストで収穫した3種類の白ブドウをフィールドブレンドしたもの。ほのかな苦味が味わいに厚みを与える。ウインナーに添えられたマッシュポテトと合わせると、ヨーグルトのような味わいが生まれ、リッチ感のあるペアリングになった。

画像: 『ツドイ “ブラン” 2022年』TSUDOI “Blanc”(「渋谷ワイナリー東京」醸造) 品種:シャルドネ82%、ソーヴィニヨン・ブラン14%、甲州4% 合わせたのは『グリルウインナー~自社農園のマッシュポテト添え~』

『ツドイ “ブラン” 2022年』TSUDOI “Blanc”(「渋谷ワイナリー東京」醸造)
品種:シャルドネ82%、ソーヴィニヨン・ブラン14%、甲州4%
合わせたのは『グリルウインナー~自社農園のマッシュポテト添え~』

最後は『サンジョヴェーゼ “ペティアン” 2022年』。オレンジがかった淡いロゼ色で、チェリーのような甘酸っぱい果実香がチャーミングな印象を与える。程よい渋味、苦味があり、最中のサクサクした食感に合った。

画像: 『サンジョヴェーゼ “ペティアン” 2022年』Sangiovese “Petillant”(「横濱ワイナリー」醸造) 品種:サンジョヴェーゼ100% 合わせたのは『自家製ほうじ茶アイス』

『サンジョヴェーゼ “ペティアン” 2022年』Sangiovese “Petillant”(「横濱ワイナリー」醸造)
品種:サンジョヴェーゼ100%
合わせたのは『自家製ほうじ茶アイス』

どのワインもとてもフレッシュで、日々の食卓に合わせやすい印象を受けた。森山氏に聞くと「フレッシュ感を大切にしているので、すべてステンレスタンクで醸造しています」と教えてくれた。
栽培の面では、今後は「ほかの品種に比べて高い糖度と酸が得られる」と、タナを中心に、アルバリーニョやプティ・マンサンを増やしていく予定だという。
相模原市に新たに誕生したケントクワイナリーの今後の活躍が楽しみだ。

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