過日、カリフォルニアワイン・サステイナビリティー・メディアセミナーがオンラインで開催された。

  カリフォルニアのサステイナブルへの取り組みを、カリフォルニアワイン協会国際部長のオナー・コンフォート氏と、カリフォルニア・サステイナブル・ワイングローイング・アライアンス(CSWA)事務局長のアリソン・ジョーダンさんが紹介した。

世界に先駆けてサステイナブルに取り組む

 世界第4位、アメリカ国内で1位の生産量を誇るカリフォルニア・ワイン。4200のワイナリー、5900人のブドウ栽培家、25万ヘクタール以上のブドウ畑を抱える一大産業、高品質なワイン造りを目指すとともに、サステイナブルなワイン造りを展開している。
 きっかけは2001年、栽培家と醸造家が一緒になり「カリフォルニアのサステイナブルとは何か」を定義付けしたことだ。

 定義の内容は「高品質なブドウとワインの生産」「環境保護」「良い隣人かつ良い雇い主である」「事業としての長期的な繁栄」だ。

 その領域は水の使用、エネルギーの使用、土壌管理、野生動物の生育環境保護、近隣コミュニティーとの関係、従業員の健康と幸福、社会還元など多岐にわたり、この約20年、さまざま教育と認証活動を通して拡大してきた。

 そして現在、サステイナビリティー認証「サーティフィケーティッド・カリフォルニア・サステイナブル」の「ワイナリー認証」を獲得しているのは約80パーセント、「畑認証」を獲得しているのは32パーセントとなっている。

 認証を受けたワインは「ブドウの85パーセント以上が認定畑であること」「100パーセントカリフォルニア産であること」を条件に、ボトルのラベルに「サーティフィケーティッド・サステイナブル」のロゴを記載できる。2017年以降、約1億1300本(750ミリリットルボトル換算)のワインにこのロゴが付いている。

ワイン愛好家の意識の高まり

 これほどサステイナブルへの取り組みが進んだ背景には、アメリカの消費者意識の高さがある。2020年「Wine Intelligence」調査によると、アメリカのワイン愛好家の70パーセント以上が、サステイナブルな方法で造られたワインの購入を将来的に検討すると回答、ミレニアル世代の10人中9人がサステイナブルなワインにもっとお金を払ってもいいと思っているという回答が得られた。サステイナブル認証は、消費者に安心感や透明性を与えていると言える。

 ワイン業界にとってサステイナビリティーの重要性はますます高まっていると、カリフォルニア・サステイナブル・ワイングローイング・アライアンス(CSWA)事務局長のアリソン・ジョーダンさんは言う。トレード関係者を対象としたアンケートでは、32パーセントがサステイナブルなワインを頻繁に購入、50パーセントが時々購入するという回答が得られている。そして70パーセントの人が、サステイナブルな方法で造られたワインのほうを(そうでないワインよりも)購入する意思があると答えているという。

サステイナブルに取り組むワイナリー

 セミナーでは、ジョーダンさんによってこうしたサステイナブルへの取り組みが紹介された後、サステイナブルへの包括的なアプローチを行っているワイナリー2社がオンラインで登場した。

シルヴァー・オーク・ワインセラーズ」

 オークヴィルにある「シルヴァー・オーク・ワインセラーズ」は、世界で初めてアメリカグリーンビルディング評議会による環境性能評価システム認証「LEED」のEBoM部門で最高レベルのプラチナを取得した。セミナーでは、2018年にBD+C部門のプラチナを獲得したアレキサンダー・ヴァレーの取り組みなどを紹介した。

「リッジ・ヴィンヤーズ」

 「リッジ・ヴィンヤーズ」はリットン・スプリングスからオンラインでつながった。“呼吸する壁”でできたワイナリーは、サステイナビリティーの象徴的な取り組みの一つと言われる。20年前に着工した、生態系にやさしいワイナリーだ。オンラインツアーでは実際にその壁の様子や水の節約、環境保全の実践の様子を伝えた。

 世界中のさまざまな業界でSDGsへの関心が急速に高まる今、ワイン製造・消費においてもサステイナビリティーは重要な課題になっている。1950年代後半に教育活動をスタートし、サステイナブルなワイン造りを目指し実践してきたカリフォルニア。世界の目が注がれている産地の最新情報を知るセミナーとなった。

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