「フェヴレ」を単純にネゴシアン(ワイン商)と考えてはいけない。ラベルを見ればわかるように「ドメーヌ・フェヴレ」なのだ。何が違うのか。創立200周年を迎えた偉大なドメーヌの深層に迫る。

7代目エルワン・フェヴレ氏の先進的ビジョン

「ジョゼフ・フェヴレ」がニュイ・サン・ジョルジュに設立されたのは1825年。栽培農家からワインを購入するネゴシアンとして発展した。6代目のフランソワ・フェヴレ氏は、アンリ・ジャイエ氏や、「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ(DRC)」のオベール・ド・ヴィレーヌ氏とも親交が深く、ブルゴーニュのワイン文化を発展させた大物。自社畑からワインを造る「ドメーヌ」として発展した。息子エルワン氏(タイトル写真。右は妹のエヴさん)は2005年、 24歳でドメーヌを継承した。

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ブルゴーニュには、グラン・クリュ(特級畑)とプルミエ・クリュ(1級畑)の面積が最大級だと喧伝するネゴシアンが少なくないが、重要なのは畑を所有していること。フェヴレはコート・ドール地域からコート・シャロネーズ地域まで、140ヘクタールを所有する。12のグラン・クリュと22のプルミエ・クリュを含む60のアペラシオン(産地呼称)をカバーし、生産量の80パーセントはドメーヌ物が占める。

米国コロンビア大学のトップビジネススクールでMBAを取得したエルワン氏と、ラグジュアリー業界で働いていた妹のエヴさんが、ブルゴーニュ最大の家族ドメーヌを発展させている。地価が高騰する前に畑の拡大を進めた。2008年に「バタール・モンラッシェ」や「ビアンヴニュ・バタール・モンラッシェ」の畑を取得。「マジ・シャンベルタン」や「シャルム・シャンベルタン」を所有するドメーヌ「デュポン・ティスランド」、「レ・クロ」や「ヴォデジール」を所有するシャブリ地方のドメーヌ「ビヨー・シモン」を買収し、15年にはめったに出物がない「ミュジニー」の0.12ヘクタールを買い足した。

ボルドー地方出身のジェローム・フルース氏を醸造責任者に起用して、醸造施設にも投資。フェヴレ家生誕の地の「ル38」醸造所を刷新した。2500平方メートルのモダンでクリーンな施設は、ボルドーのシャトーを連想させる。初めて訪れると、ブルゴーニュの素朴な施設に慣れた人は驚くだろう。温度調節機能を備えた32基の円錐台形型(トロンコニック)オーク樽が並び、垂直式圧搾機を備えて醸造している。フランソワ時代の厳格さをはらんだ長期熟成スタイルではなく、早くから楽しめるスタイルに変えた。

白ワインにも力を入れている。1874年に「クロ・デ・コルトン」と一緒に購入した区画から少量生産する『コルトン・シャルルマーニュ』は隠れた逸品として、プロやマニアにひっぱりだこだ。ラドワ村の『レ・マルシュ・ブランシュ・ブラン』もコルトン・シャルルマーニュを連想させるミネラル感とフレッシュ感が溢れている。「ロマネ・コンティ」と並んで、造り手の名前を冠した、ブルゴーニュで二つだけのワイン『コルトン・クロ・デ・コルトン・フェヴレ』はアーシーで力強く、コルトンのお手本的なワインとして愛されている。

画像2: 7代目エルワン・フェヴレ氏の先進的ビジョン

優れたヴィニュロンであり、先見の明のある経営者

エルワン氏がヴィニュロン(栽培醸造家)としてだけでなく、経営者として優れているのは、伝統を大切にしながら先読みするマルチなビジョンを備えているところだ。創業200周年を迎えた2025年は有機栽培の認証を取得した。雨が降り続いてべと病やうどんこ病が多発して有機栽培を諦めたドメーヌもいた中で、未来を見据えて有機栽培を貫いた。

フェヴレは「シャトー・ド・クロ・ド・ヴージョ」の共同所有者の一つで、シャトーに本拠を置くワイン騎士団の創設メンバーでもある。

7月に「クロ・ド・ヴージョ」の畑の11列の0.18ヘクタールを「オスピス・ド・ボーヌ」に寄進した。オスピスも24年にオーガニック認証を取得している。昨年11月のオスピス・ド・ボーヌのオークションでは、この寄進した畑から造られた『クロ・ド・ヴージョ・キュヴェ・フランソワ・フェヴレ』2樽がそれぞれ16万5000ユーロと17万ユーロで落札された。「クリスティーズ(*)」の壮大なオンラインオークションに、20世紀初頭にさかのぼる475ロットを出品し、目玉の『ミュジニー 1908年』は最高予想価格の163%増の2万5000ポンドで、『コルトン・クロ・デ・コルトン1928年』は最高予想価格の494%増の1万1875ポンドで落札された。

一方、気候変動がもたらす未来を見通して、昨年6月にはカリフォルニアのピノ・ノワールの先駆であるソノマの「ウィリアムズ・セリエム」を完全買収した。ブルゴーニュより冷涼なロシアン・リヴァー・ヴァレーでブルゴーニュ品種に挑戦し、米国市場の可能性を開拓する。ウィリアムズ・セリエムはカリフォルニアで初めて単一畑のピノ・ノワールを生産したワイナリーだ。

「最高のシャルドネとピノ・ノワールを生み出せる」可能性を信じている。

過去を振り返りながら未来に向けてダイナミックに躍進するのがフェヴレだ。

* 1766年、イギリスに創業したオークションハウス。

画像1: フランス・ブルゴーニュ
200周年を迎えた「フェヴレ」、過去を踏まえて未来に躍進

コルトン クロ デ コルトン フェヴレ グラン クリュ(モノポール) 2022年
Corton Clos des Cortons Faiveley Grand Cru (Monopole)
参考小売価格:5 万2000 円(税別)

リュー・ディ(小区画)「ロニェ」に位置する3haのクリマ。フェヴレのモノポールとなっている。最も古い樹は1936年に植えられたもの。深みのあるルビーからガーネット色。集中度があり、ラズベリーやカシスなど豊かな果実のアロマ。ミネラルとタンニンがストラクチャーを与え、リッチでエレガント。コート・ド・ニュイ地区のワインとは一味異なる、偉大な赤ワイン。
写真キャプション
黄金色の葉が広がる「クロ デ コルトン」。歴史ある畑に秋の光が差し込み、偉大なグラン・クリュの風格を際立たせる。

画像: 黄金色の葉が広がる「クロ デ コルトン」。歴史ある畑に秋の光が差し込み、偉大なグラン・クリュの風格を際立たせる

黄金色の葉が広がる「クロ デ コルトン」。歴史ある畑に秋の光が差し込み、偉大なグラン・クリュの風格を際立たせる

画像2: フランス・ブルゴーニュ
200周年を迎えた「フェヴレ」、過去を踏まえて未来に躍進

ラドワ レ マルヌ ブランシュ ブラン 2023年
Ladoix Les Marnes Blanches Blanc
参考小売価格:7500 円(税別)

グリーンを帯びた輝きのある淡い黄色。フレッシュで、花のアロマとブリオッシュをほのかに感じる。味わいはリッチで力強く、トーストの香りの中に心地いいフレッシュさがある。生き生きとした真っすぐなワインで、素晴らしいテンションも兼ね備える。

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200周年を迎えた「フェヴレ」、過去を踏まえて未来に躍進
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200周年を迎えた「フェヴレ」、過去を踏まえて未来に躍進

メルキュレ ラ フランボワジエール(モノポール) 2022年
Mercurey La Framboisière (Monopole)
参考小売価格:7300 円(税別)

フェヴレが所有する11.11haのモノポールで、最も古い樹は1949年に植えたもの。鮮やかなルビー色。畑名そのままにフランボワーズ、ラズベリーのみずみずしいアロマ。ほか、赤スグリやチェリー、カシスやミュールなど、さまざまな果実香が広がる。ストラクチャーはしっかりとし、飲み応えのある1本。

画像: 秋色に染まる「メルキュレ レ フランボワジエール」の畑は、果実味としなやかさをはぐくむ穏やかなテロワールを物語る
秋色に染まる「メルキュレ レ フランボワジエール」の畑は、果実味としなやかさをはぐくむ穏やかなテロワールを物語る

text by Akihiko YAMAMOTO

問い合わせ先:㈱ラック・コーポレーション TEL.03-3586-7501

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