新宿駅から特急電車で2時間弱かけて、山梨県の小淵沢駅へ。駅から車で5分ほど、南アルプス連峰、八ヶ岳、富士山をはじめ雄大な自然を眺めながら坂を上ると「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳」に到着する。
リゾナーレ八ヶ岳は、国内外7カ所に展開するリゾートホテルブランド「リゾナーレ」の第1号だ。季節ごとのイベントや子どもから大人まで楽しめるアクティビティーが充実する一方、日本で初めてワイン特区に認定された山梨県北杜市というロケーションを生かし、ワインを飲むだけでなく知って楽しめる「ワインリゾート」としての一面も併せ持つ。
ワインと野菜により特化すべく「OTTO SETTE」全面リニューアル!
ワインラヴァーにぜひ足を運んでほしいのが、宿泊者限定で利用できるメインダイニング「OTTO SETTE(オットセッテ)」だ。2007年のオープン当初から地元生産者との繋がりを大切にしてきたOTTO SETTEが、地域らしさ、生産者の思いをより伝えるため、4月30日に全面リニューアルオープンした。
新コンセプトは「Vino e Verdura(ヴィノ エ ヴェルデュ―ラ)」。イタリア語で「ワインと野菜」を意味し、今後さらにワインと野菜にこだわり抜くという思いが込められている。
リニューアルに当たり、料理長の鎌田匡人氏は「八ヶ岳野菜のポテンシャルをしっかり表現し、それを遠方から訪れた方だけでなく、地元の方にも広めていきたい」と思いを語った。今後は、地元農家と協力しながら国内生産量の少ないイタリア野菜も育て、八ヶ岳ならではのイタリア料理をより幅広く展開していく予定だという。
料理は前菜からデザートまで、すべての皿に野菜を使ったコース料理へと生まれ変わった。
「畑の前菜」は、オープン当初から作られ続けてきたOTTO SETTEのシグネチャーだ。野菜や花で彩られた八ヶ岳の畑をイメージし、30種類の野菜を使用するこの一皿は、新コンセプト「ヴィノ エ ヴェルデューラ」を最も端的に表現している。野菜一つ一つの個性が際立っており、濃厚な味がする野菜のパワフルな生命力に驚かされる。
ブドウ畑をイメージした「野菜のアソルティメント」はコルクやミュズレを使った器に盛りつけられ、その可愛らしい姿に心が躍る。
「山菜とイワナのガルムージャ」には、「ドメーヌ ミエ・イケノ」の『ミエイケノ 月香シャルドネ 2022年』をペアリング。発売と同時に売り切れてしまう幻のような造り手だが、ここリゾナーレ八ヶ岳では、06年からドメーヌ ミエ・イケノと提携を結んでいる。ここを訪れればドメーヌ ミエ・イケノのワインが必ずいただけるのは見逃せないポイントだ。ダイニングのワインセラーで、「キスヴィン・ワイナリー」や「ボー・ペイサージュ」ほか地元のワインとともに大切に保管されている。
地下カーヴをイメージした心地いい空間
また、今回のリニューアルにあたりOTTO SETTEの空間も一新された。デザインを担当した「KDa クライン ダイサム アーキテクツ」代表のアストリッド・クラインさんは「非日常が体験できるリゾートで、素敵な料理に合わせた美味しいワインを特別な空間で楽しんでほしい。そこで、昔の地下カーヴをイメージしてデザインしました」と設計の意図を語った。隣の客席とは程よい距離が保たれ、天井がやや低めに設計されているおかげで、どの席に座ってもプライベートで居心地のいい時間を過ごすことができる。
この特別な空間で大切な人とグラスを交わせば、忘れられないひと時となるはずだ。
【COLUMN】八ヶ岳の自然をピュアに表現する「ドメーヌ ミエ・イケノ」
4月、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳と提携を結んでいる「ドメーヌ ミエ・イケノ」を訪れた。こちらはフランスでワイン造りを学んだ池野美映さんが2007年に開業したワイナリー。計3.6ヘクタールの自社畑でシャルドネ、ピノ・ノワール、メルロを育てている。
「この地は日照条件に恵まれていて、畑に満遍なく光が当たります。それに、開放的な自然の中でリラックスしてワインを造れる。そんな魅力にひかれたのもあって、八ヶ岳にワイナリーを構えました」と池野さん。
目指すのは、八ヶ岳の自然を純粋に映したワインだ。
「年によって味わいが異なるのがワインの良さですから、ヴィンテージの違いを表現したいと思っています。グレートヴィンテージと言われるような年はもちろん、梅雨の長い年、台風の多い年も、すべて含めて“自然”です。それを純粋にワインにして、ボトリングする。ブドウのポテンシャルをそのまま生かすには、想像力が必要です」
先の読めないワイン造りにおいて、それでもこの先何が起こるかを常に想像し、思いつく対策は必ず行う。キャノピーマネジメント、遅霜対策としての焚火。一切手を抜くことなく、とにかく丁寧にブドウを育てあげる。その結果が、八ヶ岳の凛とした雰囲気を湛えたドメーヌ ミエ・イケノのワインなのだろう。
開業から17年。ブドウの樹齢も上がり、最近のヴィンテージは味わいに落ち着きがでてきたという。『ミエイケノ 月香シャルドネ』はもちろん、海外からの評価も上がってきているというから、今後の発展がますます楽しみだ。
ワインの世界に浸れる客室「ワインスイートメゾネット」
また、ワインラヴァーに一押しの部屋が「ワインスイートメゾネット」だ。ボルドーカラーを基調としたメゾネットタイプのスイートルームで、ゆったりとしたローソファでくつろぎながら、ワインを飲んだり、ワインにまつわる本を読んだりと、思い思いに過ごすことができる。全172室ある客室で限定3室の特別な客室だ。
2階のリビングルームにはワインセラーが常設されており、こちらの客室限定で飲めるドメーヌ ミエ・イケノのハーフボトルのワインのほか、ソムリエがセレクトしたワインがそろう(別途料金)。ホテル棟1階の「八ヶ岳ワインハウス」で販売されているワインを持ち込むことも可能。OTTO SETTEで料理とワインを堪能した後、皆で気兼ねなくもう1杯、なんて使い方もいいだろう。
また、八ヶ岳ワインハウスには、常時24種類の山梨ワインと長野ワインが有料で試飲できるサーバーが設置されている。気に入ったワインがあればショップでそのまま購入できるので、お土産探しのお伴にもぴったりだ。
OTTO SETTEのリニューアルにより、ますますワインリゾートとしての魅力が増したリゾナーレ八ヶ岳。今後は、雨を楽しむイベント「八ヶ岳ふれふれスカイ2024」(6月1日~7月7日)や、地元の生産者が集う「八ヶ岳マルシェ2024」(7月13日~8月25日)などのイベントも予定している。ワインとともに、八ヶ岳の夏を楽しみに出掛けたい。
施設概要
星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳
山梨県北杜市小淵沢町129-1
TEL. 050-3134-8093(リゾナーレ予約センター)
料金:1泊2万4000円~(2名1室利用時1名あたり、税サ込、朝食付)
URL:https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonareyatsugatake/
OTTO SETTE
2007年に、この地域ならではの食材との出合い、素材本来の持ち味を生かしたイタリア料理を提供したいとの思いでオープン。イタリア語で「8」を意味する「OTTO」で八ヶ岳を、「7」を意味する「SETTE」で食材を提供する7人の生産者(オープン当時)を表現。
料金:1名1万5730円 *ペアリングコースは別途9500円(いずれも税サ込)
営業時間:17:30-20:15LO
対象:宿泊者
予約:0551-36-5200(9:00-18:00)
URL:https://hoshinoresorts.com/jp/sp/ottosette/