地中海に浮かぶ島、イタリアのシチリア島とサルデーニャ島。それぞれの地に古くから根付く二つのワイナリー「ドゥーカ・ディ・サラパルータ」と「セッラ& モスカ」が造るワインとは。ワインジャーナリストの宮嶋勲氏が2人の生産者にインタビューし、その魅力を紐解いた。【ドゥーカ・ディ・サラパルータ編】

セッラ&モスカ編はこちら

「ドゥーカ・ディ・サラパルータ」はシチリアを代表する老舗ワイナリーだ。創業は1824年で、来年には200周年を迎える。数々の栄光と伝統を誇るだけでなく、1980年代にネーロ・ダヴォラによる『ドゥーカ・エンリコ』、インツォリアによる『ビアンカ・ディ・ヴァルグァルネーラ』という革新的なワインを生み出し、土着品種によるシチリア・ワインブームの先駆者としての役割も果たした。「小さな大陸」シチリア島の各地の畑のテロワールを生かした多様なワインを造っている。

『“カラニカ” グリッロ 2021年』はステンレスタンク発酵・熟成で、樽を使っていないので、品種の特徴がストレートに表現されている。グリッロはマルサラに使われる主要品種で、辛口白ワインとして造られるようになったのはこの20年ほどのことだが、あっという間にシチリアを代表する白ワインになった。醸造責任者のロベルト・マニージ氏は「インツォリアより躍動的で、カタッラットよりフルーティーで、誰もが好きになるワインです。シチリアではレストランでも、家庭でも楽しまれています」と話す。アペリティフ(食前酒)としても最高だが、魚介類のサラダ、エビやイカのフリット、シチリア名産のカポナータなどとも相性が良い。シチリアの夏を感じさせるさわやかで、魅力的なワインである。

画像: 醸造責任者のロベルト・マニージ氏

醸造責任者のロベルト・マニージ氏

『“センティエロ・デル・ヴェント”ヴェルメンティーノ・テッレ・シチリアーネ 2021年』はシチリアではまだ珍しいヴェルメンティーノで造られる。20年前にシチリア南部の畑にヴェルメンティーノを植えることを助言したのは伝説的醸造家ジャコモ・タキス氏だ。常に風が吹いている真っ白い石灰土壌の畑から生まれるので「風の通り道」と名付けられた。

画像: ヴェルメンティーノの畑

ヴェルメンティーノの畑

「トロピカルフルーツを感じさせるサルデーニャとも、繊細で、細身なリグーリアとも異なり、柑橘類のアロマを感じさせるシチリアならではのヴェルメンティーノです」

樹齢も20年近いので、味わいは複雑で、余韻が長い。魚介類のソースのパスタやリゾット、スズキやカジキマグロのグリル、鶏の煮込みなどと相性が良い。シチリア名物のアランチーノ(お米のコロッケ)やピッツァにも不思議とよく合う。世界的ブームを巻き起こしているヴェルメンティーノがシチリアと出合って生まれた新鮮なワインである。

画像1: 宮嶋勲氏が紐解く「ドゥーカ・ディ・サラパルータ」
~老舗が届けるシチリアの夏~

左から

“カラニカ” グリッロ 2021年
“Calanica” Grillo
品種:グリッロ100% 参考小売価格:2101円

洋ナシやパイナップルの弾けるような輝かしい果実のアロマにサルヴィアなどのフレッシュハーブのニュアンスが混ざる。味わいは若々しく、勢いがあり、後口に残るかすかな塩味が食欲をそそる。

“ センティエロ・デル・ヴェント” ヴェルメンティーノ・テッレ・シチリアーネ 2021年
“Sentiero del Vento” Vermentino Terre Siciliane
品種:ヴェルメンティーノ100%
参考小売価格:2827 円

カモミール、ローズマリー、薬草、灌木の地中海的な香り。黄桃などの果実を感じさせる豊かな味わいだが、同時にとてもさわやか。余韻が長く、複雑。熟成させるとリースリングを想起させるペトロール香が出てくる。

*価格は税込

text by Isao MIYAJIMA
photograph by Shoichi NOSE

問い合わせ先:モンテ物産㈱ TEL. 0120-348566

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