シチリアを代表する「クズマーノ」が造る革新的なワイン『サーレアルト』と『フォスヌーリ』がこの秋から日本に初お目見えする。少量生産でシチリアの卓越したテロワールを思う存分に表現した興味深い逸品だ。
ダイナミックに躍進を続ける「クズマーノ」はシチリアを代表するワイナリーだ。クズマーノがリリースした斬新なワインが注目を集めている。
一つはフィクッツァ農園で生まれる白ワイン『サーレアルト』。フィクッツァはパレルモから30キロほど内陸に入った標高700~800メートルの山岳地帯にある。広大な森林に囲まれ、近くに両シチリア王フェルディナンドが建てた王宮がある。ここで王は狩りとワインを楽しんでいたそうだ。“王のワイン”にインスピレーションを得て生まれたのがサーレアルトだ。
特殊なテロワールを表現するために選ばれたのはインツォリア、グリッロ、ジビッボの3品種。別々に醸造、ブレンドしてからシュール・リーの状態で10カ月熟成させた。少しアロマティックな香りにフレッシュな地中海ハーブ、柑橘類が混ざる。酸がみずみずしく、生き生きとした味わいで、後口に心地いい塩味とミネラルを感じさせる。まさにシチリアのエッセンスが詰め込まれたワイン。
地中海的特徴と山岳産地の特徴を持つということでサーレ(イタリア語で「塩」)+アルト(イタリア語で「高い」)と名付けられた。デビューしていきなり2年連続で「ガンベロロッソ・ワインガイド」の最上位トレ・ビッキエーリを獲得するなど高い評価を得ている。
もう一つの赤ワイン『フォスヌーリ』が生まれるサン・ジャコモ農園は島の南側のブテーラにあり、強烈な太陽とそれを反射する真っ白い石灰土壌に恵まれた産地だ。地中海から吹く海風に潮の香りが感じられる。標高450メートルにある南向きの畑のシラーの古木で造られる。赤い果実、甘いスパイス、地中海灌木の香りを持ち、フレッシュで勢いのある味わいで、とても優美だ。すべてのアロマが鮮明で、まさにシチリアの太陽を感じさせる。
光に満ちた畑で生まれるワインとして、こちらはギリシャ語とアラビア語で「光」を意味する「フォス」と「ヌーリ」を組み合わせて名付けた。シチリアに深い痕跡を残した偉大な2文明にオマージュを捧げた形だ。
両ワインともシチリアの大地と光と地中海が生んだ卓越したテロワールワインで、とても魅力的だ。
text by Isao MIYAJIMA ,photographs by Shoichi NOSE
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