フランスで一番売れているシャンパーニュ「ニコラ・フィアット」より、シェフ・ド・カーヴのギョーム・ロフィアン氏が来日した。
ニコラ・フィアットはシャンパーニュ地方で最大規模を誇る生産者協同組合。この地方の約1/3を占める5000軒の農家と築く緊密な関係により、常に高品質のブドウを調達している。またサステイナブルな農法を発展させるため、組合農家に栽培の技術的アドバイスをするなど、地域全体の品質向上に力を注ぐ。
ロフィアン氏は学校で農学を修め、卒業する際にニコラ・フィアットで研修を受けた。その後いくつかの有名メゾンで働いた後ニコラ・フィアットに戻り、2017年にセラーマスターに就任。さまざまな改革を行いながらチームを率いている。
それぞれに個性が光る豊富なラインナップ
今回、ロフィアン氏と代表的な五つのキュヴェを試飲した。
『レゼルヴ・エクスクルーシヴ ブリュット』
ニコラ・フィアットのフラッグシップ。30~45パーセント、5年分のリザーヴワインを使用。このリザーヴワインがロフィアン氏のこだわり。メゾンの味わいを毎年かわらず表現すためにとても重要なものと考えている。洋ナシのような白い果実やアプリコットの黄色い果実、ミネラルも感じる。アペリティフにも良いし、魚介の天ぷらにも合う。
『レゼルヴ・エクスクルーシヴ ロゼ』
12~15パーセントの赤ワインをブレンドして、アサンブラージュ製法で造られるロゼ。ブレンドの赤ワインは3年熟成させたものを使用する。「赤ワインは熟成させた方がタンニンが穏やかなため、バランスの取れたロゼになります」とロフィアン氏。
赤カシスやブルーベリーなどのアロマティックな香り。生き生きとした泡立ちと酸味と果実の調和がとれている。
『グラン・クリュ ブラン・ド・ノワール2014年』
ブラン・ド・ノワールに使用するのはヴェルジー、ヴェルズネイ、ブジー、アイ、アンボネといった石灰質土壌が中心のグラン・クリュ。
「ピノ・ノワールの特徴を大切に、コントラストがある味わいに仕上げました。毎年同じ村のブドウを使用しますが、ヴィンテージの個性を表現した区画を選んでいます」(ロフィアン氏)
アプリコットや黄桃のような黄色い果実の香り。ナッツやハチミツのようなニュアンスも。ボディが豊かでリッチなスタイル。
『コレクション ヴィンテージ ブラン・ド・ブラン2017年』
2017年は雨が多く、また夏は猛暑に見舞われて難しい年だったという。ヴィンテージの特徴として、チョークのようなミネラル感と太陽を感じる果実の厚みを感じる。6年の瓶内熟成のおかげでクリーミーな泡が心地いい。「暑い年はフルーティーさや生き生きした酸が生まれにくいのですが、マロラクティック発酵を途中で止めるなどして、醸造面で調整しています」(ロフィアン氏)
『パルム・ドール ブリュット2008年』
黒真珠をイメージしたボトルのデザインが印象的な同社のプレステージ。モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・ブランのグラン・クリュを使用。「グラン・クリュはそれぞれの個性があるので、それを調和させる“ネゴシエーター役”が必要です」とロフィアン氏。5パーセント、トロピカルな風味を持つモングー村産のシャルドネをブレンドしており、10年間瓶内熟成させることで融合し完全な一体感を生み出している。白い果実やナッツ、ほのかにスパイスを感じる。チョーキーなミネラルなど複雑で洗練された味わい。果実の熟度の高さを感じるが、まだまだフレッシュさも残している。
ニコラ・フィアットは日常にちょっと贅沢したい時にぴったりのスタンダードレンジから、ヴィンテージ、そしてラグジュアリーなプレステージまで、幅広いラインナップで愛好家を楽しませている。