Michel Lynch
ボルドー・メドック地区に拠点を置く「JMカーズ」は、創業者のジャン・ミッシェル・カーズの時代から、豊かなテロワールと品種の特徴を表現した個性的なワインを造り続けるワインメーカーだ。なかでも、メドック格付け5級でフラッグシップである「シャトー・ランシュ・バージュ」は、格付け以上の高い評価を得ている。
現在は4代目のジャン・シャルル・カーズ氏が舵を取り、初代の精神を受け継ぎながらも、銘醸地ボルドーにおけるワインの未来を見据えて次々と新たな取り組みにチャレンジしている。「ミッシェル・リンチ」は、より多くの人にボルドー・ワインに親しんでもらうべく、シャトー・ランシュ・バージュの経験と技術を生かして生まれたカジュアルで親しみやすいシリーズだ。
「ボルドーの伝統を守りつつその壁を越えた革新的なワイン」と語るのは、「レカングループ」総支配人兼エグゼクティブソムリエの近藤佑哉氏。
「常にボルドーの新しいワインシーンを提案し、トレンドを牽引するブランドです」
クラシックなスタイルを踏襲しながらモダンでエレガントに仕上がった味わいは、ワイン愛好家の間でも評価が高い。
このワインのパイオニアはまた、オーガニックワインの先駆者でもある。ボルドーの中でいち早くオーガニックワインの価値と重要性に着目し、2009年に『ミッシェル・リンチ・オーガニック』の初ヴィンテージをリリース、12年にフランスとEUの二つの認証を取得した。オーガニックワインを担当する醸造家のアン・ソフィー・ジャンビさんは現在、有機栽培業者組合のメンバーと協業して栽培から瓶詰めまでのすべての工程を管理、運営している。
「ワインから、品質の高いブドウを使っていることが感じられます」と近藤氏。ワインはもとより、ラベルやキャップシールにもブドウの廃棄物といったサステイナブルな素材を使い、環境への配慮を欠かさない。オーガニックの難しさを理解し、同時にボルドーという土地を知るリーディングカンパニーだからこそ生まれたワインだ。
「赤も白も共通して、味わいは穏やかでエレガントな印象ですが、奥にしっかりとした骨格があり滋味深い。やさしい口当たりは和食にも合います」と近藤氏。日々の食事に楽しみを添えるワインだ。
二つのオーガニック認証
ラベルにはフランス農務省による有機農業の認証マーク「アグリカルチャー・ビオロジック」とEUのオーガニック認証「ユーロリーフ」がプリントされている
ミッシェル・リンチ オーガニック・ブラン 2021年
Michel Lynch Organic Blanc
Comment by Mr. KONDO
ソーヴィニヨン・ブランに由来するハーブとユズなどの和柑橘類やハッカのような淡くやさしい香りを感じる。グラスを回すとミネラルが立ち上がり、果実味が溶け込んだジューシーな味わい。オーガニックならではのしなやかな酸が心地いい。
ミッシェル・リンチ オーガニック・ルージュ 2021年
Michel Lynch Organic Rouge
Commnet by Mr. KONDO
ミネラルの香りとアーシーなニュアンスの奥に、カシスやブルーベリー、クランベリーが潜む。かすかにスモークの印象もあり、アールグレイや台湾茶の茶葉のような香りも。凝縮した果実味がエレガントな酸に繋がり、やさしく体に染み入るような味わい。
text by Miki NUMATA, photograph by Kentaro TAKIOKA
問い合わせ先:アサヒビール㈱ 0120-011-121(お客様相談室)