トスカーナの名門「オルネッライア」は赤ワインだけでなく、地中海の恩恵を受けた素晴らしい白ワイン『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア』も生産している。今回、2020年ヴィンテージのリリースと同時に9人のシェフとのプロジェクトを始動させた。オルネッライアが属す“地中海”と“ボルゲリの地”に敬意を表す新たな取り組みである。
オルネッライアの白ワイン造りには二つの歴史がある。1987年のファーストヴィンテージから2001年までが第1ステージで、その後は生産を休止。08年に『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア』をリリースして新たなステージがスタートした。世界に類を見ないボルゲリのユニークなテロワールを反映させ、蘇った黄金色の白ワインは、伝説の鳥フェニックスのイメージと重なり合って見える。
ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライアの最初のヴィンテージから関わってきた醸造家オルガ・フザーリさんは、最新ヴィンテージ2020年について「フレッシュでアロマティック、地中海からの影響を受けた“塩味”も感じる。特に、この年はソーヴィニヨン・ブランの品種香である3MH由来のグレープフルーツやパッションフルーツの香りが顕著」と述べていた。
新しい試みとして、2020年ヴィンテージのリリースと同時に立ち上げたのが「ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネライア・アンバサダー・プロジェクト」だ。イタリア全土の海岸沿いのレストランの名シェフ9人をアンバサダーに選出し、ワインと素晴らしいマリアージュを奏でる料理を考案した。すべてのレストランを訪問して美食体験をしてきたフザーリさんは「アンバサダーたちの料理には『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア』に特徴的な地中海の塩味、ミネラルを感じる」と絶賛。詳細は、コミニュケーション・マネジャー、エレナ・オプレアさんによって『Conversations by the Sea』というタイトルの冊子(非売品)にまとめられた。
日本では、2020年ヴィンテージのお披露目に際して、東京・銀座のイタリアン「ファロ」の能田耕太郎エグゼクティブシェフがオリジナルメニューを考案。17年、18年、19年、20年に合わせて料理が披露された。最新ヴィンテージに合わせて「アオリイカのタルタル トマトテリーヌ」が供出され、参加者は感嘆。絶妙なマリアージュだった!
*『ポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア 2020』はイタリア国内では今春に発売されたが、ネゴシアン経由での販売のため、日本市場では秋以降位に販売開始予定。時期は輸入元によって異なる。
text & photographs by Fumiko AOKI