3月7~10日まで、アジア最大の食品見本市「FOODEX JAPAN」が、東京・有明の「東京ビッグサイト」で開催された。欧州連合(EU)は農産物の安全性と品質の高さをアピールするパビリオンを出展した。4日間わたりクッキングショーやワインセミナーなどを行ったほか、オリーヴオイル、菓子、ワインやビールなどのアルコール類、青果(果物・野菜)乳製品(チーズなど)肉類などを試せるテイスティングブースを設えた。
この出展をオーガナイズした「欧州委員会」国際関係官のセルジオ・パボン氏は「EUの農産物にとって日本市場を優先的にとらえています」と語る。EUからの輸入農産物で、豚肉に次ぎ重要な位置を占めているのがワインだ。EPAによる関税撤廃も追い風になり、今後ますます期待が高まっている。「ワインをはじめEUの農産物は歴史が培ったノウハウや地理的条件、オーガニックへの取り組みなどで最高の競争力を持っています」
また、コロナ禍という長い冬の時代を経て、日本でも徐々にワイン市場も回復してきている感もみられるが、その影響について聞くと「ワイン業界に関していえば、コロナ禍ではワインを造るスタッフの感染などに注意を払ってきた。また一時はレストランやバーなどの休業により厳しい状況ではあったが、現在は市場に人や物が戻ってきて、再び活気が出てきている」と話した。
パビリオンではEUの食材と和の食材を合わせるという「パーフェクト・マッチ」を大きなテーマに掲げ、「アカデミー・デュ・ヴァン」でも講師を務める林麻由美さんによるEUワインのプレゼンテーション「五感で楽しむ伝統的なEUワイン」が行われた。日本料理との相性を探りながら5産地のワインを紹介した。
まずはギリシャの土着品種「アシリティコ」のワインから。ステンレスタンクを用いてブドウの個性を生かした醸造をしており、レモンやライムの柑橘に塩気のようなミネラル感を持つ。「実際、現地の寿司バーでこのワインをいただきました。魚介とよく合うワインです」と林さん。
次はスロベニア。ボルドーと同じ位置(日本では北海道の稚内)にあるため、ブドウの栽培に適しているという。今回は「レブーラ」という品種のワインをセレクト。レブーラはお隣のイタリアでは「リボッラ・ジャッラ」とも呼ばれている。花や果実の繊細な香りが感じられ、柔らかな味わい。
そしてオーストリアを代表する品種、グリューナ・ヴェルトリーナは白い花や白コショウの香りがあり「まさに和食にぴったりです。バターやクリームを使わない和食には東欧系のステンレスタンクで造られたワインが良く合います」と林さん。
続いてフランス、ブルゴーニュ地方のサヴィニー・レ・ボーヌを。ピノ・ノワール100パーセントのワインで「日本人が好みそうな繊細な味わい」と林さん。赤系の果実に酸がエレガントに出ている。ピノ・ノワールは鴨と合わせることがよくあるので、和食であれば鴨鍋などもいいかもしれない。
最後はスペインの銘醸地カタルーニャ州のプリオラートから。リオハに続く最上格付けDOCaの産地だ。ガルナッチャ、カリニェナを50パーセントずつブレンドしており、カシスやブラックベリーの黒系果実が香り、口に含むと豊かな果実味とパワフルなタンニンが感じられる。
以上のワインを林さんが実際現地に訪れた際の写真や、産地にまつわるクイズとともに解説してくれた。「美味しい食事や旅行とリンクしてワインに興味を持ってくれる人も多い。ぜひバリエーション豊かなEUワインをいろいろ試してみてほしい」と結んだ。