イタリア・カンパニーア州の「ヴィーテマッタ」のプレゼンテーションディナーが9月2日に行われた。ヴィーテマッタは、精神障がい者、元犯罪者、薬物中毒者を雇い入れるプロジェクトとして誕生したワイナリーだ。プレゼンターはイタリアン・プロフェッショナルソムリエの林 茂氏が務め「リストランテ・アクア パッツァ」(南青山)の料理とともに、土着品種アスプリーニオから造られる独自のワインが供された。

㈲ソロイタリア代表取締役社長 林 茂氏
マフィアから没収した畑から生まれるワイン
ヴィーテマッタは社会協同組合のエウレカ・オンルスが運営を行っている。同組合は、さまざまな地方当局と協働でPTRI(個別治療リハビリテーションプロジェクト)を運営してきた経験から生まれた。持続可能で質の高い農業慣行に取り組み、恵まれない人々の社会参加を促進することに専念している。質の高い農業を通じて経済的、社会的、環境的な利益を生み出す、地域社会と環境にプラスの影響を与えることを使命とし、環境にやさしい農業慣行の採用による環境の持続可能性と、恵まれない人々に雇用と研修の機会を提供し、社会統合促進を目指している。
同組合は2009~11年にかけ、ナポリのマフィア組織からカザル・ディ・プリンチペとサンタ・マリア・ラ・フォッサの10haの畑を没収し、社会農業センター「A. di Bona」を設立。そこで栽培されたブドウから組合内のワイナリーであるヴィーテマッタがさまざまなワインを生み出している。
社会的弱者に訓練と雇用機会を提供
ヴィーテマッタは、労働市場から排除されがちな精神障がい者、困難を抱える若者、元犯罪者、薬物中毒者などを対象とした社会参加プログラムとして誕生したワイナリーだ。社会的弱者に訓練と雇用を提供し、かつて犯罪が蔓延していた場所であっても、発展、包摂を促進することを目的としている。
土着品種アスプリーニオ

ヴィーテマッタは約20haの土地を管理し、そのうち7haでブドウ栽培を行っている。土地はカザル ディ プリンチペ、ヴィラ リテルノ、サンタ マリア ラ フォッサの間に位置し、樹齢数百年のブドウの木が数本存在している。
ヴィーテマッタでは、土着品種アスプリーニオ種を使用した独自のワインを生み出している。この品種では、伝統的にポプラの木にブドウの木を誘引して蔓を這わせる「アルベラータ・アヴェルサーナ」という栽培方法が行われており、独自の微気候を生み出す効果やフィロキセラ被害を防ぐ効果がある。
アスプリーニオ種は、フィロキセラ被害に遭わなかった品種の一つで、その理由が前述の栽培方法とフィロキセラが侵入しにくい砂質土壌によるものだ。
「リストランテ・アクア パッツァ」の特別メニューとともに

左から『マヒルターテ アスプリーニオ・スパークリングワイン』『イル・プリンチぺ アスプリーニオ・スパークリングワイン・ミレジマート』『ガウディウム アスプリーニオ テッレ・デル・ヴォルトゥーノ IGT』『フォッサ・グレカ アリアニコ テッレ・デル・ヴォルトゥーノ IGT』
アスプリーニオ種は強烈な酸が特徴的で伝統的にスパークリングワインの原料として用いられてきた。この日もアスプリーニオ種から造られるスパークリングワイン、白ワインを中心としたペアリングコースが供された。
『マヒルターテ アスプリーニオ・スパークリングワイン』


前菜の『古田牧場の冷たいモッツアレッラチーズと季節のフルーツ、群馬県産16カ月熟成の生ハム添え』には『マヒルターテ アスプリーニオ・スパークリングワイン』を合わせた。このワインはシャルマ方式で造られ、全工程でステンレスタンクを使用している。ブドウを早めに収穫し、破砕、除梗、圧搾後にステンレスタンクで約6カ月間熟成。二次発酵は温度管理された耐圧タンク内で行われ、目指すスタイルに応じて3~4カ月間シュール・リーを施す。
外観は透明感のある麦わら色。ハーブや柑橘類の特徴的なニュアンスが際立ち、力強く持続性のある香りが広がる。味わいは、生き生きとした酸味に加え、繊細で主張しすぎない泡と、豊かなミネラルが感じられる。繊細かつバランスの取れたボディが特徴のワイン。
『マヒルターテ アスプリーニオ・スパークリングワイン』


続いて温かい前菜『穴子のフリット 酸味を効かせた玉葱ピューレ 大葉のペースト カラスミを添えて』には『イル・プリンチぺ アスプリーニオ・スパークリングワイン・ミレジマート』をペアリング。このワインも早めにブドウを収穫し、破砕、除梗、圧搾後、ステンレスタンクで約4カ月間熟成。二次発酵は瓶内で行われ、手作業により王冠で密閉。瓶内熟成は、スタイルに応じて最低24カ月間熟成(ステンレスタンクで約22カ月間、ピュピトルで2カ月間)。その後、デゴルジュマンを行い、コルクで打栓。
外観は透明感のある麦わら色。酵母やパンの耳を思わせる香りが際立ち、力強く持続性を持つ。同時に、ミネラルや柑橘類のニュアンスも感じられる。味わいは、生き生きとした酸味と豊かでクリーミーな質感が特徴で、力強い発泡感と、きめ細かく持続性のある泡立ちが楽しめる。フレッシュでミネラル感のある後味で締めくくられる。力強く、バランスの取れたボディが特徴。
『ガウディウム アスプリーニオ テッレ・デル・ヴォルトゥーノ IGT』


第一皿『大船度産ムール貝のジロール茸の自家製タリアテッレ』には『ガウディウム アスプリーニオ テッレ・デル・ヴォルトゥーノ IGT』をペアリング。収穫後、破砕、除梗、圧搾。温度管理されたステンレス・タンクで約10 日間発酵させ、その後、同タンク内で約3カ月間熟成。さらに約2カ月間の瓶内熟成を経てリリースされる。
透明感があり、力強い麦わら色の外観。ミネラルや柑橘類のニュアンスが際立ち、持続性のある香りが特徴。味わいは高い酸味と長い余韻、そして豊富なミネラル分が印象的。力強く、骨格のしっかりとしたボディを持つ。
『フォッサ・グレカ アリアニコ テッレ・デル・ヴォルトゥーノ IGT』


第二皿『牛頬肉の赤ワイン煮 マッシュポテトを添えて』には『フォッサ・グレカ アリアニコ テッレ・デル・ヴォルトゥーノ IGT』を合わせた。畑を選定してブドウを収穫。約20kgのバスケットで収穫・運搬した後、破砕・除梗。ステンレス・タンクで約10日間のマセレーションを行い、澱引きを経て、オーク樽で約12カ月間かけて発酵。その後、最低2カ月間の瓶内熟成が行われる。
鮮やかな赤色にスミレ色のニュアンスが加わった色調。赤い果実やスパイスの香りが際立ち、力強く持続性のあるアロマが広がる。味わいは力強く骨格があり、香りの印象がそのまま口の中に広がる。アリアニコ特有のタンニンが感じられ、木樽熟成由来のトースト香やバニラのニュアンスとバランスが取れている。力強く、余韻の長いボディが特徴。

