イタリア北部、ロンバルディア州とヴェネト州にまたがるワイン産地ルガーナ。温暖な気候に恵まれ風光明媚なところで、避暑地としても人気が高い。この地で世界中から訪れる観光客にサーブされるのが、DOCルガーナのワインだ。
2021年1月、ワインジャーナリストの宮嶋勲氏のナビゲートで、銀座のブルガリタワーにあるレストラン「ブルガリ イル・リストランテ ルカ・ファンティン」にて、ルガーナのワインとルカ・ファンティン氏の料理を楽しむプレスセミナーが開催された。
「DOCルガーナのワインは、地元の固有品種のトゥルビアーナ(トレッビアーノ・ディ・ルガーナ)で造られ、第一アロマはやさしく派手さはないですが、生き生きとした味わいを持つフレッシュなワインです。特徴は何といっても強靭な酸とミネラル。香りは白い花や柑橘類を感じさせます」と宮嶋氏。
畑は、ミラノとヴェネツィアの中間にあるイタリア最大の湖・ガルダ湖の南湖畔の平野と丘陵にあり、産地の中心は平野部だ。「氷堆石平野は、氷河が運んできて堆積させたミネラル豊かな粘土土壌。ブドウの個性と相まってワインに、骨格のしっかりとしたミネラルを与え、ルガーナらしい強靭なワインが生まれます」と話す。後味に塩味を伴うミネラルがあり、食事を呼ぶ味わいだ。
「一方、丘陵で造られるワインはトロピカルでチャーミングな果実味があり、親しみやすい味わいです」と宮嶋氏。
本日の試飲は6アイテム。料理は、事前にルカ氏がワインを試飲し、今回のために考案した特別コースだ。スタートを飾るのは『Lugana DOC Brut 2018年』(Olivini)と「アカザエビ ハーブ レモン」。「ルガーナのワインは酸とミネラルが豊富なので、スパークリングに向いています」と宮嶋氏。立ち上る泡とてんぷらの衣、そしてミネラルと柑橘類のニュアンスが、まるで手を取り合うように口の中に広がる。
こちらは3番目に供された『Lugana DOC Hamsa 2019年』(Cascina Le Presegli)と『帆立 根セロリ』。ワインの持つ火打ち石のようなミネラルとシャキッとした酸味に、ホタテのミネラル感が寄り添うことで、双方が高め合い、長い余韻が続く。
こちらは、『Lugana DOC Infanfora 2019年』(Borgo La Caccia)と『蛤のリゾット』。親しみやすい果実味と上品な酸味が心地いい。「リゾットにかけたソースは、このワインを煮詰めて作ったものです」とルカ氏。口に含むと、途端に旨味を持つコクが広がり、スプーンが進む。
ルガーナを代表するワイナリー「Tenuta Roveglia」の『Lugana Reserva DOC Vigne di Catullo 2017年』に合わせたのは『旬魚 蕪とカニ』。酸味、果実味、塩味のバランスがよく、余韻に現れるナッツの香ばしさが、松笠焼きの皮目の香ばしさをさらに引き立てる。
今回6本のDOCルガーナのワインを試飲したが、みずみずしい酸とミネラルを楽しめるものやふくよかな果実味が中心のタイプなど、バラエティの豊かさに驚いた。どでも、これからの季節にお勧めのワインばかり。この夏はきりっと冷えたルガーナのワインを楽しみたい。