ヴェネトの名門「マァジ」7代目のアレッサンドラ・ボスカイーニさんが、息子のアレッサンドロさんと来日。日本人アーティストによる『コスタセラ・コンテンポラリー・アート』のお披露目が行われた。

漆と螺鈿を施した香炉がアマローネのラベルに

11月、在日イタリア大使館にて「マァジ」の『コスタセラ・コンテンポラリー・アート』が公開された。ワインのラベルに映し出されたアートは、漆芸家・浅井康宏氏の作品で、日本の伝統工芸である蒔絵と螺鈿(らでん)があしらわれた香炉『西香』だ。その名前は“西=ヨーロッパ、香=香り”に由来、この “ヨーロッパの香り”には、イタリアのブドウやワインの香りへの思いが込められている。

250年を超える歴史を持つ「マァジ」

マァジは、イタリアのヴェネト州ヴェネツィアにルーツを持つボスカイーニ・ファミリーが、ヴァルポリチェッラ・クラッシコ地区で起こしたワイナリーだ。昨年で250周年を迎えた老舗で、アマローネのエキスパート的存在。ワイン造りはもちろん、アートや文化を大切にし、さまざまな活動を行ってきたことでも高く評価されている。
お披露目のために来日した7代目アレッサンドラ・ボスカイーニさんにコスタセラ・コンテンポラリー・アートについて伺った。

画像: セールスディレクターのアレッサンドラ・ボスカイーニさんと、初来日した息子のアレッサンドロさん

セールスディレクターのアレッサンドラ・ボスカイーニさんと、初来日した息子のアレッサンドロさん

「このプロジェクトは、私たちと縁の深い国から国際的に活躍するアーティストを選び『“コスタセラ・コンテンポラリー・アート”アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ』に捧げる作品を制作してもらうという試みです。2013年、スウェーデンの画家アーネスト・ビルグレンさんを皮切りに、2年ごとに開催。スイス、カナダ、中国、ロシアと続き、今回は6番目として日本の浅井氏の作品を選びました」

さらにこのプロジェクトでは、若手芸術家の育成も大きな目標となっている。
「アートラベルボトルを販売した収益金は、そのアーティストのお弟子さんがヴェネツィアのムラーノ島にあるガラス工房に1カ月滞在し、ガラス製作を学ぶための奨学金に充てられます」

アートラベルが貼られるのは、マァジのフラッグシップワイン “コスタセラ”アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコだ。
「エントリーしてくださった芸術家の方々には、まず先入観なしにこのワインを飲んでもらいます。そこで得たインスピレーションを自由に表現してもらっているのですよ」

ワインの素晴らしさを水滴とブドウで表現

画像: 漆芸家の浅井康宏氏が「マァジ」のアマローネを飲んで得たインスピレーションを香炉に表現。「西香」は漆と螺鈿を用いた優美な作品。上部のつまみ部分はブドウの水滴をイメージしている ©Tadayuki MINAMOTO

漆芸家の浅井康宏氏が「マァジ」のアマローネを飲んで得たインスピレーションを香炉に表現。「西香」は漆と螺鈿を用いた優美な作品。上部のつまみ部分はブドウの水滴をイメージしている
©Tadayuki MINAMOTO

画像: ラベルの表面には剥がせるシートが。めくると「西香」の姿が現れるという仕掛け

ラベルの表面には剥がせるシートが。めくると「西香」の姿が現れるという仕掛け

約2年の歳月を費やして西香を完成させた浅井氏。
「過去採用された作品はすべて2次元アートだったのですが、私が手掛けるものは立体作品です。オファーがあった時は“自分でいいのかな”と戸惑ったのですが、“ぜひやってみたい”という気持ちのほうが勝りました。

その時“コスタセラ”アマローネを初めて飲みましたが、とてもエレガントで、深みとコクのある味わいに感動しました。何より、陰干することで凝縮したブドウの香りを表現したいと考えて、その姿を香炉に表しました。実はつまみの部分は、ブドウの水滴をイメージしているのです」
この“ブドウ”には、漆芸にも通じる“武道” の精神も掛け合わせているそうだ。

アレッサンドラさんは、浅井氏と西香にどのような印象を抱いているのだろうか?
「とても素敵な方ですね。情熱的ですが、自然体。指が漆で真っ黒なのは伝統工芸の職人らしく、畑仕事に勤しむわれわれの手と重なるものを感じました。

 正直なところ漆についてはあまり知識がなく、今回初めて日本の伝統工芸の奥深さに触れることができたと思います。螺鈿のアートはイタリアにもあり、アコヤ貝の貝殻を用いるのですが、ホワイトが主流。西香はパープルやブルー、グリーンなどカラフルで驚きました。近年、ヨーロッパではオリエンタルな文化が人気で、お香をたくという習慣も広まっています。身近になりつつある香炉がラベルになるということに、喜びを感じています」

さらに、日本の伝統工芸を選んだ大きな要因として「私たちが掲げる“近代的かつ古来の心を持つ、高品質のワインを造り続ける”というミッションと、浅井氏の伝統工芸に真摯に取り組みながら新しいものを創り出す姿に通じるものを感じた」ことを挙げた。

息子のアレッサンドロさんは「今、アマローネは世界的に成功を収めつつあり、イタリアの若者にも浸透し始めています。このプロジェクトの趣旨や、結果できあがった香炉ラベルのボトルは、若者の共感を得ることにも貢献するのではないでしょうか」と語った。

“コスタセラ”アマローネ 2005年についても、アレッサンドロさんに尋ねた。
「アートラベルに使うワインは、ボスカイーニ家のプライベートセラーに眠る希少なオールドヴィンテージです。05年は8月の気温が高く、色濃く仕上がりました。そして昼夜の温度差がワインにフレッシュさをもたらしています。タンニン分もしっかりありますが、とても柔らかさを感じさせる味わいです。私たちのアマローネらしい生き生きとした酸があるので、長期熟成が可能なのです。今飲んでも美味しいですが、あと20年くらい育ててみたい気もしますね」

アートレベルは限定2400本で、ホスト国の日本で販売されるのは1200本。ぜひ入手して香炉と一体化したボトルから立ち昇るアロマを楽しんでほしい。

画像: 『“コスタセラ・コンテンポラリー・アート” アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ 2005 年』 (木箱入り。浅井氏の制作風景を収めたカタログ付き) 4万40000 円(税込)

『“コスタセラ・コンテンポラリー・アート” アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ 2005 年』
(木箱入り。浅井氏の制作風景を収めたカタログ付き)
4万40000 円(税込)

問い合わせ先:日欧商事㈱ 0120-200105

text by Atsushi TOGAMI, photographs by Kentaro TAKIOKA

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