カリフォルニア「コンティニュアム・エステート」からティム・モンダヴィ氏の次女、キアラ・モンダヴィさんが初来日。自身が手掛けた『センティアム』のお披露目を行った。

画像: アーティストの一面も持つキアラさんが描いた「センティアム」のラベル。「アイリスはデリケートだけど力強く育つ花です」

アーティストの一面も持つキアラさんが描いた「センティアム」のラベル。「アイリスはデリケートだけど力強く育つ花です」

ティム氏は「ロバート・モンダヴィ・ワイナリー」の栽培醸造責任者を30年間務め上げた人。キアラさんも「父の下で、栽培や醸造を学びました」と話す。

「父はフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵と祖父モンダヴィのコラボレーション『オーパス・ワン』で醸造を務めたほか、チリではチャドウイック家と『セーニャ』や『アルボレダ』、イタリアではフレスコバルディ家と『ルーチェ』など数々のプロジェクトに携わり、世界各国で、素晴らしい家族たちとコラボレーションワインを造ってきました」とキアラさん。そして2005年に「コンティニュアム エステート」を設立した。

「センティアム」のキーワードは、樹齢の古い木、オーガニック、そして家族経営の畑

センティアムは、モンダヴィ家の4代目が率いるワインだ。

「姉と兄、従兄弟とともに、家族で造っています」

画像: キアラさん、前日には京都へ。「本家たん熊 本店」でトレード向けのディナーを行ったそう。『ワイン王国142号』(8月5日発売)では、京都で行われたキアラさんと「本家 たん熊」料理長の栗栖純一氏との対談を取材! 芸術家でありワイングロワーでもあるキアラさんと、料理長でありソムリエでもある栗栖さん。互いに歴史ある家業を引き継ぐ4代目としての思いを聞きました

キアラさん、前日には京都へ。「本家たん熊 本店」でトレード向けのディナーを行ったそう。『ワイン王国142号』(8月5日発売)では、京都で行われたキアラさんと「本家 たん熊」料理長の栗栖純一氏との対談を取材! 芸術家でありワイングロワーでもあるキアラさんと、料理長でありソムリエでもある栗栖さん。互いに歴史ある家業を引き継ぐ4代目としての思いを聞きました

「ワイン造りは感覚が大事。五感を解放し自然と調和することで、ブドウの木と密接な繋がりを待てる」と話す。ワイン名のセンティアムとは、フィーリング、感覚の意だ。「自然の中にある野生の花々を守っていかねば、と感じます」とキアラさん。ラベルには北カリフォルニアに自生しているアイリスを描いている。

「センティアムを語る上でキーワードが三つあります。樹齢の古い木、オーガニック、そして小さなファミリーで育てられた畑です」とキアラさん。家族経営栽培家の愛情と知恵はテロワールに不可欠な要素であるという。

フュメ・ブランのワインからインスパイア

センティアムは、「アイ・ブロック」のフュメ・ブランのワインからインスパイアを受けて生まれた。「ト・カロン」の畑は樹齢が高く、70年代後半に引き抜く予定だったが「それを父が止めたのです」。その木から生まれたワイン『ト・カロン アイ・ブロックフュメ・ブラン』があったからこそ、センティアムが誕生したのだ。

そしてコンティニュアム エステートの白ワインを造るべく畑探しが始まった。ティム氏から「高樹齢の木を探すなら、メンドシーノ行った方が良い」とアドバイスを経て出会ったのがメンドシーノ・カウンティのAVAレッド・ウッド・ヴァレーにある家族経営の畑だ。1940年代と1960年代に植えられた有機栽培のブドウを使用している。

画像: 「センティアム」と合わせた「蒸し鶏の冷菜 上海風葱と生姜の翡翠ソース」。葱と生姜のソースが、センティアムの果実味と相乗。ワインの持つさわやかさとバランスの良い酸味が鶏肉とソースの味わいを引き立てる

「センティアム」と合わせた「蒸し鶏の冷菜 上海風葱と生姜の翡翠ソース」。葱と生姜のソースが、センティアムの果実味と相乗。ワインの持つさわやかさとバランスの良い酸味が鶏肉とソースの味わいを引き立てる

「この場所は、太平洋の風が流れ込む冷涼なエリア。フレッシュなフレーバー、適度なミネラル感を持ち、酸と果実味のバランスが取れたブドウが育ちます」

収穫後は、ブロックごとに醸造。果汁はステンレスタンク、使用済みの大きなフレンチオーク、コンクリートタンクで3分の1ずつ発酵し、ブレンドし、すべてのタンクでオリとともにシュール・リー熟成をしているという。

「発酵はオリと接してほしいので小ロットで行います。なぜなら、オリとともに熟成することにより、キレイな酸、そして滑らかなテクスチャーをもち、より複雑な味わいとなるのです」

キアラさんがワインを造るときに大事にしていることは「ブドウが育つ地域を表現したい。そして食事を美味しくするスタイルにしたい。これは、私たち家族の哲学の一つでもあります」と言う。

画像: (左から)「センティアム」誕生のきっかけとなった『ト・カロン アイ・ブロック フュメ・ブラン』。この日のために「父のファミリーライブラリーから2021年ヴィンテージを持ってきました」とキアラさん。『センティアム 2022年』、そして『コンティニュアム 2013年』と『2021年』

(左から)「センティアム」誕生のきっかけとなった『ト・カロン アイ・ブロック フュメ・ブラン』。この日のために「父のファミリーライブラリーから2021年ヴィンテージを持ってきました」とキアラさん。『センティアム 2022年』、そして『コンティニュアム 2013年』と『2021年』

その言葉通りセンティアムは品種がソーヴィニヨン・ブランだが、ハーブや柑橘類が全面に出てくるのではなく、控えめな香り。生き生きとした酸とミネラル感があり、余韻に旨味が豊に膨らむ。食事と合わせたくなるエレガントさがあり、繊細な味付けの和食ともよく合うだろう。

キアラさんはアーティストでもあり、このセンティアムも父ティム氏が造る『コンティニュアム』のラベルデザインも手掛けている。

「祖父は、ワイン造りはアートだと言っていました」

自然をあるがままに感じ表現するアートの心と、自然のあるがままをボトルに映し出すワイン。芸術家と醸造家の二刀流のストーリーは、まだ始まったばかりだ。

ワインの問い合わせ先:WINE TO STYLE㈱ TEL.03-5413-8831 

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